見出し画像

木造共同住宅の生活防音と賃貸経営

5・6年前だったか、木造賃貸住宅の専門誌の記者から取材を受けたことがあります。賃貸住宅のオーナーの生活防音に対する意識を高めることと、新築などの工事の際に、戸境壁や床の防音施工を最低限行う方法についてヒアリングを受けました。

その際には、特別に木造住宅に使用できる防音材のサンプルを触りながら概要を説明しました。

施工業者の安易な提案がうまく行かず、結局は既存を解体しながら防音リフォーム工事を行うことになって、無駄な費用がかかる事例が少なくないと聞きました。

木造賃貸住宅のオーナーの知識や問題意識が希薄

便利な立地にある木造賃貸住宅に空き家が多いのは、大半が生活騒音の問題があり、大家の問題意識の欠如や入居の際の説明不足などによって、入居者の希望と乖離することや、物件そのものの遮音性能が低すぎて、生活マナーの徹底だけでは対処できないことが主な理由です。とくに床の防音対策は、リフォームで実施すると、既存建具や床材などを剥がすことになったり、ドアや扉の交換、なかにはシステムキッチンの再工事、給排水管の防音工事を行うことになり、大改修になります。

完成後に後悔しないためにも、オーナーは慎重に計画を検討する必要があり、出来る限り自分で木造建物や生活防音に関する勉強をすべきです。

現在、私が相談を受けている件は、オーナーが余りにも知識がなく、生活騒音の問題自体も、最初から何も考えていなかったことが分かり、これは入居者から見れば、人災に近い案件です。何回も私がリフォームや模様替えレベルの防音対策について説明しても、理解されなく、しまいにはゴールポストを勝手に動かして、話が後戻りして、現時点では、やんわりとお断りの返信をしたところです。

比較的若い男性は勉強不足の人が多く、女性オーナーに比べて慎重さが欠如している相談が多いです。女性の方が現実的なオーナーが多いようで、最初の検討の段階で白黒が明確になるので、手間がかかりません。

入居者にも問題がある

安い木造賃貸物件で、生活防音対策が十分にされている物件など殆どないことを知るべきです。隣近所との関係や物件の管理状況なども考慮して選ぶべきです。

フローリングの物件は、見た目だけで判断しないで、大家さんに必ず「生活防音対策」について、構造的な概要を確認したほうが良いです。

グラスウールを使っていますという説明ならば、それは殆ど対策になっていないと判断すべきです。普通のグラスウールは殆ど効果はないです。

ちなみに、遮音フローリングには重量音対策の製品はないので、LL45などの数値は軽量の緩和レベルを示したものです。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?