しぼんだ意欲


 なにを見ても精神衛生を劣悪にしてしまう。病気と安易に命名していいのかわからない、非常に個人的なことにも思えるけれど、多かれ少なかれ悩んでいる人はいるはずだ。
 なにを見ても、例えば映画なんてそうだし漫画も、本の表紙でさえそうだ。私の心は相当に毛羽立っているみたいで、どんな柄の布地でもその織られた糸と糸の隙間に絡みいってしまう。そうして繊維はこんがらがって、暗い過去の帳が引き下ろされてしまうのだ。辛い時間である。
 しかし、ある程度のよろしくないものの検討は付いている。それは、恋愛、学生時代、外見、学問、である。もう戻ることのできない過去の出来事を想起させるものでとりわけ高校時代に関連するものは心を締め付ける。静かな気持ちでときめきを期待しては少女漫画を読めない。モデルの顔も憧れになるほどの距離感で見られない。など、これは挙げたらきりなしだ。
 きっと解決策は、これから生きていって思い出を増やして、過去の記憶を隠蔽するしかない。だから生きていくだけだ。わざわざ、苦しみに向かうことはない。避けて自分の心地良いもののみを選び取るだけだ。

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