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2024/09/08 NPB主催者サイドがもっと積極的に応援風景を発信してほしい

最近時事ネタを取り上げる割合が多めですが、今回の話題は、先日NPBが発表した来年適用開始の新規程について。
本記事のサムネイルは、とあるプレシーズンマッチの一コマなのですが、こういう写真も、今後はインプレー中のプレーヤーを撮影した写真として、ネット上への投稿は禁じられてしまうのでしょうか。あまりに引きの写真すぎて、これでは一見してNPBの試合かどうかも判別つかないのではないかと思うのですが…。


動画等の撮影及び配信・送信に関する新たな規定の施行

先日9/2になりますが、NPBより「試合観戦契約約款」の改定と「写真・動画等の撮影及び配信・送信規程」の施行が発表されました。
本件は、野球ファンの間を中心にちょっとした話題となり、報道でも軽く取り上げられています。

来年2025年2月から適用される新たな規程ですが、ざっくり説明すると、球場で観戦する人は、原則として、試合中に撮影した写真や動画を、ネット上の不特定多数に向けて配信してはならないというものです。
いくつか例外はあって、家族等の特定に向けた者に対して写真や動画を送ることは許されています。また、誤解されやすそうなところですが、撮影行為については、いくつかの禁止事項こそあるものの、本規程で撮影行為自体をすべて禁止しているものではありません。
規程全文は、以下のページから確認できます。私が普段書いている記事に比べたら格段に短く、そこまで難解な内容でもないので、気になる方は一度原文に目を通されるとよいでしょう。

規程が施行された場合の私個人に対する影響

この規定が施行された場合の影響というのは、各人それぞれあるでしょうが、私なんぶふじの場合はどうかと言いますと、まず、観戦スタイルの面においては、ほとんど影響を受けないものと見ています。
基本的に私が現地に赴く時は、応援しているチームを応援席から応援するのが主たる目的であり、応援風景を動画や音声データで記録することはありません。何なら、せっかく球場の応援席にいながら、声を出すことを放棄してカメラを回してばかりいる人を見かけると、何のために応援席に来たのかと内心問い詰めたく思ってしまいます。
(応援歌の音源作成に当たっては、いつも実録動画のお世話になっているわけで、実録動画を投稿してくださる方々には頭が上がらないのですが、それはそれ、これはこれです)

また、写真であれば、スコアボードをはじめとして数枚撮りますし、本記事のサムネイルにした写真のように、フィールド内を被写体にすることもあります。ただし、そこまで性能に優れたカメラではない上、撮影技術も素人同然。基本的には、不特定多数に発信することを目的としておらず、自己満足の写真を撮って、それでおしまいなのです。
以上を踏まえると、私が今後も現地で観戦するにあたり、この度の規程施行で何か不都合を被るかと言われても、特段何も思い浮かばないのが正直なところです。

一方、私の主な活動として、応援歌をMIDI形式で打ち込んで、動画に投稿しているというものがあります。これについても、動画投稿自体は、現地で記録した一次データをそのまま使用しているわけではありませんから、今回の規程に抵触することはないでしょう。
ただし、一つ気がかりな部分がありまして、それは、先ほども少し触れましたが、私が音源を作成するに当たって参考にさせていただいている実録動画は、今後も変わらず供給され続けるのだろうか、ということです。

応援歌の実録動画はどうなるのか

ここで、「写真・動画等の撮影及び配信・送信規程」の関係条文を今一度確認してみましょう。

第3条 (禁止行為)
3. 何人も、以下の写真・動画等を配信・送信してはならない。
(1) 前二項で禁ずる行為によって取得された動画・音声・画像・試合データ
(2) ボールインプレイ中のプレーヤーを撮影した写真・動画等
(3) ボールインプレイ中のプレーヤー以外を撮影した動画のうち、140秒を超えるもの
(4) 試合中に配信・送信するもの(ライブ動画及びライブ音声並びにリアルタイムでの試合データの配信・送信を含む)
(5) 明らかに営利を目的とするもの
4. 前三項において、以下の場合はこの限りではない。
(1) 主催者が承認した場合
(2) 家族、友人、取引先その他これらに類する特定の者に向けた配信・送信であって、かつ、業として行われず、主催者が有する権利及び法益を侵害しないと認められる場合

写真・動画等の撮影及び配信・送信規程

規程第3条第3項第3号において、「ボールインプレイ中のプレーヤー以外を撮影した動画のうち、140秒を超えるもの」は、何人も配信・送信してはならないとされています。
なお、ここでいう「配信・送信」とは、「ブログやSNS、動画投稿・共有サービス、電子掲示板、ファンサイト等において、インターネット回線を通じ、写真・動画等を不特定多数に向けて掲載、送発信、共有等する行為及びインターネット・携帯電話等を利用した送信行為をいう。なお、当該配信・送信行為は、球場内で行うものに限られない。」と、規程第2条第5号にて定義づけられています。
要するに、応援歌の実録動画は、プレー中の選手を撮影しないようにした上で、かつ140秒以内であれば、ネット上での投稿は認められるものの、この条件を満たさなければ、ネット上での投稿は認められないと解釈できます。他にも細々したルールはありますが、ざっくり理解であればこのレベルでよいでしょう。

この140秒ルール、旧Twitterで投稿できる動画の時間制限を意識したものなのか何なのかはわかりませんが、実録動画として私が参考にできるレベルかどうかで考えると、なんとも微妙な線引きです。
スタンダードな8小節応援歌であれば、まず140秒ルールに引っ掛かることはないかと思うのですが、私の場合、演奏する時々の節回しの違いなんかも気になるところでして、応援歌の演奏開始から終了までが確認できる実録動画の方がうれしいです。
これが、チャンステーマになってくると、打席中エンドレスで演奏され続けるのが定石なので、140秒以内で演奏開始から終了まで収めるのは、その打席内容によっても左右されるところでしょう。
そして、昨今の応援歌は、個人応援歌チーム応援歌問わず、とかく複雑化しがちな風潮にあります。やたら長い前奏だとか、Aメロ数回演奏してからのBメロ移行だとか、こういう応援歌になってくると、果たして140秒以内に収まるのか。
まあ、私の体感的には、1周程度だったら140秒に収まらない応援歌の方が珍しいという感覚なので、よほどの応援歌でない限り大丈夫だとは思うのですが、それでも、何周目かによってドラムパターンを変えるといった合わせ技までやられてしまうと、中には、140秒の実録動画1本ですべてを確認するには厳しい応援歌が出てきてもおかしくないかな、とも思います。

主催者サイドが業として応援風景を配信してはどうか

私としては、実録動画というのは、一次資料としての価値もさることながら、現場の生の雰囲気の魅力を伝えるのに、この上ないコンテンツだと思います。
現実問題、球場での応援歌の演奏状況を確認したいからと言って、それだけのために日本全国球場行脚できる人なんて早々いないわけで、疑似体験ができるという意味合いでも、実録動画の需要というのは決して少なくないでしょう。

そのことを前提とした上で、実録動画で応援歌を聴いたり、若しくは中継画面を通じて応援歌を耳にするのと、実際に球場で応援歌を聴いたり歌ったりするのとでは、それだけで大きな差、価値の違いがあるとも思います。応援席からグラウンド上の選手に向けて応援する体験というのは、画面越しに伝わってくるものとは全然違うのです。
私なんか、この体験をするためだけにお金を払って球場に足を運んでいると言っても、過言ではありません。球場で応援活動をしている限り、応援席に足を運ぶことに対して、金銭的対価を支払ってでも球場で野球を見たい、というファン層は、一定数存在するのです。
ということは、こうしたライブ感を伴う応援行為をリピートしたくなるようなファン層を増やすべく、その入り口として、応援風景を撮影した動画をネット上で気軽に見られるような環境を作ることは、主催者側にとっても有意義なものと言えないでしょうか。

翻って、今回の規程を見返してみると、少なくとも応援文化の振興という観点においては、目指すべき方向性から逆行するものと指摘せざるを得ません。
無論、本規程は、応援風景の撮影のみを狙い撃ちしたものではなく、むしろ、球場で働く人たちの盗撮被害を防ぐことや、インプレー中の動画等を収益化して配信することへの対策に主眼を置いたものと思料します。しかし、それにしては、制限をかける範囲が広すぎて、魅力発信の機会をも逸失しかねないように見えるのです。

というわけで、前置きが大変長くなってしまいましたが、本記事の結論として、私が提言したいのは、主催者側がもっと積極的に応援風景を配信してはどうか、ということです。
この御時世、全12球団が自前のYouTube公式アカウントを持っているわけですから、球団公式から直接、実録動画を投稿することはできるはず。
現に、オリックスは昨年、大阪桐蔭高校との応援コラボをしていますが、この試合における応援風景のダイジェスト動画が、球団公式アカウントから投稿されています。まあ、ダイジェスト形式で変に編集されると、私の求めるものとは少なからず離れてしまいますが、これでも何もしないよりは全然マシです。

また、ここで私が想定しているのは、何も球団公式が直接実録動画を投稿するのに留まった話ではありません。
動画の配信が制限されない場合として、規程第3条第4項第1号にて「主催者が承認した場合」とありますが、例えば、応援団による実録動画の投稿を承認した上で、このような動画がもっと増えてよいのではないかと思います。
こちらの事例も、10年以上前とだいぶ昔になりますが、ヤクルト応援団のYouTubeアカウントから、実録動画が投稿されていたことがありました。私のような立場からすれば、実録動画を投稿していただけるのであれば、その投稿者が私人だろうが公的な立場にある者だろうが、誰であってもありがたい話なのです。

このような形で、球団あるいは応援団の公式アカウントから投稿した動画であれば、当該動画を収益化したとしても、その利益は球団ないし応援団に還元されるわけです。
これは、「写真・動画等の撮影及び配信・送信規程」第1条において謳われている目的どおり、「主催者が有する権利及び法益を適正に保護しながら、プロ野球の普及発展と球場観戦の価値向上を図る」ことの実現に資する取り組みだと思いませんか。

第1条 (目的)
 本規程は、主催者が有する権利及び法益を適正に保護しながら、プロ野球の普及発展と球場観戦の価値向上を図るため、試合の観戦における写真・動画等の適切な撮影、及び写真・動画等の配信・送信方法等についてのルールを示すものである。

写真・動画等の撮影及び配信・送信規程

以上、今回も長々書いてしまいましたが、言葉を選ばずに言えば、球場内には応援席の周辺を含めお金儲けの種はいくらでも転がっているわけで、現実その匂いをいち早くかぎ取った人たちが目に付くようになってきて、現在の諸問題があるわけなのですから、NPBサイドも、規制することばかり考えるだけでなく、それを利用して金稼ぎするくらいの発想でいてほしいものですね。
記事内でも言及したとおり、今回の規程が、動画投稿含め私の活動に直接的な影響を及ぼす可能性は低いと思うのですが、それにしても、実録動画の数があまりにも減るようになれば、音源の正確性にも支障をきたしかねないので、そうならないことを祈るばかりです。

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