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オッペンハイマーの憂鬱 2024/03/29
・歩いて河原町まで下った。映画を観たり、Seriaで4月からの生活用品を買いだめたりするなど。鴨川沿いの桜は余寒のせいで今日が開花日、まだ蕾ばかりだ。1週間後に満開を迎えそう。
・映画『オッペンハイマー』を観てきた。公開初日なので混み合っていたが、予約は簡単に取れた。年配の方も若者も多く、多方向からの関心が窺える客入り。
※以下、『オッペンハイマー』の内容のネタバレを含みます。
・物理学者の伝記映画ということで、理学部の徒としての視点から鑑賞した。私は数学専攻なので用語の一部には疎かったが、宇宙物理学も量子力学も初学者向けの講義で得た知識でおおよそ理解できた。ただし……
・1940年代のアメリカ史、特に政治の動向は復習しておくとよかったかも。あと、各国との距離感は説明無しで変化していくため、第二次世界大戦史は必須。
・クリストファー・ノーラン監督作品の特徴であるランダム時系列が史実の上で発揮されるので、どこでどの年代の話かを追うのが大変だ。主演のキリアン・マーフィーの年齢不詳な佇まいのせいでもある。
・Wikipediaに載る程度の逸話はほぼすべて盛り込まれていたが、アインシュタインが老師に近い役割で活躍したのは驚いた。科学者って60代でもまだ健在な人が多い。ボーアも壮年期で、貫禄があった。あと、オッペンハイマーの対となる存在として、「水爆の父」テラーも登場する。彼にも罪悪感はあったが、発明を悔いなかった。
・トリニティ実験の描写は、語るまでもない。想像を超える、爆発の恐ろしさ。ノーラン監督が見事に表現してくれた。Dolby Atmosの爆発音って、通常よりデカい気がするので心臓に悪いけれど……(『ダンケルク』のときも感じた)。
・助演男優賞も獲ったロバート・ダウニー・Jr. が素晴らしかった。思考が読めない演技を見せつけられた。こういうシリアスな役をもっと見てみたい。
・あと、マット・デイモンも出ていたが気付けなかった。いつもこっそり出ている大物俳優。
・「大気に引火する」→「世界全土を破壊する」の可能性が想定され、計算で否定されたという経緯は初耳だった。想像力の産物が実現したという点では、飛行機やコンピュータに並ぶ偉業であると再確認した。
・でもやっぱり、哀しい話だったな。哀しさだけが100年残っている。哀しさを忘れてはならないという意味で、また何年後かに鑑賞しようと思う。
・とても良い天気だった。春が駆け寄って来ている。
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