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【種類株式による事業承継 その2】

おはようございます
浜松の相続終活専門士 石川ひろしです。

今日のハナシは種類株式による従業員承継の代表的な3つの方法です。

【1】譲渡制限規定を活用した事業承継
種類株式の一つである譲渡制限規定を活用した事業承継はいたってシンプルなものです。これは、会社が許可した相手にしか譲渡できない譲渡制限株式(譲渡制限規定を付加された株式)を発行し、それを後継者に支配権を獲得できる分だけ取得させるというものです。

譲渡制限株式は相続や合併などによって一般承継された場合、会社の意向に関わらず株式の承継を行うことができます。つまり、後継者により確実に株式を取得させることが可能になるわけです。さらに譲渡制限株式であるため、株式の分散が抑えられることも大きなメリットだと言えるでしょう。

また、譲渡制限株式であれば他の会社からの買収も防ぎやすいため、敵対的買収に対する買収防衛策として使えます。

ただ、譲渡制限株式しか発行していない非公開会社において注意しておきたいのが「売渡請求権」です。

これは承継された譲渡制限株式に対して売渡を請求できるものであり、相続や合併などによって承継が発生したことを知った日から1年以内であれば、いつでも請求できるというものです。

この売渡請求権は恐らく事業承継において最もやっかいなものの一つだと言えます。売渡請求権は一度使用されると当該株式を持つ株主は議決権を有することはできません。たとえ、支配権を確立できるだけの株式を所有していても売渡請求権を拒絶することはできないというわけです。

売渡請求権は会社と当該株主の間で株式を売り渡す価格に同意がなければ実行はできないため、ここで抵抗することは可能です。

話し合いがうまくいかないと訴訟に発展してしまうケースもあるため、どちらにせよ円滑な事業承継は阻害されてしまうでしょう。そのため、なるべく後継者以外の株主がいない状態、あるいは後継者への反対勢力が株主にない状況で実行することがお勧めです。

【2】議決権制限規定と取得条項規定を活用した事業承継

議決権制限規定と取得条項規定を活用した事業承継も有効的な方法の一つです。たとえば、後継者が確定しているなら議決権がある株式を後継者のみに取得させ、他の株主には議決権制限株式(議決権制限規定を付加した株式)を取得させれば、後継者の支配権を確立させられるようになります。

後継者候補が複数いる場合は素質を見極めるまでそれぞれ取得条項が不可された議決権制限株式を取得させておき、後継者が定まってからは株主が死亡するなどの事由で自動的に議決権制限株式を議決権付きの株式に転換させるようにするという方法もあります。

議決権制限株式を活用する方法は株主の権利や利益を侵害する恐れがあるため、株主との話し合いが重要です。

【3】拒否権規定を活用した事業承継

拒否権規定を活用した事業承継は後継者が実際に経営を行う場面に主眼が置かれています。拒否権規定を付加した株式、つまり黄金株を引退した経営者があらかじめ持っておくことにより、後継者が経営を行う上で、暴走したり、無茶な経営戦略を行おうとしている事態になった際に株主総会で後継者の提案を阻止できるようになります。

つまり、後継者の手綱として黄金株を持っておくというわけです。後継者が安定してきたら黄金株を後継者に取得させておけば、事業承継が完全に完了します。黄金株は非常に強力な株式であり、他の株主に取得させるような事態にならないようにしておく必要があります。

※黄金株とは、買収関連の株主総会決議事項について拒否権を行使できる株式を言います。

最後まで読んでいただいてありがとうございました。

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(社)相続終活専門協会正会員
相続終活専門士 石川ひろし
https://www.souzokuhamamatsu.jp/

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