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分けることは、分かること

コンサル会社に転職する前は、
銀行で約7年間、企業に対する融資業務
を行っていた。

決算書の分析や、
経営者との面談を通して、
「この会社にお金を貸して
 ちゃんと返ってくるか」
を見定め、銀行内部で承認を得るために
「稟議書」と呼ばれる資料を
作成することが主な役割である。

融資の仕事には明確にゴールがある。

「貸したお金が、期限通りに
 返済されること」だ。

そして、明確にゴールがあるということは
融資担当者としての
貸出してよいか、否かの判断には
正解・不正解が存在する。

「不正解」は契約で定めた期限通りに
貸出金が返済されないことである。

もちろん、自然災害やコロナ禍など
融資の判断時点で想定が難しい理由で
計画が変更となることはある。

ここでいう「不正解」は、
・注意して読めば見抜けたはずの粉飾を
 見逃してしまう
・融資にあたって、本来調査すべきことを
 調査していない
などが原因で、貸出金が焦げ付いて
しまうことだ。

以上のことから、
(当然だが、、)個人の主観、好き嫌いで
融資の可否を判断することはできない。

判断にあたって軸になるもの、
客観的な原理原則が必要である。

私が、企業に対する融資の判断をする際、
常に頭の中で唱えていたことは以下の2つだ。

『(融資金を)何に使って、どうやって返すのか』

『分けることは、分かること』

前者は、
"何に使って"="資金使途"
"どうやって返すのか"="返済原資"
を担当者として明確に説明できる融資金は
ちゃんと返ってくる、という原則だが、
これについては過去の自分の失敗を踏まえて
また別の機会に話したいと思う。

後者の『分けることは、分かること』だが、
説明するまでもなく、言葉通りの意味である。
(余談だが、「ことわり-理-」という日本語は
 「事」を「割る」が由来らしい)

「会社」というのは、様々な要素が
複雑に絡み合って構成されている
ひとつのシステムだ。

何の手も加えないで、直感的に
理解できるような代物ではない。

いくつかの要素に「分け」た上で
理解する必要がある。

例えば、スーパーマーケットを10店舗
運営するA社の年商12億円という数値を
直感的に理解することは難しいが、

店舗数が10店舗あり(12億円÷10=1.2億円)
月商にすると(1.2億円÷12か月=1千万円)
営業日が20日として日々の売上は
(1千万円÷20日=50万円)
顧客単価が1万円とすると来店人数は(50人/月)

ここまでくると、手触り感がある数値として
事業のイメージが湧いてくるのではないだろうか。

融資ができるかどうか、
貸したお金が返ってくるかどうか
を判断するときは

『分けることは、分かること』

と、頭の中で何度も唱えながら
自分がその会社を理解できるまで
分けることを意識していた。

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

本当は、本稿の内容は
"【経営事典③】3C分析とは"
の前書きとして書き始めたものだが、
取り留めもなくだらだらと
書き連ねてしまったので一旦ここで終わりにしたい。

この話と3Ç分析がどのようにつながるのか
については、次回で説明する。
(また取り留めない話にならないよう、
 気を付けます。。。)


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