20231025 とりとめのない噓

帰り際、同僚に「まだ上着着てないんだ」と驚かれる。

「はい、10月中は上着なしでいこうかと。満員電車で汗かいちゃいますし」と答えると「強いね~」と笑われた。

癖なのか、思いがけずとりとめのない嘘をついてしまう。上のやり取りでも、自分は「10月中は上着なしでいこう」などとは露ほども思っていないので、明日の朝が寒ければもちろん上着を着るつもりだ。
それで明日、その同僚に「上着、着てんじゃん」とツッコまれても、笑ってすませばいいと思っている。

どういう心理なんだろう。
もちろん、噓をつこう、と思って嘘をついているわけではない。僕は職場では”快活”なキャラクターで通っていて、その立ち位置に不満はない。というか、どちらかというと満足しているので、無意識にそのイメージを補強する嘘をついているのか。だとしたら、凡庸で、少し悲しい。

こんな仮定はどうだろう。
例えば、上のやり取りでの正直な応答をしていたら、どんな会話が続いたか。

 まだ上着着てないんだ。
 ……ええ、今日は気温もそれほど低くないですし、上着なしでいいかなと思って。
 そうなんだ……
(沈黙)

気まずいこと、この上ない。無意識の僕はきっとこんな気まずい沈黙を回避するべく、僕の口に嘘をつかせたのではないか。”気まずいセンサー”が敏感な僕のことだからあり得ると思う。

だとしたら、少しだけ、僕の無意識がいじらしくかわいく感じる。僕の無意識には引き続き頑張ってもらいたい。

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