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草創期(小児がんと向き合う家族の記録)

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コロナが蔓延した2020年秋、我が家の次男坊の脳に腫瘍が見つかりました。数度の手術、抗がん剤治療、大量化学療法を経て9ヶ月後に退院。病院で過ごした日々を忘れないように、少しずつ書…
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終わりの始まり

終わりの始まり

草創期を書き始めたのが5月頃
最後の治療に入る前だった

自分の書けるタイミングで、過去と現在を同時に書きたいように書いていったので、時系列通りになっていなかったものを並べ替えながら投稿した

少しずつ書きながら、いつ載せようか迷って迷って最後まで書き溜めてしまった

このまま自分用に保存しておくこともできる

けれど載せたい気持ちがある

病院で付き添い過ごした9ヶ月間は
あまりに独特で非現実的

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退院その後

退院その後

退院後一ヶ月がとうに過ぎた
痩せてしまった足はいくらか肉がついてきたまだおしり移動が多いが頑張ってトイレにも行ってくれるようになった

髪の毛や眉毛、まつ毛も生え揃ってきたのでだいぶ顔色もよく見える
体毛は大事だなと感じる

課題になっていた味覚障害と偏食は
ゆるやかに戻り
食べず嫌いを克服する毎日だ

防カビ剤や防菌剤などの飲み薬が終わったので、自己免疫力を高めなくてはいけないそうちゃん
苦手な

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草創期 退院

草創期 退院

退院の日は突然やってきた
二日間のお試し外泊後、まもなくだった
そろそろかなとは思っていたけど
こんなに突然お声が掛かるのかと驚いた

大部屋や病棟でずっと一緒だった
お友達ともお別れだ
慣れ親しんだ看護師さんも
保育士さんやワーカーさんとも会えなくなる

喜び反面、寂しさを感じた複雑な心境
9ヶ月病院で過ごしたのだから無理もない

最後の夜間付き添いの日、病棟は珍しく
静かでソワソワして眠れなか

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草創期 ラスボスは倒せたのか?

草創期 ラスボスは倒せたのか?

最後の治療、大量化学療法の結果が出たのは大部屋に移動してしばらく経ってからのこと

体力が少し戻って様態が安定してきたところでMRI検査をする
結果はすぐに出ないので待ち遠しい

その間そうちゃんは体力を戻すために
リハビリに励んだ
アンパンマン号に乗って
院内を走ったりもした

本退院がもうすぐ目の前に来ているのを
感じていた
あとはそうちゃんの体力や血球の回復次第

待ちに待った結果が出た

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ラスボス退治後半戦

ラスボス退治後半戦

最後の治療、大量化学療法

その名の通り大量の投薬をしたのだと思う
けど比べる対象がないので実際のところ
なにがどのくらい多いのかよくわからない
(聞いたところで私ではよくわからない)

抗がん剤投与の後も抗生剤や輸血など
複数の点滴が毎日続く
それを初回から4クール終えて今回が最後
今までで1番頻回な気がする

トータルで身体に入った薬や輸血の数は
いちいちカウントしていないけれど
さっと思い返

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そうちゃんはまだまだ元気!

そうちゃんはまだまだ元気!

毎日がんばることの多いそうちゃん
状態は予想より良くて万々歳だった
最悪ケロイドのようになることもあると
予想した皮膚は看護師さんたちが口を揃えてきれいだと言った
でも薬の影響で身体の全部が浮腫んでいる

そんな矢先カテーテル刺入部周辺の痛みを
訴えるようになり、少しずつ腫れと赤みが
目立つようになった

日増しに腫れと赤みが増すので
感染症の疑いがあるとのこと

発熱もしている
刺入部周辺を触る

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そうちゃんはまだ元気

そうちゃんはまだ元気

ラスボス退治がついに始まった
個室に移動し、投薬に向けて準備が始まる

この日から親の夜間付き添いはしばらくお休みだ
そうちゃんに前々から言い聞かせてきたけど
やっぱり寂しいのはお互いさま

最後の治療で使う抗がん剤は
点滴で体内へ入った後、排泄物だけでなく
汗からも排出されるようで
被爆しないようにガウンやゴーグルをつけて接触する

加えて治療中は気をつけることが増えるので必然的に親も助手として

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カウントダウン ラスボス退治へ

カウントダウン ラスボス退治へ

4クールの治療を終えて待ちに待った一時退院
5日間の短い休息を終えて早めに病院に戻った

万全の体制で治療に入りたい
そうちゃんのコンディションが
整っているうちに
早めに病院に戻るように計画した

これで最後 無事に終えて うちに帰ろう

ガン細胞消えてくれ 
そしてそうちゃんが大きくなるまで
どうか隠れていてほしい

ガン細胞はみんな持っていて
良い細胞が負けたときに現れる

大人になったらき

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草創期 14(小児がんと向き合う家族の記録)

草創期 14(小児がんと向き合う家族の記録)

4泊の一時退院があっというまに終わり
バタバタと病棟へ戻る2月の2週目

治療の3クール目は
1、2回目より薬の量が減り
毎日頑張った口内炎予防で
副作用も軽減された

病院生活も慣れてきたのか
楽しみを見つけながら頑張っている
そうちゃん

プレイルームでお兄ちゃんたちが
やっているマリオカートゲームを見て
そうちゃんもやりたい様子
隣りで真似っ子してやってみたりした

他の子とあまり関わろうと

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草創期 13(小児がんと向き合う家族の記録)

草創期 13(小児がんと向き合う家族の記録)

2クール目が始まった頃から
介護休暇を使い付き添い介護の日々

一度目の治療の反省を教訓に
やるべきことを二人三脚で頑張る日々

口腔ケアは必須で歯磨き、うがい薬、
保湿を徹底した
それでも治療が始まりしばらくすると
口内炎ができる

口が痛いのでごはんが食べられない
ゼリーやプリンをシリンジ
(注射器のようなもの)で1時間かけて食べる

そんな日々が続いて途方に暮れ始める頃
少しずつまとまって食

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草創期 12(小児がんと向き合う家族の記録)

草創期 12(小児がんと向き合う家族の記録)

楽しかった一時退院が終わり
お正月明けに病院へ戻る

病院側に私の正直な気持ちを伝えたうえで
治療継続の意向を伝えた

私の拙い話に耳を傾けてくださり
歩み寄り理解してくださったので
とても感謝している

新年が明けて気持ちも決まった
仕事を休みしばらく昼夜付き添いで介護に専念する

一緒にいるだけで私もそうちゃんも落ち着いた
慣れない付き添い生活も住めば都だった

何よりそうちゃんの変化に
いち

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草創期 11(小児がんと向き合う家族の記録)

草創期 11(小児がんと向き合う家族の記録)

一度目の抗がん剤治療が終わり
初めての一時退院
3日くらいかなーと予想していたのだが
お正月休みも重なって1週間の退院だった

およそ2ヶ月ぶりの家族団らんは
それはそれは楽しくて
そうちゃんも嬉しそうだった

気をつけなければいけないことが
たくさんあるので
いろいろと気を使うけれど

喜びのほうが勝って
とにかくいろいろ頑張った

そうちゃんが大好きなパンを
前日から仕込んで薪ストーブで焼いた

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草創期 10(小児がんと向き合う家族の記録)

草創期 10(小児がんと向き合う家族の記録)

一度目の抗がん剤治療が終わり
カテーテルの再手術も終えて
自己末梢血幹細胞を採るために個室へ移動

そうちゃんの末梢血幹細胞を
二日間かけて採取し
治療の最終段階でそうちゃんの身体に戻す

(自分の細胞を移植するので
合併症は少ないらしいが
新しい治療方法なので前例があまりない
治療後成長にどう影響するか
データ取りと経過観察が必要になる)

今回の治療でとても重要で
見ていて緊張の多い処置だった

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草創期 9(小児がんと向き合う家族の記録)

草創期 9(小児がんと向き合う家族の記録)

そうちゃんは生まれた時から頭が大きかった

そしてあまり活発に手足を動かさなかった

ゴロンと寝かせていればそのままほぼ動かず

よく笑いよく飲むおっとりした子だった

左向きで寝るクセがあり

直しても直しても必ず左を向いた

なので頭部左側は絶壁になってしまった

首すわりが遅くて健診で引っ掛かり

しばらく病院に通い、リハビリなど受けた

ようやく首がすわったのは8ヶ月の時で

寝返りやずり

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