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冬の知床初体験。野生動物たちとの楽しい週末②(2023.2.11)

シマフクロウの夜が明けわずかな仮眠をとって体の中の暦が変わって翌日・・・、早朝5時30分に羅臼港へ集合ということで、5時過ぎに民宿まるみ食堂を出て羅臼港へ向かいました。思ったほどに寒くはなくー4度ほどか。
まだ真っ暗な羅臼は、シマフクロウを観察しているころから降り続いたさらさら雪が道路に積もっていました。
羅臼港に近づくと、多くの船に光がともり、町を歩く人たちが見えます。各社の船が早朝クルーズに出るので、それに向かう人たちです。不思議な活気がありました。

港は観光船と漁に出る船の出港準備で明るく照らされていた

待合所で受付をし、全員がそろうのを待ちます。私たち以外には、外国人5人と日本人1人というメンバーでした。私たち以外は昨日に続いて連続で来ているそうです。

アルラン三世に乗り込む
漁船の灯りを背に港を出ていく

5時40分ごろ、船に乗り込み船室に入ると、そのまま船は港を離れていきます。

アルラン三世は一番手で進み、その後を観光船が続きました
2~3㎞沖の流氷帯に到着

日の出の1時間ほど前に出港する早朝便は、その日の状況に合わせて流氷帯を目指します。羅臼のようなオホーツク海側ではなく根室海峡側の流氷は、知床半島を回り込んで入ってくるので、必ずしも接岸しているわけではないようで、海を漂っている状態のようです。前日は岸からも流氷が見えたのですが、今朝は沖に流れてしまっているようです。
それぞれの観光船は流氷の端に着くと一定の間隔をあけてエンジンを切り、鷲の到着を待ちます。
岸を眺めると強い光を放つ漁船が一列で海峡の奥へと向かっていくのが見えました。流氷の時期は氷の状況が目視できるよう6時出港となっていて、その時間になるとスケソウダラの漁場へと向かっていくのだそうです。

スケソウダラ漁の漁船が列を作って出港する
船には羅臼で取れた魚を冷凍したものが鷲の餌として積まれている
それぞれの観光船は流氷の中に一定の距離を保って停泊
早速オジロワシがやってきた

船からは流氷の上に向かって凍った魚を投げる。それを食べに多くの鷲たちがやってくるというわけ。自然の生態系を守るため、羅臼で取れた魚だけを使っており、立派なサバやニシンが与えられています。
早速あちこちから嘴の黄色いオオワシ、精悍な雰囲気のオジロワシが集まってきます。どちらも天然記念物に指定される貴重な野鳥ですが、ここでは多くの個体を見ることができます。

オオワシがやってきた
こちらはオジロワシ
オオワシとオジロワシのそろい踏み
何かを語り合うオオワシ
オオワシ学園?
その間で餌を狙うカラス。ワタリガラスかな?

今日は残念ながら国後から登る日の出は味わえなかった代わりに、気温はそれほど寒くなく風もないので、じっくりと撮影ができました。聞いてみると、前日は-10度以下でさすがに寒かったとか。

船の周りが流氷に囲まれる
パズルのように集まる流氷
かつてはびっしり流氷が根室海峡を覆い、国後まで船を捨ててたどり着いた人もいたとか
お腹いっぱいになると「置物」になる鷲たち
船のいろいろな位置から撮影ができる

すごい肩の力を見せつけてくれながら、凍った魚を流氷の上に遠投し、鷲たちがそれを食するということが続くと、一通り満足したのか急に鷲たちの動きが止まり、「置物」になってしまう。そうするとそろそろ帰投のころ合い。8時をめどに船はエンジンを再始動し、ゆっくりと流氷をかき分けながら羅臼港へと向かいます。
鷲の写真も後でたっぷりとまとめます。

それぞれの船の周辺にも鷲たちが群がっている
8時過ぎに羅臼港へと戻る
アルラン三世の事務所
こちらがお世話になったアルラン三世

港からあらためて民宿に戻って朝食。結局ほとんど眠らずに朝ごはんの時間を迎えたことになりますが、それほどの疲れではありません。

朝食
宿の前にいたシノリガモはお初

宿での朝食後にチェックアウト。その後もまた羅臼の街へと戻り、少し山側に入ったビジターセンターに向かいました。
知床の自然をしっかりと学び、展示を見学していたところ、間欠泉の噴出時間が近づいていることに気づきました。
スノーシューがなくても行けるとのことなので、間欠泉へ向かいました。

ビジターセンターは10時の開館前に到着
雪に埋もれた川
時間通りに間欠泉が噴出した

ビジターセンターを後にして羅臼の街に向かう途中、道路を横切る動物の影が、よく見るとキタキツネでした。さすが羅臼です。
道の駅らうすでお土産を物色したあと、羅臼に別れを告げ標津へと向かいます。
標津のサーモンパークでは、コロナになってから中止されていた冬まつりが3年ぶりに開催されていました。町の人たちで大賑わいです。

大きな雪の滑り台
標津サーモン科学館

サーモン科学館に向かい、標津が誇る鮭類のお勉強です。

大きな水槽にはいろいろなサケのほかカレイ、エイなども泳いでいました
幻のイトウもサケの仲間
チョウザメに噛まれる体験コーナー。歯がないので痛くはないが、どうも顔つきが馴染みがないのでなかなか踏み出せない
サーモン科学館の展望塔から見える国後島の羅臼山

サーモンパークを後にして、今度は標津港に近い北方領土館も見学。実はわかっているようでもあまりよく知らなかった北方領土問題。展示を見ていろいろとよくわかりました。正直なところ、日本の外交下手も原因の一つなのかも・・・。と思ったりしつつ、間近に見える国後島を改めて眺めました。

北方領土館は残念ながらあまり人がきていないようで、暖房も切っていたとのこと
資料は社員などが中心

標津の街で宿泊なのですが、翌日の予習もかねて、野付半島へと向かいました。野付半島自体がとても興味深い根室半島へ突き出した砂嘴ですが、その内側の野付湾は氷結するのだそうです。

氷結した碗の上にテントを張ってチカなどを釣っているそう
外海は凍らず、その奥にはより近い国後島がみえる
国後島の泊山を望む
堂々たる国後島の羅臼山

氷結した野付湾ではワカサギに似たチカを釣るテントがあり、ちょうどみなさん引き上げてくるところだったらしく、そりを引いて駐車場に戻ってくるところでした。
せっかくなので、氷の上に登って、少し歩いてみましたが、なんとも不思議な白い地平線の風景は、感動ものです。別海町では「氷平線」として売り出し中のようです。
反対側の根室海峡は流氷もない青い海。奥に国後島がくっきりと見え、泊山、羅臼山が雪をかぶっていました。
なんといっても野付半島の主はエゾシカ。いたるところでシカの姿が見られました。メスだけの無得れやオスだけの群れなど、生態はわかりませんが、なかなかに野性味あふれる風景です。
シカの写真もまた別途まとめます。

オスたちの群れ。奥には氷結した野付湾
雪を掘り返して何かを食べている
番屋や道のわきにもたくさん歩いているエゾシカ
そこかしこで喧嘩をするエゾシカの音が響く
夕暮れ迫る野付湾。シカはどこで寝るのだろう
ネイチャーセンターの脇には置物のような立派なエゾシカが鎮座
小さな角は若い鹿かな?
こちらはかわいらしい雌の群れ

夕暮れまでエゾシカ三昧を堪能して標津に予約していた温泉ホテルへ。ぷるけの里ホテル川畑という郵便局の前にある宿。ぷるけとは湧き出るところを意味するそうで、今回最初で最後の温泉が堪能できました。
夕飯はあえて宿ではなく、近くの郷土料理武田を予約していました。歩いて5分ほどのところ。極寒だといやだなと思っていたら、意外とそれほどの寒さではなく、ちょうどサーモンパークで始まった花火も見ながら歩いていきました。

思いのほか大きな造りのお店
名物のホタテの刺身
鮭、サクラマス、時知らずのルイベ3点盛り
鮭ハラス焼とコマイ
お酒もおいしい
メニューに無かった鮭の漬け

標津の名物を中心にいろいろと頂きましたが、驚いたのは鮭のハラスとコマイのおいしさ。ハラスは一夜干ししてあって、脂も少し抜けて何とも言えず美味しい。そして野付湾のコマイは3匹で450円というリーズナブルさにもかかわらず、なんとも味わい深いおいしさ。堪能しました。

ほとんど眠らずに突入した2日目もなかなかにワイルドな道東を味わうことができました。ここでしっかり寝て最終日へと続きます。

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