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夢見ル絵本 あかつき物語 ストーリー原案こそっと公開

あかつき物語は再生の物語。
光の龍が死にまた生まれ変わるまでのお話です。
それはもしかしたら何千年もの月日の物語かもしれないし、たった一夜の夢物語かもしれません。
そんな不思議なお話です。はじまりはじまり。


僕は押し入れの中にいた。
少し悲しいことがあると押し入れの中で紙飛行機を折って飛ばす。そうしていると僕も空を飛んでるみたい。
飛ばした紙飛行機はふわっと窓の外に飛んでいってしまった、、その窓を眺めていると野良猫がやってきた!猫は紙飛行機じゃなくて絵本をくわえていた。
押し入れに入ってきた猫は僕に絵本をくれた。僕は代わりにリボンで鈴をつけてあげた。友達の証だ。
絵本を開いて見ると夜の絵ばかりの不思議な絵本。
その夜の絵を眺めていると猫が絵本の中に落ちちゃった!
僕は怖かった!だって絵本の中に落ちるなんて普通ありえないから。
猫を助けようと、とっさに手を伸ばした。
猫の尻尾に手が届きそうだったけど、、僕も絵本の中に落ちちゃった!
僕が落ちたのはサラサラな砂の上。
星が少ない何もない砂漠だった。
一人ぼっちだ…
僕は「おーい?おーい!」と呼びかけた。返事はない。
だけど流れ星が光りその落ちた方から小さく猫の鳴き声と鈴の音がした気がした!
僕は一生懸命、流れ星の光が消えた方へ走った。


そこは大きな水晶の森。
鏡みたいに僕がたくさん映った。
「氷のように透明で宝石のように硬いけど食べると甘い。これなんだ?」
たくさんの僕の中の1人の僕が喋ったかと思ってびっくりした。
でもそれを言ったのは女の子。
女の子はとっても可愛いのに、、水晶を食べていた。
「氷のように透明で宝石のように硬いけど食べると甘い。これなんだ?」
女の子は僕に水晶のかけらをくれた。とっても甘くて美味しかった!

彼女は世界中を冒険してきたワンダーハンター。
彼女は世界中の不思議なものを集めている。
僕は彼女に猫から貰った絵本を見せた。
本は1等級の宝の地図だった!その地図には、さっき貰った水晶の他に「小人の涙」「不死の羽」を集めたら奇跡が起こると書いてある!
女の子は残りのお宝を!僕は野良猫を探しに出発だ!


水晶の森を出て2人で歩いていると歌声が聞こえてきた。
「ピットン パットン トリルピッタ パーン
ピッタン ポットン トリプレット パーン
不思議な不思議な湖は
静かに光る涙のしずく
ピットン パットン トリルピッタ パーン
ピッタン ポットン トリプレット パーン
不思議な不思議な水の底
綿帽子かざるパーンのすみか」
足元を見ると小さな水たまりがあってそこから聴こえてくる。
「ピットン パットン トリルピッタ パーン
ピッタン ポットン トリプレット パーン
不思議な不思議な湖は
静かに光る涙のしずく
ピットン パットン トリルピッタ パーン
ピッタン ポットン トリプレット パーン
不思議な不思議な水の底
綿帽子かざるパーンのすみか」
楽しい歌声を聴いて女の子は踊り出した。僕も恥ずかしかったけど一緒に踊った。
僕は下手っぴだったけど小人さんには喜んでもらえた。そして小人たちは「小人の涙」を僕たちにくれた。


僕達はまた旅に出た。
旅の途中、彼女が《シジマというやつの仕業で世界を照らしていた龍の力が衰えてしまったこと。龍が流れ星になって、それからはこの世界から光が消えてしまって朝が来なくなった事を》教えてくれた。
「え?それって僕が見たあの流れ星だったのかな?
龍は最後の力を使って僕に合図を送ってくれたのかな!?」
龍のおかげで僕は彼女に会えた。
龍にあって「ありがとう」を伝えたい。


ふと見上げると羽根が舞っていた。風もないところで、静かに優雅に舞っていた。その羽根に触れると少女は語り出した。
「ある夜、森の中で旅人の男は女と出会った。その晩2人は契りを交わしたが朝になると旅人には女の姿が見えなくなっていた。女は妖精だった。男は女を探し回ったがやがて死んでしまった。そして妖精もまだ男を探している。羽一枚になってしまった今もまだ」

ふと周りを見回すとあたりは闇に包まれていた。なにか明かりはないかと僕は甘い宝石と小人の涙と不死の羽根を少女に渡した。闇の中で宝物を持ってる少女は仄かに輝いていた。とっても綺麗だった。
ふと僕の目の端、光と闇の境界線で何かが蠢いた。
シジマだ!!!


彼女の光を飲み込むつもりなのかも知れない!
僕はなんとかシジマの気をそらせないかと思った。
そして閃いた!紙飛行機を折ってシジマに向かって飛ばしたんだ!!
紙飛行機はシジマの横を通り過ぎた、シジマは何が通り過ぎたのか解らず紙飛行機が飛んで行った方向に体を向けた。

彼女の姿がみるみる輝き、光る龍に変わった。
龍の光が夜空にも放たれて世界があかつきに包まれた。
暗闇が消えたせいか、シジマも消えていた。
光る龍に生まれ変わった彼女は僕に言った。「あなたが一緒に旅をしてくれたから私はまた龍の姿に戻れました。この世界に奇跡を起こしてくれてありがとう」
僕も「楽しかったよ、ありがとう」と言った。
龍は僕に「あなたはこれからどうするの?この世界を冒険する?」と聞いたけど「僕は家族のいる世界を冒険するよ」って答えた。


龍は僕を背中に乗せて満点の星空の中で1番光る星に向かって紙飛行機みたいにぐんぐん飛んでいった。眩しさに目を瞑っていると龍は僕に言った。「暗闇が来たら必ず光を届けます。その時にまた会いましょう」
僕が目を開くと、そこは僕の押し入れだった。

「あ!そういえば猫は!?」

外から猫の泣き声がした。
僕は押入れから外に出た。

「夢見ル絵本 あかつき物語」
原案 村木充
作話 角田幸子
絵本原画 ©︎夜依ル2020

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