結婚は「人生の墓場」ではない。「人生最大のリスク」である。
「両親の夫婦関係が最悪だったり、先輩が『結婚は人生の墓場だ』と言っているのを見て結婚について、正直良い印象がないんです。西村さん、どうしたら良いんですか?」
そうご相談を頂くことが最近また増えてきたので、noteで書いてみることにしました。
一昔前まで「結婚し、子どもをもうけ、育てていくこと」は大人として責務であり、慣習だった時代が続いていたと思うのですが、もはや「結婚とは宗教である」という時代になったのです。
売れ残る前に結婚したヤツは「勝ち組」、そうでないヤツは「負け組」。
酒井順子の「負け犬の遠吠え」がベストセラーになって「負け犬」が流行語大賞となってから早10年以上が経ちます。
「結婚できない負け犬」なのではなく「宗教観の違い」なのだと。
自ら結婚しないという生き方を選びながらも、肉親や親友含め周囲からいつ結婚するの?と問われ続けて悶々としていた世の女性方に救いの手を差し伸べたのがはあちゅうさんの「結婚はデメリット山盛り?!」なんだなぁと。
翻って自分の話。
ぼくは19歳、大学一年生の頃に結婚して、かれこれ結婚9年目になるのですが、本当に「結婚して良かったな」と思っています。
結婚して良かった理由を挙げたら枚挙にいとまがないですが、一言で言うと奥さんは「人生のスタビライザー」なんですよね。
仕事でへこみにへこんで、本気で死のうかなと考えちゃうくらい追い込まれた時も
「あたしだけはずっと味方だよ。あなたなら絶対大丈夫だから。無理しないでね。」
とぼくを励ましてくれて何とか乗り越えられましたし、逆に仕事が上手く行っていて浮かれている時は「ちょっと調子乗りすぎなんじゃないの?好事魔多しだよ!」と叱ってくれる。
時には嫁ブロックならぬ嫁アシストもしてくれる。
可愛い可愛いわが子を育てるパートナーでありつつ、子どものことを抜きにしたとしても彼女抜きの人生は考えられないです。
まさに、最高のライフパートナーです。
結婚とは、人生最大のリスクである。
「結婚とは墓場であるなんて、全くのウソだ。」
「墓場にするも、天国にするも自分次第でしょ」
なんてことを思っているぼくですが、じゃあ「誰もが結婚すべきだ」と考えているかというとそんなことは実は無くて。
ぼくは結婚を人生にとってプラスにするもマイナスにするも自分次第で、「結婚とは、人生最大のリスクである」と思っています。
「リスク」というとネガティブな捉えられ方をされがちですが、「リスク」の本来的な意味合いは「ある事象の変動に関する不確実性」のことを指します。
例えが適切かはわかりませんが、ものすごくボラティリティの高い金融商品のようなものです。
自分にあった適切な「銘柄」(パートナー)を選定眼と、パートナーとのクロージング力が大事なのはもちろんですが、それ以上に大切なのが「運用スキル」です。
「結婚は墓場だ」なんて言っちゃう人は、運用スキルの低さを自ら吹聴して回っているようなものです。
結婚して対等な関係のパートナーになったにも関わらず、自分中心でしか考えられず、家庭のことは家事も育児も妻に任せっきり。
それだけならまだしも、そうして家庭を切り盛りしてくれているパートナーへの感謝や尊敬の念は感じられず連日朝帰りで週末はゴルフ三昧。
こうした運用スキルの低い人が「結婚」というボラティリティの高い商品を運用できるわけがありません。
そうして運用に失敗して赤字幅が広がって「損切り」=「離婚」した人、またその寸前の人が「結婚とは墓場である」なんていうわけです。
結婚して幸せになっている人もいれば、不幸になっている人もいる。
それは単に「運用力」(スキルというよりはスタンス)の問題なのです。
だからこそ、そんなボラティリティの高い人生興味ねーよ!
もっと安定した商品を選んで生きて行くよオレは、ということなら長期保有(結婚)は辞めて、デイトレードとか短期保有(交際)を選べばいいんです。
いろんな銘柄を試せて楽しいかもしれませんよね。
ぼくはそうした生き方を全く否定しません。
結婚とは、「決断」です。
決断とは、「決めて、断つ」ことです。
つまり、結婚と言う決断をしたことによって確実に失われるものがあります。
それは、自分の好きなように生きる「自由さ」です。
ぼくにとっては、妻と過ごすこと、子どもたちと過ごすことが「好き」なので何不自由一つ感じていませんが、その結果「バックパッカーとして世界中を巡りたい」という夢は封印していて、未だに海外童貞です。パスポートすら持ってません。ダサいでしょ?
でも、それでいいんです。ぼくが選んだ道ですから。
子どもたちが大きくなって、経済的にも余裕が出て来たら、夫婦二人で世界一周したいという夢にいまでは変わっています。
もう一度言います。
結婚を人生にとってプラスにするもマイナスにするも自分次第で「結婚とは、人生最大のリスク商品である」と。
最後に大好きなアフリカの諺をご紹介して終えたいと思います。
“Fast alone, far together.”
早く行きたければ1人で行きなさい。でも遠くへ行きたければ誰かと一緒に行きなさい。
「おひとりさま」も素敵かもしれませんが「おふたりさま」も、悪くないものですよ?
※本稿はブログNow or Neverの記事を再構成したものです。