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転校生はアイドル 七話

まえがき

あと6話くらいで転ドル(転校生はアイドルの略称)のストックが消えます。
終わりは一応決めてますが、どうなることやら…。
それでは本編開始です。

本編

本屋に行き雑誌を立ち読みしていたら菊谷の特集ページを見つけた
『人気アイドルの素顔に迫る』というページを目にした途端、雑誌を棚に戻した。
素顔を知っている分、複雑な気分になり本屋を出て家に帰ることにした。
家に着いてからスマホを見ると『作戦は成功。明日、結城を経由して渡す』
と絵文字のない無機質なLINEが届いてた。
このまま無事あの本を入手できれば良かった。しかし、あんなことが起こるとはオレは知る由もなかった。

「この本の事言ったら『アレ』みたいになるからね」
オレは怯えていた…。空手有段者の原田を
一瞬にして沈めた菊谷の技を見たからだ。
原田は痙攣して失神をしている。恐らく彼は三途の川を渡ろうとしているのだろうか
「この川を渡れば問題ない!。計算通りだ」
と呟いていた。
計算通りじゃないぞバカ。戻ってこい。
「わ……、分かってる」

なぜこんな状況になってしまったのかというと今朝に戻る。

「昨日は取り乱してすいません」
オレは菊谷と一緒に登校していた。
やはり昨日は普段(普段も怒鳴っているが)より怒鳴っている回数が多かったのか…。
自覚してるだけでも偉い奴だな。原田と違って…。
「気にするなよ。それよりアイドルの仕事はどうだ?この間読んだ雑誌に特集組まれてたしインタビューの記事も書いてあったな」
オレが聞くと菊谷が「うっ…」と声を漏らしながら
「本音が出そうでしたよ。つい好きなテレビは?って聞かれて『笑点』と答えそうでしたよ」
……。
コイツ、年寄りみたいな趣向してるな。
ホントに同い年か?
「バラエティー番組とかあまり見ないのでそういう時に困るですよね」
何でだ?
聞こうとしたら
「おはよー。何の話をしてたの?」
千尋が来たので話題を変えた。
「学校に慣れたかって話してた」
「光、お母さんみたいだよ」
「うるさい」
「そういえば、昨日のミカちゃんの特集読んだ?あんな理想的なアイドルいるんだね」
そのアイドルが隣にいる人だとは思ってもいないだろうな。
「そういえばさ、美香もあのアイドルと同じ名前だよね」
「よくいる名前だろ」
「そうかな?」
何で知られて欲しくない事に関して鋭いんだろな…。

「もう着くし話はここら辺で終わりにしよう」
校舎に入ると、あくびしながら高等部の棟に入ろうとしていた原田が見えた。
千尋も気付いたようで
「せんぱーい。おはようございます!」
と言った。
相変わらず気に入らないのは原田が女子に人気だということだ。
「性根腐れ男」がなんで人気なんだ?
皆、学校での姿しか知らないからか…?
「おう。おはよー遅刻しないようになー」
しかも少しかっこいい低音ボイスで挨拶を返してきた。色々ムカつく奴だな。
「いつ聴いてもあの低音ボイスはカッコイイね。二人もそう思うでしょ?」
「そうですか?」
と菊谷
「良い耳鼻科知ってるぞ。今日行くか?」
とオレ
「ちょっと!何で分からないの?」
「それは本性をしているからだ」
とは言えず適当に誤魔化した。

「はいっ、では木戸さん。GHQが廃止した日本の農業制度は何?」
学校の授業はあんまり面白くないな。
そりゃそうか、義務教育は国民のためにある教育じゃないからか…。
「木戸さん!聞こえてますかー?」
ん?何だ?
駄目教師が教師らしいぞ。
雨でも降るのか?
「質問に答えてくださーい」
「小作人制度です」
と答えた。
ていうか、これ何気に難しいだろ。
そういう時にオレを当てるな。
なんやかんやで授業が終わった。
「眠い」と呟く菊谷。
眠いようなので寝かせるか。
それにしてもあの教師が教師に見えてしょうがなかったな…。
一応教師なんだな。

教室を出るとダメ教師と目が会い
「こっちに来て」
と手招きされた。
「カバーは掛けたからバレないと思うよ」
「バレないようって別に良くないか?」
「いや。これは…。読んでからのお楽しみだね」
まぁいいか…。
これでこの本の正体が分かる。

オレは教室に戻って本を開くと―
絶句した。
男同士で抱き合っている様子が描いてあった。
前に竜也から聞いた『腐女子』という単語が
脳裏をよぎった。
菊谷…お前の弱みを全て(?)知ってしまったのか…?
オレはこの時、菊谷に本を見られてることに気付いていれば良かったと思っている。

そして今に戻る。
「アンタにはキッチリと責任を取ってもらうよ」
菊谷(絶賛裏が見えてますver)がそう言った。
「な、何だ?実現可能なもので頼む」
「アタシのマネージャーになって」
「え?」
思っていたより大変そうじゃなさそうだな。
「前のマネージャーと喧嘩したからしばらく代理ってことでね」
「……お、おう分かった。そうすれば『アレ』にはならなくていいんだな?」
オレは原田(絶賛失神中)を指差しながら言った。
そういうと菊谷が頷いた。
やれやれ面倒事が増えていくな。

あとがき

3点リーダーの使用と半角疑問符の使用を禁止にする法案を通したい。
そういえばミカと聞くとブルアカの聖園ミカを思い出してしまいます。
時代の流れですね。
それでは、また次回お会いしましょう!

#小説
#転校生はアイドル

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