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防音材の市販品と受注生産品(木造)

木造住宅や木造防音室(音楽室など)に不可欠なのが防音材ですが、大別すると「市販品」と「受注生産品」があります。

市販品の大半は、通販業者と大手代理店が販売していますが、受注生産品は、特定の企業が担当する現場に納品する専門の防音材です。

両者ともに単価は大差はありませんが、市販品は代理店などを経由して小売業者(通販業者など)が販売するため、中間経費が発生します。受注生産品は在庫を基本的に持たないので、確定注文に対して必要量を生産するシステムになります。

私が運営する防音職人は、受注生産品しか納品しませんので、中間経費はメーカーが担当する送料・保険料(消費税を含む)のみです。基本的に取引先メーカーの工場・事業所から現場に直送されます。

遮音性能に差があるのか?

市販品と受注生産品の遮音性能に差があるかどうかですが、これはメーカーによる差が大きく、市販品でも受注品と同等の遮音性能を保有する製品はあります。

専門の受注生産品と比べて差があるのは、振動を抑える「制振性能」です。開発したメーカーが現場での実験結果を検証して製品化しているのですが、市販品は小さな試験体による遮音性能(透過損失)と軽量衝撃音しか分析していません。

ある大手の市販品メーカーは、先発の製品をマイナーチェンジするだけで、性能がアップしていないまま販売しています。しかも施工要領が間違ったままです(笑)。隙間処理もサウンドブリッジ処理も施工要領として問題を抱えています。メーカーが作った説明図(カタログ)の施工要領自体に問題があることが多いのです。

一方、受注生産の専門的な防音材では、防音設計と施工を担当する専門業者ごとに独自の施工要領を持っています。これが大きな違いです。

施工要領の取り扱い

専門業者ごとに持っている施工要領などノウハウによって、防音材の防音効果に差が出ます。

構造体としての防音性能は、防音材の施工要領や設計仕様によって決まります。防音材単体および構造体全体の詳細な施工要領を決めるのが「防音設計」です。市販品メーカー及び代理店には、この設計仕様はありません。

特に木造の施工要領は、一部の専門業者しか持っていません。「防音職人」もこの数少ない専門業者の一つです。

防音材の施工要領や防音設計は、大半が担当した現場の測定結果や施工プロセスの中で生まれています。エンジニアが蓄積した経験値と取引先を含めた多様な情報ストックを分析して生み出したものです。

一朝一夕で作られたものではないのです。

ちなみに、当然ですが、正しい防音設計・施工によって使用すれば、防音材は市販品であっても、十分な防音効果を引き出すことが可能な場合があります。もちろん、適切な製品は限られているので、私も情報収集・分析と事例チェックは続けています。

ネット上の防音製品には当たり外れがあり、正しい施工要領は不可欠です。

*関連記事(防音職人だより):防音材と施工要領

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