見出し画像

所沢で初心者向けジャムセッションをしました(その2)【バンド初心者・セッション初心者むけ】

今回はギター歴40年のいぶし銀の玄人から、ギターを始めて半年の小学4年生までが混在するカオスな空間でしたが、それぞれのレベルの人に伝えたいこと、誰にでも共通する重要なコツ等は頑張ってお伝えしたつもりです。多くの方に楽しかったと言って頂けてひと安心していますが、予想を超える人数で大盛況、幹事はテンテンコマイで、みなさんへのサポートが十分でなかったかもしれません。反省と復習教材を兼ねて、今回のジャムセッションのレポートをします。

ジャムセッション?何それ食えんの?という人向けの記事

本当にジャムセッションが初めて/ほぼ初めての人向けに書いた、前回のレポートにも、今回スタジオでお話しした内容がたくさん書かれていますので、次回も参加しようかなと思う人、ご興味のある人は、ぜひ読んでみて下さい!

こんな曲で遊びました

なんと、3時間で5曲しかできなかった!誰も置いてけぼりにしたくないジャムセッションなので、進行がゆるゆるなのはご容赦下さい。あれでも幹事は頑張ったんですが、サポートが足りなかった部分も多いと思います。遊びに来てくれた所沢のギターの先生と、町田のギターの先生に、手が足りないところをかなり手伝ってもらっちゃいました。感謝。

Before You Accuse Me

ブルースの定番です。シャッフルのリズム、12小節の繰り返し、歌と歌の間に入る短いギターの合いの手、キーボードの伴奏の仕方、3回あるギターソロのタイミング、イントロとエンディング、などなど、めちゃくちゃ勉強になるよい教材なので、何度も聴いて勉強して頂ければ良いと思います!

なぜ初めにブルースばかりやるのか

それは、以下の点でブルースがとても大事だからです。
 1. ジャズやロックの起源(の1つ)であり、基本中の基本である
 2. 型が決まっていて、簡潔で覚えやすい
 3. 少い音で弾ける → バンド内の対話と表現に集中できる

こんな感じかしら。やりたい音楽がジャズでもロックでもJ-POPでも、まずブルースから始めるのは、それが音楽的な源流だからです。12小節の形式と6つの音(ペンタトニック+ブルーノート)を覚えたら、そこから先はとても自由な音楽です。例えばジャズミュージシャンも縦横無尽に自由にアドリブを弾きまくっているように見えますが、必ず型通りの演奏を勉強しているからこそ、あれができるのです。「型破り」という言葉がありますね。型を破れるのは、そこに型があるからです。まず制約とかルールがあるんです。それが十分に上手に扱えるまでに修練を積んだ人が、今度は既存のルールをあえて破ってみる。だからかっこいい音楽になるのです。ですから、まずは型を学びましょう。まず最初に誰もがブルースを学ぶのは、それがめちゃめちゃ基礎であると同時に、果てしなく高度な応用まで学べる音楽だからです!

シャッフルに合うベースライン

同じリズムと同じドラムのパターンでも、ベースラインを変えると雰囲気が全然変わります!今回のジャムセッションでご紹介したパターンのお手本を、ここでは人類最強のベーシストのひとり、ピノ・パラディーノがジョン・メイヤーのバックで弾いている動画でご紹介します。

わかりやすい4小節のギターイントロ

何種類かブルースのイントロのパターンをやりました。ギターがイントロを弾くことがとても多いので、ギタリストは2小節とか、4小節のフレーズのパターンをいくつか覚えておくとよいでしょう。「わかりやすい」というのは、他のバンドメンバーにとってわかりやすい、という意味です。その意味で、最初に貼った動画のイントロはどこから歌が始まるのか、ややわかりにくいです。それでも明らかにここがイントロの終わり、というフレーズが出てくるので、バンド全員が安心して曲を始められます。もっとわかりやすく1拍目から始まる、4小節のお手本のようなフレーズをクラプトン先生が弾いていますので、有名なアンプラグドの演奏からどうぞ。

メロディ楽器やベースの人は、ブルース語という言語を学ぶのだと思って下さい。ブルースにはそれ独自の「言い回し」があって、その特徴がブルースをブルースたらしめているわけです。これはファンクでもジャズでもメタルでも同じです。常套句を上手に使い回せると、一段とそれらしい演奏ができるようになります。語彙力とその運用力が重要なのは、実際に外国語を習得するときと同じです。どんどん使って覚えましょう。

The Thrill is Gone

マイナーブルースと言えばこの曲。ふつうの8ビートなのも特徴的ですね。こんな風に、イントロがギターソロで始まって、ひとしきりギターを聞かせてから歌が始まるパターンもとても多いです。エレピの伴奏も非常に勉強になります。「ピアノ/キーボードでブルースってどうすればいいの?」という人はぜひ聴いてみてください。

ギターと鍵盤の和音がぶつかっちゃう!

2次会への道すがら、クラシックピアノの経験がある方とお話しました。ギターとビアノが同時に演奏すると、どうしても和音がぶつかってしまいます。あれで良いのでしょうか、本当はどう弾けばいいのでしょうか、といった内容です。非常にレベルの高い質問ですし、合奏に特有の問題なので、こういう質問が出るなんて、ジャムセッションを企画して良かったなと思います。

さて、今回のジャムセッションの場では、和音がぶつかって、音が濁ったようになってしまっても仕方ないと思います。ギターが4人もいて(今後は同時に2〜3人までにしましょう)、鍵盤が2人、しかも初めて一緒に演奏するわけですから、これで美しいバンドサウンドになったら、もうプロ級です。いろいろ教えて欲しい!笑

とは言え、少なくとも何に気を付ければよいのかは知っておきたいですよね。コード楽器が複数ある時、お互いに邪魔にならないように、どのような演奏をすればよいのでしょうか。思いつくままに対応策を挙げてみます。

 1. 弾かない
 2. 音量を変える
 3. 音数を変える
 4. 音域を変える
 5. 和声を変える
 6. 音色を変える
 7. リズムを変える

1. 弾かない

とにかく簡単で、かつ最強の選択肢です!音を鳴らさないんですから、音がぶつかることはありえません。笑 押してだめなら、引いて下さい。伴奏とは、その場の空気を音で埋め尽くすことではありません。メロディや誰かのソロを引き立てて、サポートするのが伴奏です。だから、いまこの音は必要ない、この曲は十分かっこよく演奏されている!と思えば、弾かなければ良いのです。休符のおかげで、音符の存在意義があるのです。無音の時間があるからこそ、鳴らした音が引き立つわけです。陰と陽、すべてはバランスの問題です。

上記のThe Thrill is Goneを聴くと分かると思いますが、ブルースは隙間だらけです。B.B.が歌詞の1節を歌い終えてから、次の歌い出しまでに2小節ぐらい空くことが多いです。ここでギターやピアノの短いフレーズが応えます。曲は会話のように進んでいきますが、このようなやりとりをコールアンドレスポンスと言いますね。この会話のようなやり取りを意識して伴奏をするだけで、ぐっと音楽的な演奏になります。ぜひやってみましょう。

2. 音量を変える

ボリュームツマミを回すだけで、簡単にできます。ふつうは音量を下げます。自分の音が聞こえにくいからといって、周りの大きな音に大きな音で対抗するのはおすすめしません。周りの人も同じことをしてくるので、音量上げ大会という名の悪循環に陥ってしまいます。これもバランスの問題なので、いま誰の音を強調すると全体としてハッピーになれるのか?そのためには自分は押すべきか、引くべきか?と考えます。お互いにアンサンブルの中で共存共栄できる道を模索するわけです。

3. 音数を変える

これも簡単で効果が大きいです。同時発音数を減らすことで音の衝突を減らして、共存共栄を図るアプローチですね。それだけぶつかりあう音が減りますから、音色の音抜けにも影響します。ここでは、そもそも本当にコードを弾く必要があるのかを、その場で判断しましょう。誰かが大きなコードをガツーンと弾いているなら、そこで共存できるのは例えば単音のフレーズとか、あるいは環境音のようなアルペジオかもしれません。「小さな」コードを使うのも有効です。ジャズを勉強している人は、シェルボイシングという言葉を聞いたことがあるかもしれません。興味がある人は調べてみて下さい。コードの構成音をすべて鳴らす必要は無い、ということです。

4. 音域を変える

これは簡単に言うと、オクターブを変えることです。他の楽器が鍵盤の真ん中ぐらいの音域で演奏しているなら、自分はその1〜2オクターブ上の高い音を弾こう!といった方法です。逆に誰かがソロで高音域を弾いて盛り上がっているなら、高い音は出さずに、真ん中辺で居場所を探します。常にバンド全体を見聞きしている必要があるので、楽器の演奏に余裕が無いとできません。低域はベースが支えていますので、普通は低い方には邪魔しに行きません。鍵盤楽器は音域が広いので特に注意が必要です。いつも両手で弾くクセがついている人が多いですよね。だからベースの音域まで攻め込んでしまう人がとても多いのですが、あれをやられるとベーシストは非常に弾きにくくなります。

5. 和声を変える

和声と書きましたが、ハーモニーと言った方が通じる人も多いでしょうか。バンド内の音の共存をめぐるあれこれとは「隙間を見つけたり、作ったりすること」と言ってもいいでしょう。音楽的な自分の居場所を見つけたり、他の楽器の居場所を意図的に空けてあげることです。1の「弾かない」というのは、まさに大きなスペースを作り出すことですし、空いている音域を探す4も、スキマ探しの例としてわかりやすいと思います。では和声的な隙間とは何でしょうか?この場合はあるコードに対して、テンションだけ鳴らすような方法のことを言っています。すでに誰かが基本的なコードを弾いているなら、どうやってハモろうか?ということです。コードや基本的な和声の知識、あるいは素早く協和音を見つけられる相対音感がないと難しいと思います。

6. 音色を変える

「周波数的な隙間」を探す感じです。みんなが似たような楽器の音色で演奏するのも曲によっては良いと思いますが、バンド内で埋もれない音色を鳴らしたいことは多いと思います。ギタリストならアンプやエフェクターのEQをいじったり、ギターのトーンノブ、ピックアップセレクターなんかを使って、音量に頼らなくてもバンドサウンドに埋もれないような音作りをします。キーボーディストならパッチを編集したり、ピアノならPA側のEQで調整してもいいと思います。注意したいのは、家で頑張って作ってきた音色が、いざライブで弾いてみると全然聞こえなかったりすることです。ありがちなのは、家ではヘッドホンで聞きながら音色づくりをする場合です。これをアンプやPAを通して鳴らすと、全然違う、たいてい音抜けの悪い音になります。アンプの音はアンプを鳴らして作りましょう。私は音色づくりが苦手なので大したことは言えませんが、たくさん演奏を経験して、この帯域のツマミを上げ下げすればこんな風になる、という感覚を身につけたいところです。

7. リズムを変える

これはタイミングの隙間を狙うということですね。「弾かない」のと似ていますが、もっとフレーズ寄りの考え方です。音符の数を減らしたり、弾くタイミングをずらしたりして隙間を作り、他のフレーズやメロディとの衝突を避け、共存を図ります。その場でフレーズを作れるだけのアイデアと反射神経が必要です。こういう時にブルースやファンクの常套句を知っていると、応用が効くので役に立ちます。

ホーンセクションは伴奏アイデアの宝庫

ブルースやファンクでよく見かけますが、管楽器奏者が3人くらい並んで決まったフレーズや和音を演奏していますね。あれがホーンセクションです。ホーンセクションのフレーズは、上記のすべての要素が実に上手く考慮されていて、とても勉強になります。ぜひ真似してみましょう!

Sweet Home Alabama

コード3つで弾ける!(本当はあと2つあります。ぜんぶで5つ)パワーコードの上手な使い方と、邪魔にならないピアノの絡み方を聞いて欲しいです。

Lively Up Yourself

これはやめておけばよかった〜。笑 「コード2つで弾ける!簡単で楽しい!」と思ったんですが、16分音符のリズムでかなり苦戦していた人が多くて、時間かけ過ぎちゃったな〜。もっと早く切り上げればよかったと思います。でも「色んなリズムを叩いてみたい!」というドラマーさんのリクエストもあったので、まず初心者が教わることは無いであろうレゲエのリズムはやっておきたかったのです。

Long Train Running

とにかくジャムセッションでよく演奏される曲です。ちょっとだけコードが違いますが、基本的にマイナーブルースと同じ進行で、12小節の繰り返しなので、演奏しやすいんですね。16分音符がたくさん出てくるファンキーな曲調が特徴です。いわゆるファンクとは違うので、ファンクロックと言ったところでしょうか。この曲はこういう曲なので、大きなコードをじゃかじゃか16分で弾きまくっても許されるわけですが、ジェイムス・ブラウン直系のいわゆるファンクをやる時に同じことをやると音楽的にとても迷惑なので、気をつけましょう。初心者が陥りがちなファンクあるある、です。

らいけんと申します。音楽を教えたりブログを書いたりしています。頂いたご支援は音楽活動やコンテンツ制作のガソリンとなっております。本当にありがとうございます!