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♯2 紅白歌合戦は「ニューミュジック世代の顧客」にとって楽しい番組になった。

大衆の時代から個衆の時代に変化しているのだから、大晦日に歌合戦を楽しみたい人は限られると考えれば、30%程度の視聴率は納得なんですけれどね。そもそも今どき大みそかと言ってもTV見るしか過ごす方法が無い人なんていないでしょう?紅白についての記事はおしなべて、昔の紅白と比べるとか、若者ばなれとか、K-POPがどうちゃらとか、TV離れとか、違うきがする。顧客世代を的確に見ればわかる事が多いのにね。



1.ニューミュージック世代が若い時には、紅白歌合戦を見ていない。

■いや、家族と同じ部屋でついているチャンネルはNHK紅白歌合戦ではあった。

そもそも演歌と歌謡曲という興味の無いジャンルの歌を見なければいけないのは、家族で同じ時間を共有しなければならないと言う年末年始の家族行事であり、日本全体がそうだから友人とも会えないし、出かけて行く店も開いていない時代。

今の時代背景を考えると、視聴率30%は健闘している。


■紅白歌合戦2022視聴率歌手別ランキング!最高と最低は誰?

2023年1月7日

企画モノ3つが「ニューミュージック世代」にとって嬉しかった。
3位【企画】桑田佳祐 feat. 佐野元春,世良公則,Char,野口五郎 / 時代遅れのRock’n’Roll Band 37.3%

4位【企画】松任谷由実 with 荒井由実 / Call me back 36.7%
7位【企画】安全地帯 / I Love Youからはじめよう 36.3%

演歌の大御所や気難しい歌謡曲の大物がニューミュージック陣営に危機感思って排除していた時期から見ると、やっと紅白歌合戦に出れている。

中島みゆきや吉田拓郎、山下達郎と竹内まりや、稲垣潤一、杉山清貴、久保田早紀、尾崎亜美、五輪真弓等々。
亡くなってしまった大瀧詠一の特集とかやって欲しい。


【紅白歌合戦2022歌手別視聴率ランキング】

1位【白】福山雅治 / 桜坂 39.5%
2位【紅】MISIA / 希望のうた 37.7%
3位【企画】桑田佳祐 feat. 佐野元春,世良公則,Char,野口五郎 / 時代遅れのRock’n’Roll Band 37.3%
4位【企画】松任谷由実 with 荒井由実 / Call me back 36.7%
4位【企画】ディズニースペシャルメドレー 36.7%
4位【白】KinKi Kids / 25th Anniversary Medley 36.7%
7位【企画】安全地帯 / I Love Youからはじめよう 36.3%
8位【白】純烈(ダチョウ倶楽部・有吉弘行) / プロポーズ~白い雲のように 36.0%
9位【紅】石川さゆり / 天城越え 35.8%
10位【白】Vaundy / 怪獣の花唄 35.6%
11位【紅】篠原涼子 / 恋しさと せつなさと 心強さと 2023 35.4%
11位【白】ゆず / 夏色 35.4%
11位【紅】乃木坂46 / 裸足でSummer 35.4%
11位【企画】back number / アイラブユー、高嶺の花子さん 35.4%
    ここまでで14組

15位【企画】氷川きよし / 限界突破×サバイバー 35.3%
16位【紅】坂本冬美 / お祭りマンボ〜スカパラSP〜 35.2%
17位【白】King Gnu / Stardom 35.1%
18位【白】King & Prince / ichiban 34.7%
18位【企画】加山雄三 / 海 その愛 34.7%
20位【企画】 THE LAST ROCKSTARS / THE LAST ROCKSTARS 34.1%
21位【白】三浦大知 / 燦燦 33.5%
21位【紅】SEKAI NO OWARI / Habit 33.5%
23位【紅】milet / Fly High 32.5%
24位【白】山内惠介 / 恋する街角〜きつねダンスRemix〜 30.9%
25位【白】郷ひろみ / GO!GO!50周年!!SPメドレー 30.1%
26位【白】 SixTONES / Good Luck! 27.4%
     ここまでで12組



2.【参考】 紅白に関する記事諸々

■紅白出場歌手は“特別枠”のほうが話題に…予想合戦はそろそろゲームチェンジの時期か


■大みそかの紅白視聴率35・3%、過去ワースト2位も視聴形態多様化で「比較に意味ない」の声も


■紅白歌合戦は「付録の豪華さで買わせる雑誌」になった…視聴率ワースト2が問いかけるもの

読売新聞 2023/1/5(木)



■【紅白歌合戦】福山雅治「桜坂」が瞬間最高視聴率39・5% ラスト7組がトップ10入り

日刊スポーツ 2023年1月5日



■第73回NHK紅白歌合戦2022 出場歌手別視聴率





3.【筆者の視点】

1).音楽業界には2つのニューウェイブが有る。
それを捉えたうえで「2022年の紅白歌合戦」を解析しよう。

①日本のポピュラー音楽がレベルが一段上がった。

Official髭男dism、King Gnu、藤井風
この3人について説明はいらないだろうけれど、音楽的に高いセンスと高度な音作りが出来ている。

②ポピュラー音楽の作り方が変わった

ヤマハの音声合成技術「VOCALOID」の登場により、デスクトップミュージック(DTM)において、VOCALOIDによるボーカルを使用することが新たな選択肢となった。

ボカロPの一部には、ハチ(米津玄師)やバルーン(須田景凪)のように、ボカロPとして活動した後、シンガーソングライターとして活動したり、wowakaやn-bunaのように、ロックバンドのメンバーとして活動する場合もある[12][13](中にはじんやナユタン星人、和田たけあきのように、ボカロ作曲と楽曲提供、更には歌唱も並行して行うボカロPもいる)。
2018年に米津玄師、2020年、2021年にはAyaseがYOASOBIのメンバーとしてNHK紅白歌合戦に出場した。また2021年には歌い手としても活動するまふまふが出場した。

ちなみに話題になった『うっせぇわ』の制作はボカロPsyudouが作詞作曲を手がけています。
今回の紅白歌合戦に出演したウタことAdoが歌唱した楽曲『新時代』は中田ヤスタカ作詞作曲でした。

紅白初出演の「Vaundy」は、

作詞・作曲・編曲のみならず、クリエイターとしてアートワーク制作や映像プロデュースも手掛けていること。 ほぼ全て作業を1人で手掛けてしまうVaundyさんは、中学生の頃からパソコン、キーボード、ギターという最小限のものだけで曲を作っていたそうです。

ネットと言う発表の場所がある事もあいまって、一人で作って一人でMV作って、アートワークまでやる人が増えて行くだろう。

Ado等が顔出ししないと言うのは、個人的なプロモーション戦略であって、音楽の根底の流れとは関係ない。顔出さない方が注目されて売れるというビジネス上の判断だけ。音楽性とは関係ない。


2).ニューミージック世代の顧客が侮れない

■音楽業界には2つのニューウェイブが有る一方、現役で活躍している1970年代に活躍したアーティストたちがいる。

懐古趣味と言うのではなく、未だに曲をリリースし得降り、ライブで年間数10万人を動員する力がある。日本のアーティストのライブ動員ランク10~30位とかに入って来るのは、やっと米国の音楽シーンに近づいた様だ。好きなモノは誰に遠慮する必要もない事。

■70才代のシニア層が演歌を好むわけでは無い

戦後のベビーブーマーである団塊の世代がプロレタリア革命」と言う流行にかぶれて、フォークソングの岡林信康を担ぎ上げて、反戦フォークとやらをでっち上げてしまった。
この層は、洋楽特にビートルズ等がお好み。

一方、それに嫌気を差したシンガーソングライターは、「誰も暴力革命なんかやりたくない」と言う大衆の気持ちを反映して、政治色を一切排除してそれ以降のフォークソングは日常の些細な事を描く方向になった。
これを支持したのは現在70才以下の「しらけ世代」と呼ばれた層。洋楽も聴いたが、日本語のフォークやロックやニューミュージックを盛り上げた。

フォークソングの流れからは、「吉田拓郎」や「かぐやひめ」等が人気になって行った。

都会出身の私大に通う富裕層の子供達「ユーミン」や「サザンオールスターズ」等が飛び出していき、山下達郎等を中心とした都会的なポップス(シティーポップ)も出現して行く。
はっぴいえんどやティン・パン・アレーがその音楽的な背景を背負っていた。

はっぴいえんど
細野晴臣、大瀧詠一、松本隆、鈴木茂によって結成された。日本語ロック史の草創期に活動したグループの一つ。

ティン・パン・アレー
(細野晴臣、鈴木茂、林立夫、松任谷正隆からなる音楽ユニット。


■吉田拓郎等がTVを支配しているア怪しい人達を嫌ってTVに出ずに地道なライブ活動中心で集客していた。そのプロモーションは深夜ラジオ。

日本は、どの国より平等で所得格差が少ない平らな国。
日本人が似非革命の祭りの後に好んだのが、ニューミュージック。
※「祭りのあと 吉田拓郎」の祭りは学生反戦運動の事。


ノンポリだとか、軟弱だとか非難され馬鹿にされたから、他人に主張しないし自分らの主義主張を鼓舞しない。
せめて歌う事、その歌を一緒に感じる事、それがその世代のライブに行く意味。観客としてではなく「同じ気持ちの共有者」としてのライブに行く初めての世代だった。

ニューミュージック世代が「紅白の衰退」という世間の悪評を全く気にせず見ている人達。その世代が、今回の紅白の後半の視聴率を少しだけ上げただれも指摘しない視聴者。

その世代が親になってゆとり世代を育てた。
自分は自分、他人は他人。個性を認め合う。
だから、若者音楽の大衆は消えた。

その代表の一つが乃木坂46。

その世代の子供たちは親が聴いている音楽を一緒に聴いて育ったので違和感が無い。親と仲良い世代。


※ニューミュージック(Wikipedia)

『広辞苑』では、1983年の第三版までは「ニューミュージック」の記載はなく、1991年の第四版から「ニューミュージック」という言葉が記載された.
ここには「わが国で、1970年代から盛んになった、シンガーソングライターによる新しいポピュラー音楽の総称。欧米のフォーク-ソングやロック・ポップスの影響下に成立」と書かれており、その後の1998年第五版以降、2014年現在の最新版第六版(2008年発行)まで同じ記述がされている。
コトバンクの説明も大体一緒で「1970年代前半から登場した日本のポピュラー音楽の一分野。
それまでの歌謡界がマスコミを媒体とし、芸人としての歌手が流行歌を生み出すプロダクション体制によって成立していたのに対し、アルバム作成やコンサート活動を中心とした活動で支持を得た。
欧米の最新ポップスの流れを強く意識した楽曲で若者の感性に訴える〈新しい音楽〉として認識された」「従来の歌謡曲に比べて新しい感覚の流行歌」「昭和40年代後半に現れた新しいスタイルの日本のポピュラー音楽。
フォークやロックの影響を受けた世代によって生み出された」などと説明されている。

続く


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