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マンション二重床の弱点

概ね平成7年以降のマンション二重床は、防振ゴム付きの支持脚とパーティクルボードによる基本構造であり、現在も同様の構造です。

二重床の弱点

この二重床構造の防音効果は主に軽量衝撃音対策を想定したものであり、重量衝撃音(体重の大きな子供・大人の足音、重量物の落下音など)には効果は小さく、GL壁と接触して絶縁されていない場合は、床と壁が共振するという現象が起きます。

強いインパクトが支持脚の真上で生じると直撃が床スラブに伝わります。これが点構造である二重床の弱点であり、限界です。また、衝撃音は床下の空気層を共振させるため、重量衝撃音に対しては弱点となることは二重天井の共振体と同様な現象です。

ちなみに、二重天井も二重床も軽量衝撃音を緩和するのには有効に働きますが、重量衝撃音をそのまま伝播したり、共振させながら音が伝播するのは共通した弱点と言えます。

二重床の改善対策

二重床の利点は、軽量音の緩和、床下配線・配管への対応が容易であることなどですが、防音効果を重視するのであれば、従来型の軸組(根太工法)構造のほうが、重量音を分散して衝撃を緩和できる利点があり有効です。問題は施工コストが嵩むこと、防音構造の施工が少し複雑になることです。

では、二重床の弱点を緩和・改善するには、どのような対策が考えられるかということですが、「床下内部に吸音材を充填して空気層の共振を抑える」「パーティクルボード上に制振材を施工する」「壁面と床パーティクルボードの接点に絶縁材を施工する」という方法が有力です。

まだ、現在の二重床工法も発展途上であり、改善の余地はあると思います。二重床構造が改善されれば、天井防音対策も相乗効果が期待できます。

なお、私の担当現場では、重量音に有効な遮音材と制振材の組合せをグランドピアノ防音室の設計において確立しており、マンション生活防音への適用が期待されています。

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