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木造ピアノ防音室の音出し現場チェック

先日、東京都内の契約現場の木造ピアノ防音室において、内装を仕上げる前に、大型スピーカーを使用して、100dB以上のノイズと重低音を出して、音漏れと音響の状況を確認しました。

施主のピアノ教室の先生と現場を担当した提携先の建築士の立ち会いで行いました。この木造防音室の使用目的は、「ピアノ教室」と「オーディオ」です。音源が異なるため、二種類のタイプの音を出してチェックしたわけです。

この現場は近所の家屋が接近しており、夜間のピアノ演奏やオーディオ音楽に支障のない防音レベルと音響を確保することが目標でした。音出しチェックでは、施主は十分に満足され、予定通り内装仕上げを行うことになりました。幸いなことに、音漏れ状況は、戸外の暗騒音にマスキングされ、むしろ戸外の秋虫の鳴き声より気にならなかったと言われました。

費用対効果を追求した計画と防音設計

私の提示した計画と見積書は、他の専門業者の半分以下の厚さの防音構造と半額程度の費用だと施主に評価され、むしろ、こんなに安くて、薄い構造で大丈ですかと質問をされました(笑)。

防音壁は約85ミリ、天井高は上階の水回りの設備の関係で低いため、天井と床の防音構造は薄型仕様で対処することが前提でした。このため、構造的な制約だけで、他の専門業者の提案は全て採用されずに、ほぼ最初から私の提案ありきで話が進み、速やかに契約されました。

私の計画・設計仕様などの特長は、近隣環境と建物構造および用途に応じた費用対効果を追求するものです。過不足のない構造・防音施工で、周囲への距離減衰や室内の音響、建物構造への負荷の軽減、構造的補強(地震を考慮)を総合的に勘案して計画します。

節約できた費用でオプションの木製家具を追加

私の見積が安かったおかげで、施主の予算に余力が出たので、その分を室内の木製家具を、提携先が防音工事とは別契約でオーダーで受注することになりました。

提携先は木製家具の制作も得意なので、施主のご希望と、上手くマッチしたようです。

壁面に固定する木製家具は、防音構造を知らないリフォーム業者に依頼すると、構造体に不用意な穴を開けられて音漏れの原因になることがあります。

他の現場で、別のリフォーム業者が施主に確認しないで、壁面にコンセントボックスを埋め込み、激怒された事例がありました。床と壁の共振を起こすこともあるので、安易に後付の家具を施工することは大きなマイナスになることがあるので要注意です。

ちなみに、今回の現場もピアノ音響にマッチする床の無垢材と、天井・壁・床の音響下地材を併用しました。

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