今季初の公式戦に臨んだア式、1ー0勝利で天皇杯予選学生代表決定戦に駒を進める
関東大学サッカーリーグ戦の開幕が2週間後に迫るなか、ア式蹴球部(ア式)は、今期初の公式戦となる第29回東京都サッカートーナメント(天皇杯予選学生系の部1回戦)での国士舘大との一戦に臨んだ。天皇杯本戦への出場を目指すア式は、試合開始直後からボールを保持することに成功する。しかし、シュートまでたどり着けない時間が続き、そのまま両チーム共に決定機をつくることができずに前半はスコアレスで終える。先手を取りたいア式は、後半も前半同様にボールを保持しながら、チャンスをうかがう。すると66分にMF伊勢航主将(社4=ガンバ大阪ユース)が相手DFライン裏へ出したスルーパスにFW駒沢直哉副将(スポ4=ツエーゲン金沢U18)が反応。駒沢が相手GKとの1対1を制し、ア式が先制点を挙げる。このリードを最後まで守ったア式が試合に勝利。31日に行われる学生系の部代表決定戦に駒を進めた。
序盤はア式がボールを保持するも決定的なチャンスをつくれない時間が続く。11分に伊勢が左サイドに展開したボールからDF西凜誓(社2=名古屋グランパスU18)がワンタッチでクロスを送るもペナルティエリア内でうまく合わせることができない。すると同じ11分に相手GKのゴールキックのこぼれ球を自陣で拾われピンチを迎えるも、相手FWのシュートはGKヒル袈依廉(スポ4=鹿児島城西)が危なげなくセーブ。25分にはMF山市秀翔(スポ3=神奈川・桐光学園)が左サイドからクロスを送ると駒沢がペナルティエリア内でヘディングシュートを放つも、ボールは惜しくもクロスバーの上へ。29分には相手のショートパスを使ったコーナーキックからクロスを送られる。意表を突かれ、直接ゴールへと向かうクロスに反応できないア式の選手たちだったが、DF笹木大史(商3=東京・早大学院)がゴールライン上で決死のクリア。この日センターバックのスタメンに起用された笹木がチームを救うスーパークリアを見せる。その後一進一退の展開が続き、両チーム共に決定機をつくり出せないまま試合が進む。そのまま0―0で試合はハーフタイムへ突入した。
後半の立ち上がりからア式は、攻勢をしかける。サイドバックを務めた西とDF佐々木奈琉(社3=新潟・帝京長岡)が何度もピッチを駆け上がりクロスからチャンスメイク。61分には佐々木のクロスを駒沢が頭で合わせるも、シュートは枠外。ア式は自分たちでボールを保持しながら着実に相手ゴールへと迫っていく。すると66分にハーフウェーライン付近でボールを受けた伊勢が相手DFライン裏へスルーパスを送る。相手DFの裏を取った駒沢がパスを受けるとそのまま相手GKの届かないコースへボールを流し込み、ア式が先制点を挙げることに成功する。その後、国士舘大がロングボールやクロスを使った攻撃でア式ゴールへと迫るが、CBの笹木とDF神橋良汰(スポ4=川崎フロンターレU18)が身体を張った粘り強い守備を見せ、相手に決定機をつくらせない。最後の最後までCBとGKを中心に集中した守備で虎の子の1点を守り抜いたア式が1-0で勝利をつかみ取った。
早関戦、韓国遠征と複数失点が続いていたなかでこの試合クリーンシートを達成したア式。「今年は守備のところにより取り組み、勝つ確率をチームとして高める」(兵藤慎剛監督 平20スポ卒=長崎・国見)と指揮官が言うように昨シーズン見せた攻撃力に安定した守備を加えることにチームは取り組んでいる。その取り組みの結果がこうしてリーグ戦開幕前に表れていることは自分たちの自信につながる。次戦である学生系の部代表決定戦の相手はア式が苦手としている駒大だ。この試合同様に新チーム始動から突き進んできた道を信じて戦うことで、昨シーズンからより進化したア式のサッカーを難敵相手に見せつけるチャンスである。ぜひ勝利を掴み、天皇杯本戦の出場、そしてリーグ戦開幕への弾みをつけてほしい。
(記事 荒川聡吾、写真 髙田凛太郎)
試合後インタビュー
兵藤慎剛監督(平20スポ卒=長崎・国見)
――試合全体を振り返ってください
新チームになってから初めての公式戦だったので、初戦の難しさは当然あるなと理解していました。その固さがあるなかでもチームとしてやるべきことを整理して90分間タフに戦えたことは良かったかなと思います。
――早関戦、韓国遠征と複数失点が重なるなか無失点で勝利を収めましたが、守備の面ではどういったことを求めていましたか
早関戦、韓国で2失点ずつしていたというところでは、そこのシーンをしっかりと切り取ってどういう現象が起きていたのかをそれぞれが理解したなかで、もっとこういうことが出来るよねといったことを把握してトレーニングで詰め込んでいきました。守備に関しては原理原則を個人として、グループとしてどれだけ守れるかということを常に徹底しながら、守備のフェーズを3月は中心に(練習で)やっていました。去年は守備のフェーズより攻撃のフェーズをずっとやっていたところから今年は守備のところにより取り組み、勝つ確率をチームとして高めるなかで、去年では考えられないような1-0という試合ができたというのは良かったと思います。ただ追加点も取れたシーンもあったり、ゲーム運びとしてももっと隙なくできたと思うので、またしっかりと振り返って31日に向かいたいなと思います。
――追加点を増やすためにどのようにチームとして取り組む必要があると思いますか
昨年は3-2、4-3で打ち勝つというチームを、超攻撃的にというところがありましたが、超攻撃的にという部分はぶらさずに3-2だった試合を3-1や3-0にすることを追求してよりチームとして成長した姿を見せていくことをイメージしているので、攻撃の部分では2点足りなかったことを反省しながら、(守備では)ゼロで終わったけどもっとシュートを打たせないことを追求してやっていきたいと思います。
――次戦に向けた意気込みをお願いします
31日しっかりと勝って、天皇杯に出ることも今年のチームの目標なので、そこでJクラブとガチンコでしっかりと勝負できる場を自分たちでつかみ取りたいです。この公式戦が2試合できることもリーグの開幕に向けて有利になると思うので、そこをしっかりと積み上げて31日に勝って4月7日に向かいたいと思います。
MF伊勢航主将(社4=ガンバ大阪ユース)
――難しい試合の中、1部の国士舘大相手に勝ち切ることができました。試合を振り返っていかがですか
初めての今年の公式戦だったので、独特の緊張感もあり硬い試合になりました。結構蹴り合いにはなってしまいましたが、そこで今年積み上げている練習をしっかり出した結果が、勝利につながったと思います。
――蹴り合いになったところで、ロングボールを多用してくる相手は苦手にしてる部分もあったかなと思いますが、対策や戦い方のプランはいかがでしたか
今年はシーズン立ち上げから本当に守備の練習を積み上げてきました。そこはみんなが自信を持ってやれていたので、そういった日々の積み重ねが出たかなという感じです。
――ケガから復帰されたところだと思いますが、コンディションはいかがですか
今日もあまりボールが足についてなかったり、ちょっとふわふわした感じがありました。ただ、あのアシストで自信がついたところはあります。まだ守備の1個寄せるとこだったり、セカンドボールを拾うところは体が動けてないので、そこは今日は90分出た分、次の試合からもう少し上げていけるかなと思っています。
――見事なパスで駒沢直哉選手(スポ4=ツエーゲン金沢U18)のゴールをアシストされました、あのシーンを振り返ってください
去年も後期の関東学院戦で寛太君(小松寛太、令6教卒=現いわてグルージャ盛岡)に同じようなアシストをしていて、ああいったパスは自分にしか出せないものだと思っています。直哉があそこで動くというのは、自分はボランチとしていつも見ていて、あそこに出したら直哉が勝てるだろうなと思ってるので、そこは信頼関係かなと思っています。
――主将としてピッチに立つ上で意識されたことはありますか
去年からチームの代表者としての意識は持っていた中で、主将としてより一層気が引き締まる部分はあると思っています。それでも、去年から自分は意識してやっているつもりなので、劇的に変わったというところはないです。やはり重みは感じているので、しっかりと自分がチームの中心として引っ張っていきたいなと思っています。
――チームの完成度的にはここまでどれくらいだと判断しますか
半分ぐらいかなと思います。今日も自分たちが目指しているサッカーをやってるかと言われればまだまだ足りないですし、点を決め切るところもまだまだだと思っています。ただ守備のところはうまくできているので、そこも含めて50点かなと思っています。
――中2日で次の試合を迎えます。意気込みをお願いします
(駒大と東洋大)どちらが上がってきても手強い相手ではありますけど、自分たちが積み上げてきたものを発揮できれば絶対勝てますし、今のチーム状態なら絶対いけると思うので、そこは自信持ってやっていきたいです。
FW駒沢直哉副将(スポ4=ツエーゲン金沢U18)
――見事1部の国士舘大相手に勝利となりましたが、試合を振り返っていかがですか
まず、今シーズンのトップチームとしての初の公式戦を勝利できたのは良かったかなと思います。
――国士舘大には最近なかなか勝てていなかった中で、どのようなことを意識はれましたか
つないでくるというよりは蹴ってシンプルにやってくる中で、ずっと1部に居続けられるというところが国士舘大の強みだと思います。それは何回も対戦して分かっている中で、少しまだ足りない部分もありましたけど、(失点)ゼロで11人でしっかり守り切ったというのはすごい良かったかなと思います。
――決勝ゴールのシーンを振り返ってください
少しずつボールを持てる時間が増えていたました。両チームともあまりビッグチャンスがない中で、一瞬のスキを突いて自分は常に動き出してはいるのですが、そこをしっかり伊勢(航、社4=ガンバ大阪ユース)が見てくれていて、本当にいいパスを決めるだけでした。
――GKとの1対1のシーンを落ち着いて決められました。今季の練習試合などで着実に得点を重ねられてることが、自信につながっているようにも思えましたが
今シーズンずっとコンスタントに決められているのですが、ここ2試合は決めれてなくて、自分の中ではモヤモヤしたところがありました。でも1対1のところは冷静に流し込めたなと思います。
――昨年からチームを勝たせるストライカーになるというところを意識されている中で、今日はご自身の得点でチームを勝利に導けたというのは意味があることだと思いますが、いかがですか
去年から(試合に)出ている時は、早稲田を背負ってというところで、すごく責任を背負う部分もありました。今年はより一層、チームとして4年生としてというところが出てきた中で、一つ自分がピッチ内で見せれるものを今日は出せたので良かったです。ただ、追加点だったりはまだできると思うので、それができれば100点だったかなと思います。
――中2日で次戦への意気込みをお願いします
昨シーズンもですけど、連勝が最近はできていない中で、今シーズンは島原でトップチームで出れた時は全部勝てたり、韓国でもいつもやらないような相手にも逆転して勝てたように、そういう勝負に勝ち切る粘り強さが出てきていると思います。今から始まるような公式戦やリーグ戦でそれが発揮できないと意味ないので、ここから本当に自分たちが試されるなと思います。
DF笹木大史(商3=東京・早大学院)
――試合全体を振り返ってください
僕たち守備陣が踏ん張って、前が決めてくれるという理想とした形で勝てたので良かったです。
――早関戦、韓国遠征と複数失点することが続いたなか、クリーンシートを達成しましたがどういった準備をして試合に臨みましたか
韓国で出た課題を(日本に)帰ってきてからチーム全体で把握して対策したことが(無失点の)要因だと思います。
――実際にどういった課題がありましたか
特にセットプレーの部分でピンチが多くて、それをミーティングを通じて全体で理解できたこともゼロで抑えられた要因だと思います。
――ビルドアップの起点となる場面が多かったですが、どのような役割を求められていましたか
自分がボールを持ったら、まず直哉くん(駒沢直哉、スポ4=ツエーゲン金沢U18)とか斜めを見るということはチームとして確認済みだったので、そういったプレーをいつも通りやれて良かったです。
――次戦に向けての意気込みをお願いします
今年「日本一」という目標を掲げているので、ここから全勝で勝っていきたいなと思います。
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