ライフ・イズ・ビューティフル【★★★★★】

Netflixで配信されているのを発見して久々に観たくなったので鑑賞。

今まで観てきた映画の中で、ダントツで好きな映画が2つあって、そのうちの一つが「ライフ・イズ・ビューティフル」である。

とても有名で、好きな映画は?と聞かれこの映画を挙げる人も少なくないであろう名作だが、改めて物語の魅力と好きな理由を少々のネタバレも含みながら書きたいと思うので、アンチネタバレストでない方は是非最後まで読んでいってほしい。



ライフ・イズ・ビューティフルは1997年に公開されたイタリア映画で、原題は「La vita e bella」。
主演はイタリアの喜劇王(僕が勝手にそう呼んでいる)ロベルト・ベニーニで、第二次世界大戦時代のユダヤ人迫害を背景に描いたユダヤ系イタリア人親子の愛の物語である。

主人公グイドはとてつもないド陽キャで、歩いたあとに花が咲いていくんじゃないかというくらい明るい性格。
このグイドがとある田舎町で小学校の教師をしているドーラに恋をし、猛アタックの末無事結ばれることになり、やがて二人の間にジョズエという男の子が生まれ家族3人幸せに暮らしていた。

そんな幸せの時間も束の間、ユダヤ人迫害が行われていた戦時中、ナチス・ドイツによって家族3人は強制収容所へ送られてしまう。

母と引き離され過酷な状況に身を置かれる中、グイドは極めて明るくつとめ「これはゲームだ!ゲームに勝ったら本物の戦車がもらえるから頑張れ!!」と幼いジョズエが少しでも不安に感じないように命懸けで嘘をつきながら励まし続ける。

…とまぁ、簡単にあらすじを言うとこんな感じだ。


前述の通り、内容としてはかなりシリアスな題材であり、とても心苦しい物語であるが、ロベルト・ベニーニマジックでかなり緩和はされている。
しかし、緩和されているというだけで酷な内容であることに変わりはないし、かなり心えぐられる物語になっていることは間違いない。

タイトルは「ライフ・イズ・ビューティフル」(人生は美しい)だ。

もちろん捉え方は人それぞれだと思うが、僕はこの映画を見終わったあとは、なんともあったかい気持ちに包まれる。
こんなにひとつの映画を観て、切なくて苦しい上に優しくてあったかくて幸せになれる作品は他には無い。

そう、この映画には喜怒哀楽の全てが詰まっている。


物語前半はグイドとドーラの恋物語。
正直、ここだけ観ればどこにでもありそうなラブコメディで、ラブストーリーがあまり得意ではない僕には少し退屈にすら感じてしまう。
しかし、戦争というのはしあわせな生活を一変してしまうということ、ユダヤ人迫害という残酷な現実を表現するために必要不可欠なストーリーであり、後半に向けた「落差」という角度をつける大事なプロセスになっている。

個人的にとても印象的で大好きなシーンが実は前半部分にある。
グイドは出会った頃から度々ドーラを「principessa」(お姫様)と呼ぶ台詞が随所に散りばめられている。

ある日お風呂に入りたくない幼い息子のジョズエが棚の中に隠れ、ドーラを驚かせるために棚から飛び出し


Buongiorno! Principessa! (こんにちは!お姫様!)

と、グイドの真似をするようなシーンがあるのだが、これがとてつもなく愛らしくてたまらない。

そんな幸せな風景から一変して過酷な状況へと移っていくのだから、余計に胸が痛くなる。


そして、物語後半は強制収容所でいつ命を落とすかも分からない緊迫したシーンが続いていく。
グイドは過酷な労働と、苦しい状況の中ジョズエの前では決して笑顔を絶やすこと無く、ひたすらに楽しい場所であると思わせるように演じ続けるのだが、この父親としての強さと愛情にグングン心は引き込まれ、感情移入が半端ない。
それだけでなく、会うことも許されない愛妻ドーラに様々な方法で愛を伝えようとし、最後まで家族を守ることとこの状況から抜け出すことを決して諦めることはなかった。

ここまでの全ての物語を経てエンディングシーンを観てスタッフロールが流れてくる頃には、色んな思いを噛みしめて涙が止まらず、何故か自分も深い悲しみを乗り越えて幸せを得たような気持ちにさせてくれる。

人生は決して楽しいことばかりではない。
悲しい出来事も起こるし、命が危ぶまれる出来事が訪れることもある。

しかしどこで過ごすかより、誰と過ごすか。
そしていい事だけを数え悪い事を嘆くのではなく、悪い事をどう生きればいい事に変えていけるかを思い行動すれば、どんな人生も美しいものになるということをこの映画が教えてくれる。

いい大学を出ることが、一流企業に勤めることが、誰もが羨むパートナーと結婚する事が、大きな家に住むことが、ブランド物を纏うことだけが人生を輝かせるのだろうか。

もちろんそれも大切だと思うし、そこに価値を見出す人もいるだろう。

僕は苦しい状況にあっても、お金はたくさん無くても、大切な人と笑い合える日々が幸せだと綺麗事では無くそう思える。

そんなことをしみじみと感じさせてくれるライフ・イズ・ビューティフルは最も心に残る名作であり、もちろん星は

【★★★★★】(5.0)

現実の世界で希望や愛が足りなくなった時は、心のビタミン剤として是非すべての方にオススメしたい。

Arrivederci.

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