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マンションの防音相談の事例「機械設備騒音」

防音職人の問合せで依然として多いのが「マンションの防音相談」です。
今回紹介する事例は、昨年と同様な典型的な相談案件であり、なぜ無料相談を明確に断っているかを示したものです。以下、私の返信の概要です。

「お問合せありがとうございます。
厳しい状況はお察ししますが、次の諸点によって相談自体をお受けすることが出来ません。
・遠方のマンション現場は無料相談、有料相談共に対応できません。
・機械設備の騒音は構造的な詳細を分析する必要があり、提案書作成は契約業務が前提です。
 分析するだけで長時間がかかるので、現在は契約業務の状況によって物理的に対応できません。
・民間の専門業者ですので公務員ではありません。本業の状況によって随時判断しています。
・今回の件、マンションの天井防音以上に難易度が高く、問題解決の保証が出来ません。
なお、遮音シート及びグラスウールは無力です。ウェブサイトにもマンションの無料相談は中止している旨、明記しています。」

マンションの機械設備による騒音対策

機械設備の騒音はマンションの二重天井の騒音と共通した低い周波数帯が主成分であり、難易度は相当高く、それを無料相談でご教授下さいと、簡単にメールや電話で問合せてくる人は、勉強不足で非常識です。
ネットで調べても、その難しさを示す情報が出てきますので、軽々にアドバイスできるような内容ではないことは理解できるはずです。

現在は、キーワード検索で色々な情報が出て来るだけでなく、騒音調査を専門とする業者のウェブサイトも沢山出てきます。ほとんど無料相談を行うような専門業者は居ないことが理解できるはずです。

検索エンジンの全盛時代と言っても良い現代社会では、キーワード検索できない社会人は、仕事そのものが出来ません。私が会社勤めだった約20年以上前においても、キーワード検索で必要な資料の概要や在り処を検索するのは当たり前のことでした。

なお、マンションの設備騒音は、被害者側の構造体および周波数別の騒音レベルを分析する資料・報告書がなければ、防音相談そのものが出来ません。
それに無料相談をお約束するとは、ホームページ・ブログに一言も書いていません。

低周波の周波数帯は通常の遮音対策では無理

機械設備の振動騒音は、「絶縁・吸音・制振・遮音」という複合的な多層防音構造を構築しないと、騒音を減衰させることが出来ません。

これを生活空間を出来るだけ狭くしないで、現実的な提案が出来る専門業者は東京でも非常に少なく、研究者を含めても現役のエンジニアは私の知る限りでは5人足らずでしょう。

低周波騒音は、大別して2種類あることを別の記事で触れましたが、「可聴域の約20Hz以上から100Hz以下」と「超低周波の20Hz以下」に分けられます。前者の可聴域が主に対策可能な音になります。

しかしながら、防音設計自体が非常に複雑となり、その内容を施工できる建築業者が必ず見つかるという保証はありません。
私が解決した現場でも、防音工事の立会を含めて現場に張り付いて対応しなければならず、非常に負担が大きい割に報酬は少ないのです。

民間の専門業者には採算を確保するのが難しい案件です。公的機関の対応と補助金制度の創設でも無い限り、対策を実行すること自体が難しいです。
※以上の内容を事例として紹介していただければ幸いです。

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