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【FNS27時間テレビ総括】総合演出の総合演出・プロデュースを担当し、『千鳥の鬼レンチャン』を手がける武田誠司氏に話を聞いた。

フジテレビ的には成功だったらしい。視聴率は期待してなくて、制作陣の鼓舞が目的。

フジテレビが大幅な衰退している今、会社の「求心力」となる番組として「27時間テレビ」を復活させる。それがやがてテレビ局“内部”だけではなく、視聴者という“外部”への求心力に再び転じる事を期待しているらしい。


【過去筆者が上げた記事】



1.【FNS27時間テレビ総括】松本VS大悟、火薬田ドンの狂気、ほいけんた「くるっくぅ」…笑いにまみれた舞台裏

オリコンニュース 2023/8/5(土)

■「FNS27時間テレビ」の総合演出・プロデュースを担当し、『千鳥の鬼レンチャン』を手がける武田誠司氏に話を聞いた。

千鳥(大悟、ノブ)、かまいたち(山内健司、濱家隆一)、ダイアン(ユースケ、津田篤宏)の3組が総合司会を務める、フジテレビ系超大型特番『FNS27時間テレビ』が、22日・23日の2日間にわたって放送され、大団円を迎えた。SNSなどでの反響、視聴率など、さまざまな好評が伝えられる中、成功の秘けつはどこにあったのかを振り返ってもらうべく、同特番の総合演出・プロデュースを担当し、『千鳥の鬼レンチャン』を手がける武田誠司氏に話を聞いた。

■破壊力抜群の華原朋美&丘みどりタッグ 

今回も健在だったほいけんた  オープニングは「テレビが一番元気だった時代をけん引してきた」と豪語する、伝説のTVプロデューサー・唐沢佐吉(秋山竜次)が、PRIDEのレニー・ハートよろしく、大声で出演者を呼び込むという演出だった。

「唐沢プロデューサーは古いテレビマンキャラなので、冒頭のPRIDE演出然り、『オレたちひょうきん族』のオープニング(歌劇「ウィリアム・テル」序曲第4部「スイス軍隊の行進(終曲)」)、映画『ミッション・インポッシブル』と、古くて誰もが知ってる曲を使いました。
今回掲げた『世代交代』『27時間テレビを塗りかえろ』というテーマをMC本人達が自ら口にするのは照れがあるので、その語り部として唐沢プロデューサーがとても重要な役割を果たしてくれました」。

MC6人がオープニングからフルスロットルで笑いを生みながら27時間テレビの幕開けを宣言する中、冒頭は『FNSスゴ技鬼レンチャン』。FNS27局の代表が生中継でスゴ技に挑戦し“技の成功”を繋いで27レンチャンを目指す…というものだった。2度目の挑戦で、大トリのダイアン津田が難易度の高いけん玉の技を決めて幸先のいいスタートを切った。「正直、オープニングで27レンチャンできるとは思ってませんでした。失敗した場合は、翌朝の『めざましテレビ』で各局に再度スタンバイしてもらってリベンジ…という想定をしてましたから。系列局の皆様がかなり時間をかけてネタ探しをしてくださって。アナウンサーのフリコメントからカメラアングルまで、当麻D、角山D、石川(隼)Dの要望に本番直前まで付き合っていただいて感謝しております。『このFNS中継こそが27時間テレビなんだよ』と社内からも喜びの声が多く寄せられました」。※角山D=新春爆笑ヒットパレードで世界の年またぎを次々に中継。「中継の神」と呼ばれている。

通し企画『100kmサバイバルマラソン』スタートを挟んで、この『27時間テレビ』での大きな軸のひとつでもある『千鳥の鬼レンチャン~サビだけカラオケ タッグモード大会~』が幕開け。名曲のサビだけを一音たりとも外すことなく10曲連続で歌い切れたら賞金獲得できる、『鬼レンチャン』の人気企画「サビだけカラオケ」のスペシャル版「タッグモード大会」では、トップバッターの華原朋美&丘みどりが躍動した。『鬼レンチャン』内で、2人はかまいたちからの酷評をバネに成功に挑むという物語ができており、それゆえにこのタッグは必須だった。

「華原さんと丘さんは『千鳥の鬼レンチャン』をとても愛してくださっていて。事前練習もかなりの気合いで臨まれていたと聞いてます。『この大舞台で絶対に鬼レンチャンを達成したい』『かまいたちの2人を見返したい』という“本気”があの結果につながったと思いますし、達成後にお2人が号泣される姿は視聴者の心を打ったと思います。山内さんのラップ、かまいたちさんのレオタード朋ちゃんダンスも、生放送のスタジオとしてとても良いアクトになりました」

かまいたちは、情けないピンクのレオタード姿が良く似合う。
いつまでもそういう存在でいて欲しいと思います。

そして、今回の『27時間テレビ』で大暴れしたのがほいけんた。元々は明石家さんまのものまねで人気を博してきたほいだが、『鬼レンチャン』では千鳥&かまいたちのVTR越しの“ツッコミ”で新たなキャラクターが開花。音程の変更、歌詞の改ざん(?)など、反則スレスレでレンチャンを重ねていく姿に、視聴者も笑わずにはいられない状態が続いていた。そんな期待を今回も見事に超えてきて、名曲「君は薔薇より美しい」で「変わったー」の部分を、高音が苦手なほいが「くるっくぅ」で乗り切る様子に大きな反響が寄せられた。 「反響が大きくて喜ばしい限りです。これまでの『鬼レンチャン』で、ほいけんたさんの何も取り繕っていない姿を千鳥さんかまいたちさんに見てもらって、ワイプいじり・スタジオトークによってさまざまな物語が生まれて…いつの間にか人気者になって。番組を立ち上げた2020年10月から約3年が経ちますが、まさかほいけんたさんが27時間テレビのキーパーソンになるとは。改めて、千鳥さんかまいたちさんのプロデュース力は心底すごいなと思いましたし、その場に立ち会えて光栄です」

■濱家&生田「ビートDEトーヒ」にほんこん 火薬田ドンの狂気も

ホームである『鬼レンチャン』企画で盛り上がった後には『チームDEファイト』。
1990年代、日曜よる8時に放送されていた伝説の番組『ダウンタウンのごっつええ感じ』から松本人志、今田耕司、東野幸治、板尾創路、ほんこん、木村祐一の6人が登場し、MC陣とチーム戦で大いに盛り上がった。
「準備期間が限られていた中、日置D、北山D、宮川Dが頑張ってくれて。
松本さんと大悟さんのあっち向いてバズーカであったり、冒頭でユースケさんがほんこんさんに物申したり…松本さん世代と千鳥さん世代の“笑いの競演”はとても見応えがありました。スタジオの隅にOAモニターがあったんですが、制作から美術スタッフまで何十人もの人間が食い入るように見てました」。

――NHKとのコラボ(※2)も、きっかけを作ったのは唐沢プロデューサーでしたね。 生田絵梨花さんをNHK(フジテレビ本社V4スタジオ)から『チームDEファイト』のスタジオ(同V2スタジオ)に誰が連れて行くのか。それはスタッフでもなくて、生田さんが自分から行くのも性分に合ってないだろうなと。そこで、唐沢プロデューサーがいたからこそ、そしてNHKさんの懐の広さがあったからこそ、“バラエティのノリ”の中で生コラボを実現することができました。唐沢プロデューサーブロックを27時間通して演出してくれた名城ラリータDにも感謝感謝です。


■番組のメインコーナーの一つでした。

チームDEファイト』終盤には、生田絵梨花が司会を務めるNHK総合テレビの音楽番組『Venue101』とのコラボ生放送で、濱家&生田のダンスボーカルユニット“ハマいく”による生「ビートDEトーヒ」も実現。
これまで『鬼レンチャン』で散々イジってきた「ビートDEトーヒ」が、MC陣、そして『ほぼごっつ』チームが見守る中で披露されることになった。

「昨年末から約半年間、『鬼レンチャン』でずっとイジらせてもらった「ビートDEトーヒ」が27時間テレビという大舞台で、NHKさんとの2元中継で、しかも松本さんの目の前で披露されるなんて感無量でした。

あの2元中継が無ければ、濱家さんは『チームDEファイト』に出演できなかったので。実現させてくれたNHKさん、そして松本さんをはじめとするほぼごっつの方々には感謝しかありません。ほんこんさんが駆り出されてキーボードを担当する様は最高でした」



(明石家さんま)『ラブメイト10』

『ラブメイト10』(明石家さんま)のコーナー中には『27時間テレビ』の名物キャラ・火薬田ドン(ビートたけし)も大復活し、弟子の火薬田小ドン(劇団ひとり)に人間水車をしかけるシーンで笑いを誘った。「27時間テレビを塗りかえるというテーマの中で、火薬田ドンの歴史にはなかった“何か”を生み出したかったので、たけしさんにご相談して劇団ひとりさんを弟子にして頂きました。実際は、三宅恵介さんと北山が全てやってくれたんですが、来年以降に繋がる“変化”を生めたと思います」。

『ラブメイト10』の後に放送された『真夜中のお笑いレンチャン』でも笑いが止まらなかった。“令和最強”のお笑い芸人が一堂に会し、“千鳥軍”と“かまいたち軍”に分かれてお笑い対決を行い、「WBC(=笑いが・バカスカ・クラシック)」と題し、本家の「WBC」にならって、全員、野球のユニフォームを着て、さまざまな笑いの競技で対決する。競技の審判は、進行役兼“お笑いレフェリー”の麒麟・川島明が担当した。 「ド深夜にふさわしくカオスでしたね。あの血気盛んな大勢の芸人さん達を見事に仕切った川島さんはお見事の一言でした。僕はあの手の“お笑い企画”には向いてない人間ですし、担当の中川Dは10を言ってやっと1聞いてくれる頼りがいのある後輩なので、『鬼レンチャンベースだからレンチャンシステムは入れてね』とお願いしたくらいでした。『ドッキリGP』『オムニバスGP』で日々笑いの研鑽を積んでいる中川が作る27時間テレビも見てみたいですよね」

中略

永島は、『時代』の間奏部分に僕が入れた『MC陣の奮闘』『フジテレビの決意表明』の口上を素晴らしいテンポ・声色で述べてくれて。フィナーレのドタバタの中であの落ち着きは見事です。井上は今回が初の27時間テレビでしたが、普段とは違う声の張り・ノリで現場の空気を作ってくれてましたね。グランドフィナーレのけん玉ではアドリブで津田さんを煽ってましたし。『時代』のときに号泣してたので映してあげれば良かったなと少し後悔してます。

■これが目的だった。しかもある程度は達成したらしい

27時間テレビという番組は、制作者はもちろんアナウンサーから技術美術まであらゆる部署の人間を成長させてくれる、フジテレビにとって大事なイベントなんだなと改めて実感しています」。




【参考:筆者の過去の記事】

終わり

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