見出し画像

HEDDPHONEを買った。

こんにちは。Studio MASSパートナー、マスタリングエンジニアのミズノです。
皆様いかがお過ごしでしょうか。

自分は最近ちょっと高い買い物をして,
確信を持って買ったものの果たしてコレを十二分に活かしてちゃんと良い仕事に繋げてゆけるだろうか、
とハラハラしています。


今日はなぜ自分がこんなにお高いヘッドフォンを買ったのか、
自己分析も兼ねて書いていきたいと思います。


もくじ

・環境に左右されない基準が欲しかった

・試聴、確信に変わる

・出会ってしまったからには

・買った頑張る



環境に左右されない基準が欲しかった。


まずはコロナにより自宅作業が増えた事により、
自分の所属するStudio MASSのスピーカーの音を長らく聴いてなかったところが発端。

自宅では突貫ではあるものの環境を整え、
緊急事態宣言発令時にはマスタリングも自宅で行なっていました。


そこで気になるのがMASSで音を聞き触った時との仕上がりの差。
機材の問題も少しはあるかもしれませんが、1番大きいのはやはり音楽と耳を接続するスピーカー/ヘッドフォンなどの出力部です。

加えて最近ではMASSのルームアコースティック改善も進めていて、
改めて部屋による音への影響はとても大きなものだと実感したところでした。
少しの工夫で変わる出音に、一瞬何を信じたら良いか分からなくなってしまいました。

マスタリングとは極論、何を聞くかです。
その、聞く の部分に不安を持ちたくなかった。
自分が一体何を聴けていて、何を聞けていないのかなんぞ出来るだけ考えずに良い音を作る事だけに集中したかった。

エンジニアの中には絶対音感のように音への判断基準がハッキリとあり、
どんな環境でも適切な判断が下せる方も居るかもしれません。
自分はその例えでいくと相対音感が強いタイプです。
安定した環境でマスタリング前の音源を鳴らした時に初めて、
聞き慣れた素晴らしい仕上がりの音源たちと比べて何が足りていないのか、
何が過剰なのかを正確に判断する事が出来ます。

今後の状況も見通しが付かず、
これからもしかしたらコロナとは更に別の要因でStudio MASSや自宅以外の場所で作業することもあるかもしれない。
実際つい最近、生配信の現場でヘッドフォンで音を聞き良し悪しを判断する役割を任された経験があったりと、
これからも変わってゆくであろう作業環境の中で、変わらない基準となる持ち運べる相棒への欲求が高まっていました。


試聴、確信に変わる


元々自分がヘッドフォン/イヤフォンをだいぶ使うタイプだった事もあって、
ハイエンドヘッドフォンは以前から気になっていました。

YAMAHA HPH MT-8はとても良いヘッドフォンですが、
何というか音の周りが見え辛いです。
顕微鏡的でディティールベースでの作業はしやすいものの、
音をまとめて俯瞰した時の景色を見るのには向いてないように思います。

ローの存在も確認は出来ますが、
ローの動きと共に押し出される/引っ張られる空気感までは分かりません。

そんなんヘッドフォンに求める事かよスピーカーの存在を思い出せという葛藤を抱えつつ、
20 Best Headphons for Monitoringみたいな海外のサイトで紹介されていたGRADO ps2000eの中古と最近気になっていたHEDDPHONEがあるフジヤエービックに試聴に行ってみる事に。

画像2

試聴時はYAMAHA HPH-MT8も持ち込み、
自分で持ち込んだリファレンスWAV(大好きなヘバカドリーマスタリング作やcommodoなど)をmacのヘッドフォンアウトから聴いたり、
お高いヘッドフォンアンプでその場にあったクラシックやマイケルジャクソンのCDを聴いたりしました。

結果、重さと能率以外のあらゆる面でHEDDDPHONE一択でした。
どの帯域の再生にも余裕がありリラックスした感覚と音の手触り感実在感の同居(特にスーパーローの無理の無さに感動した)、
解像度と細かなショートディレイや埋もれがちなリバーブなどの音の外の要素も意識せず聞き取れる分解能の高さ。
GRADOも良いヘッドフォンなのかもしれませんが、
求める傾向とあまりに違いすぎて全然聞かずに候補から外してしまいました。

極め付けはたまたま持っていた自宅で仮マスタリングした音源を聴いた時の感触。
仮と言ってもレベルは普通に入ってるんですが、
コレがHEDDPHONEで聴いた時だけ、他のリファレンスたちより一回り小さい、狭い音像として聞こえたんです。
HEDDPHONEの音に慣れた今改めて振り返るとローミッド以下の厚さや振幅の無さが原因だったのですが、
HPH-MT8やiLoudでは聞けないものが聞ける、と確信したのはこの時でした。


出会ってしまったからには


画像1


そこからはもう今すぐにでも買いたい、
早くこの音を聞けるようにならないと今後の耳の成長に関わる。
などと焦る自分を抑えつつ、
一旦落ち着いてMASSの再生環境とも照らし合わせて
本当に必要なのか、
コレが無いと出来ない事があるのか、
と1週間ほど考えました。

正直なところ可搬性を度外視すれば、
スーパーロー以外の部分はMASSで十分に見えます。
問題はそのスーパーロー。
MASSでも見えなくはないのですが、
勘と経験で補う部分もある状態でした。

HEDDPHONEは本当に無理なく当たり前のように存在するスーパーローを再生してくれます。
オーディオ沼の先達が言う、沈み込む低音 というやつ。
振れ幅や弾力も手に取るように分かります。
勘と経験ももちろん大切ですが、
存在するものが当たり前に聞こえて何が悪い。
いや、何も悪くない。
むしろそこがスタートラインではないか(自己洗脳完了)

と、いう事で。


買った頑張る


画像3


いらっしゃいHEDDPHONE。
今後よろしく相棒。

デカい。重い。首痛い。
可搬性ギリギリ。
目下ケースが無くてヤバい。
ケースあったらあったでデカイでしょ...。
あとはUSBバス駆動のヘッドフォンアンプが欲しいな...。

それでも現在自宅やスタジオで計30時間手前くらい音を聞き、
仕事でも少し使ってみて、
音に関しては安心して任せられると信頼出来ています。

これからStudio MASSでは信頼の置けるサブモニターとして、
自宅や出先では音の基準として、
大事にガンガン使って行こうと思います。

やっぱり普段聞いてる音のレベルを引き上げるのが何にも勝る修行になるなと思いました。
新たな相棒と共にこれからも日夜良い音を追い求めて参りますので、
マスタリングエンジニアをお探しの際はStudio MASS、Soushi Mizunoを何卒よろしくお願い致します!

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?