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プラダを着た悪魔

プラダを着た悪魔って金曜ロードショーでも再放送された
万人受けする作品です。
でも正直私は面白いなと思いつつも観るのがつらいw
それは、これがクリエイターの苦しみを描いた作品だと思っているからなんです。

あらすじ

記者になりたいアンディ。
しかし何の因果か就職したのはヴォーグという超有名ファッション誌。
ファッションにもうとく、スタイルもよくないアンディは
どうして皆が「外見」や「仕事」にそこまでこだわるのかわからない。
その理由に気付き始め彼女は変わっていく・・・。

そういうダサい女の子が可愛く、美しく成長していく
恋に仕事に・・・なキラキラの
サクセスストーリーなのですが。



いいえ・・・でも信じるしかない


この映画は夢を追うことのリアルがめちゃくちゃ描かれています。
まず、冒頭でミランダが
「ファッションが大好きでこの会社に憧れてきた子は皆使えなかった」
と言います。

好き=才能がある、能力があるわけじゃない、
ほぼ全員使えない。と断言します。さらっと冒頭で!w

そしてヴォーグで働くミランダ、ミランダの助手、エミリーやエディターのジェームズ。
彼らは一見夢をかなえた、もしくはかなえる可能性の高い能力のある人に見えるんですが、本当は社畜です。
なぜか、
皆性格が悪いですよね。

才能がない

からです。

能力がないと言ってもいい。

本当に才能や能力がある人は
人をいびったりするする必要もなく、
自分が気持ちよく働ける環境を探して移動する。
アンディがそういう人物で、最後、
ミランダの呼び出しを無視して去って行く。
そして本当にかなえたい夢をかなえることができます。
本当の幸せっていうのを見失わない。

でもヴォーグで働くひとたちを見てると
決して幸せそうではない。
それはアンディの先輩であるエミリーのセリフからもうかがえます。


私は仕事が大好き私は仕事が大好き私は・・・

と体調不良を押して仕事をしているとき
そう自分に良い聞かせています。
好きな仕事で成功しているなら
そんなことする必要ない。

ミランダも成功者のように見えますが、
プライベートはサイアクだし、
社員を人質に取らなくてはならないくらいくらいギリギリで
今の立場を維持しています。


転職して本当に働きたい環境に移動することができない
社畜なんです。


多くの夢を追った人間の末路と言ってもいい。
スマートな人たちは「辞めて」いく。一見アンディが能力がない、どんくさい人物のように描かれていますが、
実は一番才能や能力があるのは主人公の彼女なんです。

そして私が(観客が)感情移入するのはむしろ
社畜なヴォーグで働く人々だと思うんです。

主役はむしろヴォーグで働く社畜たちであって、
彼らが最後どうなるのか、が私(観客)には切実な問題なのです。



夢を追いかけた(ヴォーグにきた人物)人間のパターンは

①才能・能力なし→即クビ
②中途半端なやつ→社畜と化す
③才能のあるやつ→見切りをつけてさっさと辞める

②の中から運が良ければミランダみたいな成功者になる可能性もある。
しかしそれはダークサイドに落ちることであって「悪魔」になる。
ということなんです。

後半、ミランダがジェームズをひどく傷つける場面がありますよね。
ああいうことをやってきたから今の地位を築いた、ということなんです。
成功者になるということは
「なにか(誰か)を切り捨てる」ということなんです。


本当にそう思う?

いいえ・・・でも信じるしかない


がクリエイターの現実なのです。
報われないと知って、でも信じるしかない。



友情

でもこの映画って陰鬱な印象がないじゃないですか。
EDもさわやかに、希望があるように描かれていく。
こんなにクリエイターの暗い現実を描いているのに
暗く見えない。

アンディはヴォーグをやめるし、ミランダやエミリーたちの日常って
特に変わってない。
なのに暗くない。
彼女たちが得たものって何だろうって思ったんです。
それは「友情」だと思うんです。

それはミランダの表情からもうかがえるんですが、

仕事で大切なのは「内容」ではなくて「人間関係」ってことなんじゃないかと思うんです。

そして社畜たちはアンディとの関りから失われた心を取り戻す。
それが救済になってるから観客はどこか希望を感じる。
失望しつつもなんだか楽しそうなミランダや
新人に厳しく当たりながらも、それがツンデレ的に見えるエミリー。
それがあるから
なんだか「これは楽しい映画だった」っていう気持ちになるんじゃないかなと思うんです。

女子のサクセスストーリーとして楽しんでもいいけど
クリエイターを目指した人間の社畜地獄として見ても面白いんじゃないかなと思いますw





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