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新築木造音楽室の設計変更・換気システムの課題

約2年前から、防音計画・設計を修正してきた地方の新築音楽防音室ですが、まだ換気システムや床下構造の件で揺れ動いています。(※投稿した画像は今回の設計とは無関係のイメージ画像の一部。私の著作画像)

依頼者はプロの音楽家なので、音響はものすごく重視しているはずです。私は床下構造を含めて、音響・防音効果を総合的に判断して計画し、施工説明図もすでに納品した段階です。

問題になっているのは、床下を含めた音楽室及び居室部分の換気システムです。個人的には木造の在来工法であり、寒冷地ではないので、従来型の基礎パッキンを勧めていました。

床下構造と音響への影響

使用する楽器がマリンバとピアノ、ドラムなので、いずれも床の共振・固体伝播音対策は重要です。この前提が変更されると予想外の共振が起きて、音響が悪化する懸念があります。

もしかしたら、施主は木造建物への愛着が薄いのかもしれませんが、リスクへの説明は今まで繰り返して来ました。

もちろん、音響上のリスクを承知していただけるのなら、不本意ですが、所定の報酬をいただくための案件として割り切ることも仕方ないでしょう。私も、木造が余り好きではない施主への思い入れはありませんので(笑)。

どうしても変更したいのなら、条件付きで認めるしかないと思います。

換気システムと吸音対策

木造の換気システムは、防音構造と区分して構築するのが基本です。ある関東の住宅メーカーが非常識な床下配管及び換気システムを導入して、一部の部屋の床下から大幅な音漏れが生じ、大分揉めました。

その経験があるので、今回も施主には慎重に検討するように再考を促していました。暫定的に配管内部の吸音材充填をアドバイスしており、新築の建築士の方で検討を並行して進めています。おそらく、床下換気を外部と遮断して計画しないと、検討中の換気システムが造れないのだと思います。

木造軸組在来工法では、あまりお勧めできない工法であり、何か問題が生じても原因究明が難しいシステムです。壁の内部に配管を通すので、造り直すことが出来ない。

私は機械設備を導入した換気システムは好きじゃない。それは故障した時に補修するのが大変だからです。しかも、音の抜け道になります。

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