見出し画像

ショートショート「アイドル試験ボーナス」

「オタクくん!
 今月も新しい試験に受かったんだって?
 ボーナスの増額は確定だねぇ」

僕の名前はオタクススム。本名だ。
当然、あだ名はオタクである。
趣味は、もちろんアイドル試験オタクだ。

「で、今回のアイドル試験はどうだったね?」
「部長、本棚アイドルって知ってますか?」
「本棚アイドル?
 まぁた変わったアイドル試験に手を出したねぇ」

今から数年前、アイドル戦国時代と呼ばれる
アイドル達が自分達のアイドル力を
競い合わせるため、ありとあらゆるものを
自分のキャラ付けのために利用し続けた。
地下アイドル、会いに行けるアイドル
週末アイドるなどは可愛いもので
昆虫アイドル、鉱石、数学
中には黒魔術アイドルまであらわれ
アイドル群雄割拠の様相を呈していた。

だが、そんなアイドル乱立の時代は長くは続かず
新たなジャンルのアイドル増加を防ぐため
時の政府は
「アイドル試験施工法」なるものを押し進めた。
それは、新たなアイドルジャンルの
免許制であった。
そのジャンルへの専門性を国家資格化
トンデモアイドルを公務員化することで
国の税制の一つにしたのだ。

そんなアイドル試験受験資格は
性別年齢にかかわらず、門戸が開かれ
資格マニアがこぞって受けるのだった。

そして、アイドル試験合格者は
合格したジャンルのアイドルを
名乗ることができるようになり
企業は多様なアイドルを雇うことで
宣伝効果を爆発的にあげ、試験合格者に
ボーナスをだすようになったのだった。

僕、オタクはそんなボーナスをもらうために
日々アイドル試験研究に余念がないのだった。


※この作品は朗読企画で休憩時間にお客様からお題をいただき、その場で書き上げ、発表した作品です。

あなたの「スキ」が何よりのサポートです。 ここまで読んでいただきありがとうございます。