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(ほぼ)1万円EDH‼️キオーラ海鮮寿司🍣

⚠️まだ一度も回していません。
     前半は自分語りとガチカジュへの所感です。

刺激と生活

「多忙な一日の終わりに、デザインのシンプルなソファー(スタイナー、リーン・ロゼ、チナ)に深々と腰を下ろす。流れるジャズに耳を傾けながら、自慢のダーリの図案や、壁紙(パトリック・フレイ)の陽気さに見惚れる。バスルームでは、白熱の一セットに備え、タオル一式(イヴ・サン=ローラン、テッド・ラピドス)が出番を待っている。そして友人達とのディナーを前に、ダニエル・エシュテルやプリムローズ・ボルディエで演出されたキッチンで、自分の世界を取り戻す」

ミシェル・ウエルベック、『闘争領域の拡大』、
中村佳子訳、河出書房新社、2018年、p.159

 "不安抑うつ状態"と診断書に書かれたがために休職を余儀なくされてかれこれ一月が経とうとしている。この生活はあまりよいものではない。
 はじめのうちはこの穏やかな生活を存分に謳歌した。未読のまま積まれていた本も山のようにあったし、映画を観るにもよい機会だった。社会から切り離されたことで存分に個人の自由を享受することができた。しかし徐々に自分が人間でなくなっていくのも感じた。
 朝6時半に電車に飛び乗る必要がなくなったことで、まず時間の感覚が失われた。好きに眠って好きに起きるようになり、一日の境目がわからなくなった。
 次いで食欲を感じなくなった。食べたくないのではなく、食べる必要を感じなかった。さしてエネルギーを消費していないので当然ではあるが、これによって唯一残されていた社会との接点であったコンビニへ行くこともなくなった。そして入浴すら"不要"になった。
 こうして僕は人間の形を保つのが困難になりつつある。端的にいえば刺激を避けているのだろう。積んでいた本もあらかた消化したが、何か新しい本を読もうという気にならない。そして同じ映画を何度も繰り返し観ている。見知ったものが曖昧な時空間の中を漂っている。
 気づけばクリスマスイブだった。
 僕はどうにかしなければならなかった。
 僕は改めて自分の信仰に立ち帰り、購買行動こそが人間の証明であると叫んだ。
 幸い冬のボーナスが振り込まれていた。
 もっとも国家公務員の利点はそれくらいだ。

スーパー、スーパーカジュアル

 久しぶりにTwitterを見たら相変わらずガチカジュ云々で盛り上がっていた。日本で四季が巡るように、カードゲーム界隈は異性と体臭とシャカパチとガチカジュが巡っている。気づけば体臭の夏も終わっていたらしい。
 EDHでは直近の禁止改定で《宝石の睡蓮》、《魔力の墓所》、《波止場の恐喝者》及び《有翼の叡智、ナドゥ》の4枚が禁止となった。"デザインに失敗した"ナドゥはともかくとして、他3枚については爆発的なマナ加速を行うカードを禁止することでさまざまなデッキがやりたいことを展開する時間と余地を確保し、EDHを交流を中心にしたゲームにするためであるとの説明である。要するにEDHをより"カジュアルな場"にするための禁止といえる。

創造性 #とは

 また、なかなか苦しい言い訳で《太陽の指輪》の禁止を避けているあたり、明言しないまでも参入障壁となりうる高額カードを取り除く意図も見える。とはいえ"あの頃のカードが使える!"というウリを維持するためにも再録禁止カードには触れづらいのだろう

象徴 #とは

 総じてEDHというフォーマットそのものがよりカジュアルなものになった禁止改定だと感じる。
 だがそれでもガチカジュ論争はやまない。
 チューターがあればガチか?無限コンボがなければカジュアルか?全体除去は?カウンターは?再録禁止カードは?それってカジュアル云々ではなくただのハウスルールの押し付けでは?
 結局のところEDH(というかカードゲーム)はコミュニケーションのゲームなので、ガチの卓にカジュアルデッキで混ざろうがその逆だろうがいくらでも楽しみようはあると思っている。とはいえパワーレベルが近いほうが"よりやりやすい"のは確かだろう。
 ちょうど社会性を取り戻すために参加したコミュニティで新規プレイヤーがEDHにハマっていく過程を見ている。構築済みデッキを持ち寄ってのプレイからはじまり、偶然見つけたお気に入りのカードを入れ、周囲がオススメのカードを紹介して……といった具合である。
 せっかくなのでリハビリのためにもそろそろ参加したいと思っていたところであり、また失われていた好奇心を取り戻し、なにより人間の尊厳たる購買行動のためにもEDHのデッキを一つ組むことにした。
 そしてパワーレベルの調整と脳のリハビリを目的とした試行錯誤のために予算の制限を設けることにした。引越し等でちょうど出費が嵩んでいるというさもしい事情もある。
 1万円EDHの開幕である。

ラッシャイ!

 さてどんなデッキを組むか。
 まず大前提として1万円の予算ではコンボで勝つことはハードルが高い。というかコンボとまで言わずとも、複数枚のカードの結びつきで強みを発揮するというコンセプトも取りづらい。というのも、ともすればコンボパーツだけで予算の大半を喰われ、デッキのほとんどをよくわからんゴミで埋めることになりかねないのである。
 そんなわけで低予算で成立する最も確実なコンセプトとして、"マナ加速からデカいクリーチャーを出して殴る"デッキを組むことにした。
 さっそく"デカくて強いといったらドラゴン!"と各種カードを確認していくが、ここでさっそく壁に直面する。
 ドラゴンはデカくて強いので全体的にちょっと高いのである。それこそカジュアルEDHの需要もあるのだろう。予算内でやりくりするとどうしても妥協を強く感じる中途半端なビートデッキになってしまう。1万円ではドラゴンを扱うことはできない。
 どうしたものかと頭を悩ませていると、ふと机の上に置いてあったラヴクラフト全集が目に止まった。深海への恐怖……
 海外ホラーの頭足類ってなんかデカいな?
そして見つけたのがデカい海鮮全般に関する効果を持つ伝説のクリーチャー、《深海の君主、キオーラ》である。

海蛇やクラーケンやタコやリバイアサン

 緑のマナ加速から青の巨大海鮮を叩きつけてキオーラでアドバンテージを稼ぐ。
 キオーラ海鮮デッキに決まった。

1万8千円はほぼ2万円では?

 だがここでふと欲が出てしまう。
 海鮮デッキならカジュアルで寿司を握っても許されるのでは?

🍣🍣🍣

 なんせ海鮮デッキである。むしろ寿司を握らないほうがマナー違反ではないか?
 一度思いついてしまったがために、この海鮮寿司というネタを諦められなくなってしまった。
 その結果何かと言い訳を重ねて予算を引き上げにかかる。

1万円は無理では?

 そもそも《タッサの神託者》が想定の3倍した。600円くらいのつもりでいたのに。さらにここに最低限の土地やマナファクトなどを入れたところあっさり7000円を突破した。
 予算というゲームは楽しみたいが、寿司は諦めたくない。そうして捻り出した言い訳であっさり予算を引き上げるのであった。
 寿司にあやかって寿司の価格まではセーフでよいのではないか?

銀座九兵衛 にぎり 16,500円

 無事予算は16,500円まで引き上がった。
 これでずいぶん余裕が生まれ、また巨大海鮮たちが比較的安価だったこともあり順調にデッキ構築を進めていった。
 だが最後の最後でもう一つ壁に直面する。
 97枚まで決まった。残り3枚。現在総額約16,000円……
 サービス料10%加算!

18,150円

 かくして二度の予算引き上げを経てキオーラ海鮮寿司デッキが完成した。

デッキリスト

 ※価格は12/24の晴れる屋通販における日本語NMを参照する。なお在庫のないものは売り切れ時の価格とし、基本土地は価格を算出しない。

統率者

深海の君主、キオーラ(50)

 海鮮寿司と言い張るための要。
 当初テキストをよく読まずマーフォークもサポートしてると誤解していた。たしかにそんなにデカいマーフォークもいないか。

クリーチャー

幽体の船乗り(50)

 無限マナの注ぎ先。青が必要になってしまうが、無色のみで起動できる《トリトンの英雄、トラシオス》は1,500円するので買えません。
 ちなみに藤ちょこverは3,500円。

幽体のこそ泥(150)

氷牙のコアトル(200)

 ドローができる。えらい。

タッサの神官、ケネッソス(150)

 4マナでデッキトップから海鮮を射出できる。
 よくよく考えたらデッキトップを確認する手段がない。

心悪しき隠遁者/心優しき霊(100)

 表面でカウンター、裏面でカウンター耐性。
 一応寿司を握りやすくなるか。

タッサの神託者(2,000)

 寿司。
 今更になってカジュアルで許されるか不安になってきた。

荒れ模様のストームドレイク(100)

 低予算の極意。他人の高額カードを借りる。

献身のドルイド(50)

 一応無限マナが出せる。
 海産物の絡まないコンボはカジュアル精神に反する気もするが、2マナ出して巨大海鮮につなぐためのクリーチャーなんだと言い聞かせている。

度胸ある冒険者、トロヤン(30)

 2マナ出せてルーティングもできる。えらいね。

永遠の証人(80)

  お守り。安くて助かる。

激情の共感者(30)

 予算と枠の都合でふわっと入った。99枚目。

賢いなりすまし(400)

 低予算の極意。大抵のカードを借りられる。

秘密を知るもの、トスキ(400)

 ドロー担当。低マナ域のクリーチャーが基本飛んでいるので攻撃を通しやすい。
 ちなみに《永劫の好奇心》は1,200円なので買えない。

報奨の祝賀者、イモーティ(30)

 2枚目のキオーラ。

うねり嵐のクラーケン(100)

 海鮮その1。
 呪禁持ちの5マナパワー5でドローもできる。
 とてもえらい。

水底のドルイド、タトヨヴァ(30)

 上陸で1ドロー。
 ひとまわり大きいうえに海蛇である《円渦海峡の暴君、アシー》を採用したいが、残念ながら2,000円もする。

ザルファーの魔道士、テフェリー(200)

 唯一の対話拒否カード。夏の帳は1,000円。
 巨大海鮮が瞬速で出るのも嬉しい。

急嵐のトリクス(50)

 巨大海鮮が1マナ軽くなるうえにカウンターされなくなる。

オーランの凍り牙(200)

 ドロー担当その2。
 《リスティックの研究》も《神秘的負荷》もないので本当にこいつらが頼り。

空想の元型(50)

 後述する《嵐潮のリバイアサン》と並ぶと島渡りを持たない相手クリーチャーが殴れなくなる。
 海鮮の絡むコンボなので許されるかなという思い。

首席議長ゼガーナ(50)

 目指せ9ドロー。

最深淵の海蛇(400)

 海鮮その2。
 巨大海鮮が実質アンブロに。

裏切りの工作員(500)

 低予算の極意。土地すらも借りられる。

巨大な空亀(80)

 デカくて安くて器用。
 キオーラは海亀には対応していない。

船砕きの怪物(500)

 海鮮その3。
 盤面を制圧しつつ無限マナも出せる。
 海鮮だから許して。

船団の災い魔(50)

 海鮮その4。
 《サイクロンの裂け目》です。本当です。
 本物は3,000円するので買えません。

海溝のビビモス(100)

 ふわっと入った安くてデカい海鮮その5。
 《神秘の聖域》を戻すことがあるかも?

上昇底流、スリン・ヴォーダ(30)

 海鮮その6。
 10マナ全バウンス。

嵐潮のリバイアサン(50)

 海鮮その7。
 先述の通り攻撃をロックできる。

インスタント

急速混成(200)

 《猿術》の方がちょっと高い(250円)。

頑固な否認(250)

 海鮮がいれば確定カウンター。

自然の要求(100)

 お守り。だんだん100円が高く見えてきた。

断固たる否定(30)

 除去兼カウンター。

成長のらせん(80)

連携探索(30)

 カードを引いて土地を出す。

交錯の混乱(250)

 カウンター兼限界サーチ。
 《タッサの神託者》にも《パラダイム・シフト》にも《献身のドルイド》にもなれる。

排撃の変異(50)

 カウンター兼サイズアップ。海鮮がいればほぼ確定カウンター。

再造形(20)

 追放除去。《現実変容》は30円。

内にいる獣(150)

 お守り。案外高い。

岸の飲み込み(80)

 インスタント全体バウンス。これでなんとか。

ひらめきの瞬間(20)

 ひとまわり大きい《成長のらせん》。

ソーサリー

パラダイム・シフト(2,000)

 寿司。
 ちなみに《Thought Lash》は2,500円。

遥か見(100)

自然の知識(150)

 デッキから土地を出す。
 もちろんデュアルランドは入っていないし、なんならショックランドも入っていない。

緊急時(300)

 限界サーチ。
 コンボパーツは何も拾えないが、ドローなら《秘密を知るもの、トスキ》、仕掛けるなら《ザルファーの大魔道士、テフェリー》にアクセスできる。
 《上昇底流、スリン・ヴォーダ》を持ってきて全バウンスできるだけのマナが出せるかは未知。

バーラ・ゲドの復活(280)

 お守り。高い。

耕作(80)

木霊の手の内(50)

 海鮮まで確実に土地を伸ばしたい。

圧倒的な波(80)

 海鮮以外バウンス。

通り抜け(20)

 ウィザード・サイクリング。
 最悪2体バウンス。

リシュカーの巧技(200)

 海鮮で大きくドローしてさらに海鮮を出したい。

モンスター・マニュアル/動物学的研究(600)

 海鮮を拾って踏み倒せる。
 インスタントタイミングで仕掛けられるコンボはない。

エント最後の進軍(1200)

 目指せ海鮮パーティー。

エンチャント

ウーラの寺院の探索(300)

 はじめて見た……

楽園の拡散(100)

繁茂(100)

 マナがなければ海鮮が出ません。

ケンリスの変身(100)

 お守り。案外安い。

豆の木をのぼれ(800)

 海鮮にドローがつく。
 スタンダードリーガルのアンコモンが800円?

コジレックの封印破り(50)

 中型の海鮮にマナ加速が付きつつ、巨大海鮮で3ドロー!

怪物渦(30)

 3枚目のキオーラ。

アーティファクト

トーモッドの墓所(150)

 寿司の墓地掃除兼《船砕きの怪物》のバウンス用。

太陽の指輪(150)

秘儀の印鑑(100)

シミックの印鑑(50)

好奇のタリスマン(150)

思考の器(150)

 マナファクト基本セット。
 ストレージにいくらでもある気もするがなんやかんや100円を越えている。

機械神の肖像(400)

 《献身のドルイド》になることで無限マナ。
 低予算の極意として他人の高額カードを借りるつもりが、たまたま偶然無限マナになったと言い聞かせている。

土地

絡みつく島嶼域(20)

霧氷林の滝(80)

 令和の産物である基本地形タイプを持つ2色土地。当然タップイン。

内陸の湾港(150)

溢れかえる果樹園(150)

ヤヴィマヤの沿岸(400)

冠水樹林帯(400)

回復の温泉(500)

 アンタップインできる2色土地群。
 ショックランドは高級品です。

統率の塔(50)

 ほとんど同じ再録回数だろうに《太陽の指輪》との価格の開きは何?

風変わりな果樹園(50)

 アンタップインできて色の出る土地。
 ちなみに反射池は1,000円。

ギャレンブリグ城(400)

 海鮮へのマナジャンプ。ただし海鮮は青い。

神秘の聖域(100)

 お守り。

トレイリア西部(300)

 トーモッドの墓所専用サーチ。

眷者の居留地(250)

 海鮮で起動可能。
 ちなみに《作戦室》は500円。

聖遺の塔(50)

屍肉あさりの地(150)

アンダーダークの裂け目(300)

 お守り土地群。

冠雪の島×8
冠雪の森×8

100枚計18,360円也。

メリークリスマス

 そんなこんなで気の向くままに書いていたらクリスマスを迎えようとしている。ひとまずこのデッキを自分へのクリスマスプレゼントにしようと思う。
 せっかくデッキを組んだことだし久しぶりに店舗イベントに出る意欲もわいてきた。少しずつ人間に戻っていきたい。
 そのためにもまずはシャワーを浴びよう。

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