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⑲誤嚥性肺臓炎って知ってる?

誤嚥性肺炎は頻度が高くしばしば出会いますが, 正しく診断, 対応できているでしょうか.
誤嚥とは, 「口腔咽頭もしくは胃内容物の口頭・下気道への吸入」と定義されます.
それでは, 誤嚥性肺炎と誤嚥性肺臓炎はそれぞれなにを誤嚥して起こるのでしょうか?
誤嚥性肺炎は”口腔咽頭物質の誤嚥”, 誤嚥性肺臓炎は”無菌性の胃内容物の誤嚥”です. 酸と胃内容物による誤嚥性肺臓炎は抗菌薬は原則不要ですよね.
しかし, 肺臓炎から肺炎が起こることもあるのでは?と考えたくなります. これに対しては, 誤嚥性肺臓炎に対する予防的抗菌薬治療の後ろ向きコホート研究でも, 予防的抗菌薬と死亡率との関連性はなかったと報告されています. 薬剤耐性菌を生み出すことにもつながります.
誤嚥した → 抗菌薬, ではなく肺臓炎の可能性などを評価し対応しましょう.
臨床的な両者の見分け方のポイントは, 誤嚥性肺臓炎では誤嚥のイベントが目撃されることが多いのに対して, 誤嚥性肺炎では通常目撃されない点(不顕性誤嚥)でしょうか.

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