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起業するために博報堂を退社したのに、なぜすぐ法人化しない選択肢を選んだのか。-VRサービスローンチまでのリアルすぎる起業準備物語(序)


「起業するために辞めたんじゃないの?何してるの今?」と、聞かれることが最近多くなりました。昨年9月末に辞めたのにまだ自分の事業をローンチできていないからだと思います。さらに幸か不幸か、昨今例のウィルスの影響で、バーチャルの需要が高まっており、お話をいただくことが増えてきました・・・。

いてもたってもいられず、取り急ぎこれまでの軌跡についてnoteにまとめることにしました。

※ちなみにプロダクトのローンチ日は5月末を想定しているので、これはティザーではなくただの随筆です。

1.退職決意のタイミング

出資が決まりプロダクトが完成した状態で退社を選ぶ人もいれば、まずは環境を変えるべく見切り発車で挑戦する人もいると思いますが、自分は後者でした。

とはいえ、退職を決意するまでの約3ヶ月間。 パートナーと共に事業構想を練り上げ、経営者の方々にもご意見をいただき、ある程度「いける」という確信があったからこそでした。

なので、実は退職を申請させて頂いたときには、事業計画書と信頼できるビジネスパートナー(嵐くん)しかいない状況でした。

退職申請から、実退職までの2ヶ月間。エンジニアメンバー探しと並行して、“どうやって食べていくのか”という、リアルな問題への向き合いも含め、僕らの起業準備ストーリーが始まりました。

2.プロダクトの特性

「3Dアバターを活用したコミュニティサービスをつくるのである。5Gが到来したとき、日本は3Dアバターコンテンツなら世界と戦えるのである。」

と、息フンで動き出しましたが、僕らはエンジニアでなくただの夢想家でした。(リクルート出身でSHOWROOMで働く嵐くんと、博報堂で営業とプランナーをやっていた私は領域は違えど、二人ともプロデューサー気質でした。)

たくさんのエンジニアさんへお声がけさせていただき、10数名の方々とお会いしました。興味は持っていただけるものの、残念ながら立ち上げメンバーとして参加してくださる方は簡単には見つかりませんでした。(このto Bスタートアップ全盛期の中、to Cエンタメサービスで勝負しようとしていたので...。)

そんなとき、「ソーヤと同じタイミングで博報堂を辞めて、フリーランスエンジニアになる同期がいるけど会ってみる?」というご紹介をいただきました。(F.Sくんありがとう。)

実際に会って、すぐに意気投合。フロントもバックエンドもできる凄腕の根岸くんがエンジニアとしてジョインしてくれることとなり、乗組員が揃いました。歓喜しました。スタートアップでよく叫ばれる最初の「創業メンバーの壁」を超えた瞬間でした。

3.SHEへのジョイン

メンバーが揃ったあと、ものすごく悩みました。「プロダクト完成まで、どうやって生きていこう…。」投資をもらいに行くべきか。働きながら起業準備をすべきか。

おもむろにWantedlyを見ていたところ「SHE」という会社に目が止まりました。博報堂の顔なじみのある先輩が以前働いていたからでした。その先輩は、フリーランスとしてSHEで働いた後、自身がファウンダーとなって起業をするという生き方を歩んでおられました。

そこで初めて、「フリーランスとしてスタートアップに参画しつつ、自身の起業を準備する」というキャリアの選択肢があることを知り、興味を持ちました。

面談をさせていただき、僕らが目指す世界観とビジョンがマッチしただけでなく、「スタートアップの最前線で学べることは想像以上に多いのでは。というかこの元電通のCMOの方、只者ではないぞ...」と直感で感じました。有り難いことにフリーランスとしてジョインさせて頂くことになり、並行してプロダクト開発を進めることに。

実際に自分の会社の準備と並行しながら、きちんとSHEでも価値を出して働くということは、当然楽ではなく、むしろ大変です。

ただ、時間の捻出や周囲への理解などは、あくまで自分の努力次第。今まさに、自分ならではキャリアを、全力で切り開いている最中とも言えるかもしれません。

結果的に、3期目にして勢いのあるSHEで、最強優秀な創業メンバーの方々とお仕事させて頂く経験は、事業を立ち上げる上で物凄く役立つ形となりました。リクルートや電通出身の最強戦闘能力の方々と仕事しているだけで毎日学びがあるのですが、特に広告代理店出身だった私にとって「事業会社視点でのビジネス設計」や「スタートアップとしての戦い方」を学べたことが大きいです。

そしてその中で、博報堂で学んできた経験はめちゃくちゃ活きました。ストイックに(時には寝るまも惜しまず...)どうすれば世の中へインパクトを与えることができるかと、文字通りチーム一丸となって考え脳ミソに汗をかいた4年間の経験は、ビジネス全般に通ずる一つの強みとなっていました。博報堂でのお仕事を通じて鍛えて頂いた諸先輩方、本当にありがとうございます...。おかげで野村はなんとか戦うことができております。

そんな自分らしさを活かしたアウトプットをいくつか出すことができ、ジョインして4ヶ月目の12月には月間のMVPもいただくことが出来ました。この環境下で成功体験を積ませて頂いたことで、「俺、外でも戦っていけるやん」という贅沢な勘違いを生むことができました。

今では本当に感謝しながらお手伝いさせて頂いております。

(SHEでの話だけで別のnoteが書けるので、詳細はまた今度執筆したいと思います。)

4.大変だった toC エンタメサービスの開発

実は昨年10月ごろには、天才根岸くんが爆速でモックが仕上げてくれていたため、事業計画書をもって投資家の方々にお会いさせていただきました。(SHEに投資してくださっている岸さんから、多くの方々をご紹介いただきました。本当にありがとうございます。)

毎週数名の投資家の方々にお会いさせていただき、プレゼンし、フィードバックを頂き、次のアポイントまでに改善案を検討する...。その繰り返しでした。最近起業系のドラマでよく見るシーンかも知れませんが、本当に命をかけて自分の事業をプレゼンしているので、毎日リングに上がっている感覚でした。結果大変ありがたいことに、出資を検討して頂いた方もいてくださり、手放しで喜びたい瞬間もありました。

ただ、to Cエンタメサービスは、本当に机上ロジックじゃ当たるかわからない...。某国民的動画SNSや、某国民的アバターSNSを立ち上げた方々とお話をさせていただき、我々のサービスが「なんかおもろい。明日も使いたい。」まで辿り着いているのかが不安になりました。

5.会社化ではなく、まずは同人サービスとして勝負する

メンバーで話し合った結果、Facebookの成長ロードマップ模倣作戦を取ることにしました。会社ではなく同人サービスとしてリリースし、改善を繰り返しながら成長させ、一定のユーザーが定着したところで、会社化して大勝負に出るという戦い方です。(後から、この作戦が「PMFの達成」という言葉で表現されていることを知りました...。)

なので、アプリではなくブラウザで無料で楽しめるものにすることに。

今簡単に言いましたが、3Dアバターサービスをブラウザで動かすという鬼畜なエンジニアリングを根岸くんにお願いすることになりました。実現させてくれた彼は本当に天才です。(この辺りの開発奮闘劇は、根岸くんのインタビューも交えながらローンチ前に書く予定です。)

6.今とこれから

実は、β版プロダクトのシステム自体は出来上がっています。

今はコアユーザーとなってくれそうな方々へ、ヒアリングさせて頂いているのですが、反応もいい感じなので一定のファンはついてくれるのではないかと希望を持ちながら、開発中です。

また、このサービスだけでなく、3Dアバターを活用してIPをプロデュースするような事業にも着手し始めております。(まさにその道のプロである嵐くんが素敵にリードしてくれております。)

起業する上で色んな山の登り方があると思いますが、僕たちはこんなやり方で戦っております。「明日が待ち遠しくなる世界を創る」という青臭いスローガンかがけてチームメンバー3名で切磋琢磨して事業を創りながら、

「30歳過ぎぐらいには代表作で一旦人生あがりてえな!!」というやましぎるジャパニーズドリームを夢見て、これからも精進していく次第です。

引き続きSHEでお手伝いをさせていただきながら、ローンチを目指して日々奮闘させて頂く次第でございますので、引き続き何卒よろしくお願い申し上げます。

■ノムソーヤのtwitter

https://twitter.com/nomu_soya

日々バーチャル領域の情報や、スタートアップ情報、起業のリアルを呟いておりますので宜しければフォローいただけると有り難いです。

■開発中のサービス「avatch」とは?

・好きな3Dアバターとなり、

・なりたい自分になった状態で、趣味友を見つけ(声や掲示板)、

・つながった趣味友とは、3Dアバター同士で電話ができる。(カメラ連動でアバターが動く!)

ざっとそんなサービスです。ローンチまで、暫しお待ちをば・・・。



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