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木造ピアノ防音室の検証

私が依頼者の承諾のもとに、自腹で担当現場(木造ピアノ室)の音響・遮音測定(精密調査)を行うのは、薄型防音仕様の検証と構造的(既存を含む)な弱点を把握するためです。

今まで首都圏だけでなく、中部・関西のほうの担当現場へも取引先の建築士に外注(出張)して精密測定を実施しています。これらのストックが私の設計・施工の根拠になっています。

周波数ごとに空気音と固体音を測定・分析

他の専門業者は、ショールームで遮音性能を提示しているのは大半が空気伝播音の性能(D値)であり、床などの固体伝播の遮断性能は提示していません。

このため、ある業界最大手のピアノメーカーが代理店業者に委託して施工した木造防音室だけでなく、マンションのピアノ防音室も階下や近所に大きく音漏れすることが多いです。

これは、床や壁の固体伝播音を考慮していないからです。しかも、防音壁の構造体を分厚くする割には、床の対策が疎かにされています。彼らは担当現場の分析が不十分なので、設計仕様が長年変わらない、バージョンアップしないのです。

私の担当現場(木造ピアノ防音室)においては、固体伝播音と空気伝播音の両方を分析するため、二種類の音源を使用します。もちろん、実際に依頼者にピアノを演奏していただいて測定します。

防音材と建築材の組合せで複数のタイプを検証する

一般的な木造ピアノ室で問題になるのは、部屋の面積と近所の家屋の距離です。特に夜間演奏を考慮した遮音性能の確保です。

そこで、複数の防音材と一般的な建築材を組合せて、色々なタイプで測定した事例を分析してストックしています。

最近は、さらに使用する合板や無垢材の効果や隙間処理、下地補強の検証も加えて、地方でも確実に施工できる防音設計の仕様・施工要領を確立しました。

詳細は、私の設計そのものになるので省きますが、合板でも素材の樹種や厚さによって効果が変化します。質量則(計算式)とは異なる効果を生み出します。軸組や床材の無垢材によっても、音響や固体伝播音にかなり影響を与えることが分かっています。

こういう点が、木造ピアノ室の面白いところです。なかなか奥が深いです。資料も十分に集まりましたので、テレワークで遠方の現場にも対応できるのです。

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