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Myth

 「人は変わる」と言うが「本質は変わらないのではないか」と思わせる記憶が不意に蘇る。では、その「本質」とやらはいつ発生したのであろうか。物心つく前の幼少時の記憶か、それとも、前世から引き継がれているのか。いずれにしても、明確な答えを出すことは不可能であろう。

 これまで人間は無数の神話を生み出してきた。奇想天外なものもあれば、理解可能な類のものもある。解釈は無限にできるので、いずれにしても、筋道を立てようと思えば立てられるが、万人の腑に落ちる「神話」は未だかつて存在したことがない。ゆえに、神話は更新されていく。

 地球規模で君臨している現代の「経済」神話ほど強力な神話は未だかつて存在しなかったように思うが、いずれ新たな神話が取って代わるのだろう。今、英語で "Myth" と言えば「あり得ない話」として使われる場合が多いと思われるが、自分が神話の中にいるとは考えもしないだろう。

 知れば知るほど明らかになるものがある一方、自分の無知さも顕わになる。不可知の膨大さは知とは比較にならないが、知的欲求が止むこともない。また、不意に気付きが訪れ、長年の問いが腑に落ちることもある。何事にも「白紙部分を残すこと」を常に忘れずにいたいものである。