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ショートショート「カラス部」

あー!あ、あー!
あーあー、あー!あー!
あー……あ!?か!かかぁ!くぅあ!
あー!あ、あ、あー!

「なんだ、なんだ?
 今日は偉くカラスが鳴いてるねぇ」
「それに、なんか多くない?ちょっと怖くない?」
「なんかの集まりかな?」
「集まり?カラスが?集まるの?まっさかぁ」
「ええ?でも、そう考えたほうが面白くない?」
「ナルシストだねぇ、きみは」

カラスの群れを見ながら
部活帰りの二人が帰っていく

あー!あー!かぁ!
かあ!あー、やっと人間帰った?
「帰った帰った!」
「危ないところだったねぇ!
 僕たちが人間観察をしてるのが
 バレるところだった!」
「あの人間、勘良くない?」
「こっちの言葉わかるのかな?」
「次にあったら、声かけてみる?」
「えええ!?それは危険でしょ!?」
「いや!人間観察部として
 初めての一羽ばたきするべきでしょ、ここは!」
「じゃあ、かけてみようか」

数日後

「あ、またカラスが集まってる」

あー!あー!あー!
か!かー!か!か!か!かー!

「うお!すごい威嚇してきてる!?」
「威嚇?
 うーん、なんか話しかけてきてるんじゃない?」

か!?かーかー!
あー!

「ほら!」
「マジかよ」
「こうなったら、人間代表として
 彼らの言葉を解明しなければ」
「いやいや、そうと決まった訳では」
「いいや!話しかけてるね!よし!
 今日から鳥類言語解析部を立ち上げるぞ!」
「立ち上げるぞ!って俺も入ってるの!?」
「当たり前じゃん!善は急げ!
 学校に戻って、部の申請だ!」
「え!?まて!まてってー!」

あー!あー!
かー!かー!
「通じなかったけど、通じたかも?」

※9月25日に出演した朗読企画にて
お題をいただき、即興で書いて読んだ作品です
お題提供者:kayさん
こちら

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