木造の防音相談と防音材
昨年の秋以降、増えたのが木造の防音相談と防音材の見積り依頼です。
約8割から9割が「木造防音室」と「防音材の使い方」についての相談です。首都圏と地方がほぼ同程度の割合で、日曜大工が得意な人や職人のほか、建築士個人または建築会社、音楽教室の先生からの問合せ・打診です。
今年になって、昨年契約した現場が、やっと動き出して重なってきました。問題は単価が上がったり、送料が変更になったので、みな見積書が修正になったことです。
もちろん、予算の関係で縮小されましたが、キャンセルにならなくて良かったと思います。
さて、先日の「防音材の豆知識」の続編として、最もリクエストの多かった遮音材について述べます。
理想の遮音材
遮音材にとって重要な要素は、面密度(kg/㎡)と柔軟性です。
面密度が低いと遮音性が低くなり、硬質だとコインシデンスなど特定の周波数帯での質量則を大幅に下回る遮音低下が起きるからです。※防音材にとって致命的な弱点になります。
現場での施工効率や使い勝手の良さを考慮すると、高比重で柔軟性・耐久性があり、厚さ2ミリ~4ミリの製品がベストです。面密度は約6kg/㎡以上欲しいですね。
また、劣化しにくい素材で、耐用年数の長いものがベストです。
素材としては「アスファルト基材」「樹脂」などがありますが、各社メーカー秘伝の技術があり、成分の詳細は私にも分かりません。
一般建材で遮音材を代用する
先日の投稿記事で触れましたが、予算が足りなかったり、専門的な防音材を自力で入手できない場合は、構造用合板で代用します。
その場合、重要なのがつなぎ目の隙間処理です。これによって5dB以上の遮音性が違ってきます。ベストな処理は、つなぎ目をパテで全体的にしごいてから、ブチルテープでシールすることです。
地味な対策ですが、どんな職人でも慣れている作業なので、確実に対策できます。
使用する構造用合板(針葉樹)の厚さは9ミリまたは12ミリを予算が許す限り重ねて施工します。タテ・ヨコの向きを変えて構造用合板を重ねて施工すると、遮音効果が向上します。
以上、「遮音設計マニュアル」には記載されていない豆知識の続報でした。機会があれば、「制振材」についても述べてみたいと思います。
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