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レッズ少し隠れた名選手たち12「マリッチ」(リクエスト)

数々の名選手達によりクラブの歴史が作られてきた。
ここでは、実力も実績もあるけど、歴代ベストイレブンにはなかなか名前が出てこない。そんな選手達を勝手に独断と偏見で紹介していきたい。


第12回はマリッチ選手

トミスラフ・マリッチ
1973年1月28日
ドイツ出身(クロアチア代表)
FW
2005年
公式戦21試合14得点
背番号 18
前所属 ヴォルフスブルク
移籍先 ホッフェンハイム

いつまでも響いた「マリッチ」コール

抜群の決定力、ポジショニング、そしてなにより闘い抜くメンタル。エメの代わりにやってきたマリッチは、21試合14得点という恐ろしい得点率の高さで伝説となった。

プレースタイルはまさにストライカーで、ドリブルもキャノンシュートも見せることはほとんどなかったが、来たボールを決める…いや、ボールがマリッチに寄ってくる状態で、身体能力で完全に優っていなくてもポジションとシュート技術で点は取れる…と改めてストライカーに必要なものを見せてくれた。
特にクロスボールへのポジションは特筆すべきものがあり、高さで上回り叩きつける…なんてゴールは無しに等しく、相手の間にスッと入り込み、ほぼジャンプもせずに決めてしまうゴールが多かった。
とはいえポジショニングと神通力だけで得点を量産できるはずもなく、ゴールは全て枠の四隅に決まっていて、技術もさることながらいかに冷静にシュートを打っているかが分かる。

2005年7月にエメルソンが移籍に伴い登録抹消。
8月ポンテと共に加入した。FWに関しては緊急的な補強と思われる。
加入当初6試合で1ゴール。
前線でターゲットになるわけでもなく、ドリブルで1人2人と突破できるわけでもない。点取屋は点を取ること以外では評価されにくい。サポーターからも不安の声が多かった。

しかし、アウェイセレッソ戦、途中出場で1ゴールを上げてから不安は期待へとガラリと変わる。9試合で7ゴール。後半の8試合は全て先発フル出場。評価されるための唯一の仕事を、ハイペースでやってのけた。

これだけでは終わらない。
そう、天皇杯だ。
相手は山形、FC東京、川崎、大宮、清水。
レッズは全てに勝ち優勝するのだが、マリッチは5試合で6ゴール。しかも全ての試合で点を決めた。
大量得点で試合が決まった後のオマケの1点などはなく、全て重要なゴールだった。

実は今シーズン限りでの退団が決まっていた。来季はワシントン獲得の目処がたったからだ。
マリッチそれでもいっさい手を抜かず、全力を出し切り、結果を出し、チームとサポーターに天皇杯をプレゼントした。

天皇杯終了後、去就が注目された。
国内から複数のオファーが届いたという。活躍を見れば当然だろう。
マリッチが選んだのはドイツだった。
「悩んだが、日本のチームは浦和しか考えられない」
4ヶ月でサポーターの心を鷲掴みにしたサムライは、そう言って去っていった。


マリッチは点を決めた後必ずゴール裏に走ってきた。
エンブレムを掴み、叩き、感情を爆発させた。
ゴールという結果はもちろん称賛に値する。
それと並んでみんなマリッチという人間が好きだった。サポーターを大事にしてくれる、頬骨を折ってもチームへ尽くしてくれる。
だからこそ、みんな彼の名前を叫び続けた。
「マーリッチ!マーリッチ!」
そのコールと彼の勇姿はこの先も忘れることはない。


正直リクエストはされたが、ここに書いていいか悩んだ。
だってマリッチだよ?みんな知ってるじゃん?と。
でももう17年前の出来事。得点ランキングになんか当然載らない。
彼を知らない若いレッズサポが居たら?それはもしかしたら不幸と言ってもいいかもしれない。
そんな人に届いたらいいな。

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