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ソビエトミュージアム探訪

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全世界に点在するソ連関連の博物館の訪問記。
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#博物館

電話の歴史博物館

 今や「ダイヤルを回す」という表現など、すっかり死語だろう。通信の進化の結果、電話はもはやデバイスの中の一機能に。家庭の固定電話も、街の公衆電話も、数が少なくなった。  電話機が通話に限定された機械だった時代も長かったわけだが、1つの機能に特化した機械というのは、独特の重厚な存在感があるもの。モスクワの「電話の歴史博物館」は、ロシアや欧米諸国の電話機を数多く展示する博物館だ。私は2015年の開館直後に訪れたが、どうも見切り発車でスタートした感があり、収蔵品はまだ少なめで、展示

A.E.フェルスマン記念鉱物学博物館

 鉱物というのは少なからず熱烈なマニアが存在する分野だが、門外漢には、その面白さは今一つ想像が及ばないかもしれない。かく言う筆者も、化石は好きだが鉱物は別に…という種類の人間であったが、A.E.フェルスマン記念鉱物学博物館を初めて訪れた時、なるほど鉱物の魅力とはこういうことか、と成程合点がいったものである。  もちろん、鉱物に興味のある方なら、この博物館は絶対に見ておきたいひとつだろう。所蔵する標本は約14万点、2300種に及ぶ。鉱物の博物館としては、世界最大級である。

¥100

モスクワの灯り博物館

 街灯が、我々にとってすっかり当たり前の存在となって久しい。しかし当然ながら、それが当たり前ではなかった時代もあった。星と月明かりのみの夜の街は真っ暗。不便だし、なにより治安がよろしくない。街灯は、技術の進歩がもたらした、ありがたーいものなのである。  モスクワに初めて街灯が出現したのは、1730年12月。木製の柱にブリキのランプ。大麻油を使った弱々しい灯りでも、当時は画期的。もっとも、点灯は手作業なので手間がかかるし、上質な大麻油はよく盗まれるし、苦労は絶えなかった模様。

鉄分補給・鉄道博物館2

 今月は本当に忙しくて、いや今度こそ怠惰は関係なく忙しくて、しかも別に仕事で忙しいわけでもないから収入も少ないという、悲しみが月の影に星の影にという11月。月イチ更新のペースを守るために、省エネやむなし。以前投稿したモスクワの鉄道博物館の展示車両を雑多に紹介するだけの記事となります。鉄分補給にどうぞ。 前回の鉄道博物館紹介記事はこちら。禍々しい保線車両がおすすめ! この無蓋車は1917年、ドイツのリンケ・ホフマン社製。第二次世界大戦後、戦利品としてソ連に持ち帰られた。

アルフレッド・ミーレクのロシアン・アコーディオン博物館

奏でては耳を楽しませ、飾っては目を楽しませ。楽器は良いものですね。 ロシアの楽器といえば、何を想像されますか? やはり、バラライカでしょう。テルミンを連想された方は、ちょっとマニアック過ぎます。 もう1つ、ロシアの文化や感性に深く根付いている楽器は、アコーディオン。日本語では、手風琴(てふうきん)という、響きも字面も優雅な呼び方があります。軽快なミニアコーディオンから、大型で重厚な«バヤン»まで。コミカルな演奏から荘厳なクラシック演奏まで。ロシアのアコーディオンは実に幅広