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2023/04/30 ロッテフラッグテーマを巡る個人的見解

今から約1年前、ロッテの'20作フラッグテーマと'22作フラッグテーマの動画作成リクエストをいただいたことがありました。
この時の私の対応として、'20作のほうは一軍公式戦での演奏がないもののコロナ禍によるものとしてリクエストを受け付け、'22作のほうはそもそも応援歌なのか(球場演出のBGMに過ぎないのではないか)という疑問が個人的に拭えなかったのもあり見送らせていただきました。

その後受けたリクエストを放置するのは私の悪癖なのですが、年が明けて鳴り物応援が解禁された今シーズンの動向をみると、'22作のフラッグテーマは応援団演奏のもとで使用するというアナウンスがあった一方、'20作のフラッグテーマはどうも完全になかったもの扱いを受けている模様。
こうなってしまうと、'20作のフラッグテーマは一軍公式戦での演奏が想定されていない曲に分類せざるを得ず、本来の私がリクエストを受ける基準(=音源を作成する基準)からも外れてしまうことになります。
とはいえ、リクエスト受けたけどやっぱり動画作りませんというのはさすがに申し訳が立たないので、'20作のほうは球場風アレンジで動画を作ることにしました。

前置きが長くなってしまいましたが、このフラッグテーマを巡る経緯については、個人的にも結構思うところがありますので、本記事にて一個人の見解として書き残しておきたいと思います。

ロッテのフラッグテーマの歴史

そもそもの話、ハンディフラッグを使う応援というのは、今では割と多くの球団で取り入れられている印象ですが、その中でもロッテは先進的なチームだった記憶があります。
ロッテにおいてフラッグを使った応援が定着し始めたのは、'07作のフラッグテーマ(SKA☆ROCKETS『蒼い眼のサムライ』が原曲のもの)がきっかけ。投手交代時などを中心に、この応援歌が流れ出すとスタンドのファンは揃って小旗を振り出し、球場の雰囲気を変えるのに一役買っていました。

'07作のフラッグテーマは、応援体制変更の影響もあって、'09をもって使用終了。フラッグを振る応援曲は、'10作『勝利の旗』に役目を引き継ぐこととなります。
『勝利の旗』は、使用開始当初は、試合開始時のテーマとして頻繁に使用されました。'12に別の試合開始テーマが発表されたの引き換えに、『勝利の旗』の使用頻度は落ちてしまいますが、曲自体はチーム応援歌として使用継続。
'13にはフルコーラス版なるものが発表され、この年発売されたCD『MARINE FIELD SONGS』にも収録。応援歌を一つの楽曲として展開できないか、可能性を模索していた当時の試みが垣間見えますね。
このフルコーラス版は、お世辞にも広く周知されたとは言い難く、知る人ぞ知る域を抜け出せていませんが、球場版『勝利の旗』は細々と歌われ続けており、コロナ明け'23のオープン戦でも歌われた模様。なんだかんだと息の長いチーム応援歌となっています。

'20発表フラッグテーマとは

こうやって書いていると、『勝利の旗』も存在する中で、フラッグを使った応援歌を新たに作る必要性がそもそも薄いのではないか、という気がしないでもないですが、それはそれとして、'20にロッテ応援団のYouTubeアカウントで、新しいフラッグテーマが発表されました。

動画名も動画内の表記も、曲名が『フラッグ』となっていますが、とりあえず私の中では、他の類似曲と表記を合わせる意味合いも込めて、『フラッグテーマ』と表記させていきます。

この'20作フラッグテーマ、トランペット単独の前奏の後、本編はトランペットパートとファンが歌うパートが分かれる二重奏もの。ロッテだと、過去に福浦の応援歌などでこうした掛け合いはありましたが、曲中ぶっ続けでハモる形式の応援歌はなかなか画期的です。
原曲はTOTALFATの『ONE FOR THE DREAMS』。この曲を使った応援としては、Jリーグファジアーノ岡山のチャントのほうが、ロッテよりも先駆者です。

ロッテはチーム応援歌が供給過多状態に陥っており、これがそのまま定着するかどうかは別問題として、少なくとも応援団よりこのような形で発表があったわけですから、発表後しばらくは試合の中でも使っていくものと思っていましたが…。

新型コロナウイルス感染症の影響による応援制限を受けて

先の応援団が発表した動画のYouTube上での公開日は2020/3/8となっています。ちょうどこの頃、新型コロナウイルス感染症の脅威が世の中を震撼させ、プロ野球界においても、応援云々以前に、そもそも予定通りにシーズン開幕できるのか、といった議論の渦中に置かれることに。
結果的に、'20シーズンは大幅な開幕延期。最終的には、試合数を削減した上で何とかシーズンをやり遂げましたが、試合の開催に当たっては万全の感染対策を期さなければならず、開幕後しばらくは無観客試合による実施、その後も入場者数の大幅な制限が続き、かつて日常の風景であった鳴り物応援など、感染対策の観点からはもってのほかという風潮に。

このコロナ禍による様々な制限は、最終的に'22シーズンまで3年間にわたって続くことになりました。
鳴り物応援のみならず、声出し応援も制限される中、球団によっては、次第にスピーカー応援を取り入れるところも現れ始めるなど、その対応に差が出てきますが、ロッテはこのコロナ禍の3年間、基本的には一貫して、個人応援歌もチーム応援歌も球場では一切流さないという対応を取り続けていました。
当然、'20発表のフラッグテーマも、他の応援歌同様に日の目を浴びる機会がないわけですが、(当時いつになるか先行きが見えなかったとはいえ)応援制限が解除された暁には、何年越しかでこの応援ができる日も来るのだろうなあ、と構えていたところ、不穏な動きが起こります。

コロナ禍の'22にまたもやフラッグテーマを発表

'22シーズン開幕前、新フラッグテーマ発表の報せがあったのです。'20作のフラッグテーマを一度も使っていないのにそれを差し置いて?
新応援歌の出来不出来以前の問題として、こうした経緯でのフラッグテーマ新作という動きが私には理解に苦しみ、当時のTwitter上でも苦言を呈しています。

私の基本的なスタンスとして、応援歌に関するネガティブな意見はあまり発信したくないと思っています。応援歌が好きですし、応援歌を作って演奏してその文化を支えてくださる応援団の皆様への敬意から、部外者に過ぎない私があれこれ否定的なことは言いたくない。
ただ、この時はどうしても抑えられませんでした。そして、この時の気持ちが、今現在に至るまで尾を引いて、私のフラッグテーマに対する見方の根幹となってしまっているのが、紛れもなく正直な気持ちです。
以下に、'22作のフラッグテーマを聴いた私の第一印象を再掲します。

'20作のフラッグテーマを使わずじまいで新しいフラッグテーマを作ったところに愛が感じられないしイニング間の球場演出と被せるように使っているうちはファンの間で浸透しないまま埋もれていった数多のチーム応援歌がまた一つ増えるだけだと思う

このフラッグテーマは、シーズン開幕後もどういう風に使われているのか、しばらくはよくわからずにいたのですが、シーズン半ばに入ってから、投手交代時や攻守交代時に、球場演出のBGM的に流れているのをちょくちょく耳にしました。
この使われ方も、私個人的には結構不満でした。応援歌は球場演出のBGMとは別物なんです。その線引きがあいまいに見えてしまって、どうしても私の中で、やっぱり応援歌に対する愛が感じられない、という印象が拭えませんでした。

'23鳴り物応援再開後のフラッグテーマの扱い

そして、長きに渡る我慢の時を乗り越え、ついに鳴り物応援が復活した'23シーズン。
ロッテのフラッグテーマについては、'22作のものを応援団演奏で使用するというアナウンスがあったのを確認しました。(直接のリンクは控えますが、YouTube上で検索すれば当該動画を見つけられると思うので、気になる方は各自お探しください)

このフラッグテーマを巡る経緯について、個人的な意見は、残念という他ありません。
選手の個人応援歌が、コロナ禍で演奏機会がないまま、選手自身が退団してしまいお蔵入りしてしまった、というのは、巡り合わせの問題もあるので、これはこれで残念なのですがまだ受け入れられる範疇です。
ただ、フラッグテーマってチーム応援歌ですよ。応援団の匙加減で使う使わないの判断ができる応援歌を、一度は発表しておきながら、球場で披露することのないまま、応援制限の間に別の曲に塗り替えてしまって、元の曲はなかったことにするなんて、あんまりじゃないですか。
もしかしたら、YouTube上で応援歌を発表したその後で、何らかの使用できない事情が出てきたのかもしれません。(個人的に気がかりなのは、先述のとおりJリーグ岡山で先に使用実績があった点)
それでも、というかそれならば、球場で使えない応援歌を最初から発表するなという話に尽きるんですよ。部外者の目には、その辺の裏取りをした上で新応援歌を発表しているものだという風に映っているわけで、発表後に実はこんな使えない事情が出てきまして…なんて理由なんだとしたら、お粗末だなあという感想にしかなりません。


というわけで、長々と乱文失礼いたしました。
ところでもう一つ気になっているのが、今シーズンは'22作のフラッグテーマを使うと言っておきながら、件の二次会の動画以外では、試合中実際に使われている場面に遭遇できていないこと。
さすがに球団公式HPの応援歌集にもフラッグテーマの存在が明記されているくらいなので、今シーズンのチーム応援歌のラインナップには数えられていると思うのですが…。
この点についても、先日の'23ロッテ新応援歌第一印象の記事内で言ったことの繰り返しになりますが、チーム応援歌を作るなら作るで、ある程度定着させる覚悟や気概を求めたいところ。

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