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『大怪獣決闘ガメラ対バルゴン』(1966) 意気込みやよし!ただ、ちょっとだけマジメすぎ?

ガメラVS敵怪獣というパターンの幕開けとして、非常にマジメな一作。昭和ガメラへの偏見をリセットして鑑賞したい。


子供の頃に観たけど今や断片的な記憶しかなかったり、好きなシリーズなのに歯抜け的に見逃してた作品』を見返して、大人になった今だからこその、再評価すべき点や新しい魅力を紹介できればと思います。

『大怪獣決闘ガメラ対バルゴン』(1966)から参りましょう。


ガメラ史上初の対戦相手である、大怪獣バルゴン氏


『昭和ガメラは子供が主人公』『子供を喜ばすための映画』
というイメージが強かったので、あらためて観た『ガメラ対バルゴン』は意外なほどに王道・正統派な怪獣映画だったことに、逆に新鮮な感覚を味わいました。

何といっても主人公が大人であるし、ドロドロとした裏切り劇や、殺人シーンまで見せていて、本筋に子供が絡んでこない。

ガメラの歌やガメラマーチもまだ無いし、子供向けに振り切れていない感が強いです。

”トレジャーハンターが南の島へ行って宝を持ち帰った事が発端になる”あたりは『キングコング対ゴジラ』『ゴジラ対エビラ』に近いノリですが、それらの作品は明るいコメディタッチだったのに対して、本作は数段シリアスです。

本作は昭和ガメラシリーズとしては2作目にあたります。

前作がガメラの単独主演作であったことから、シリーズ化第一弾が本作と言えます。ゴジラのようにシリーズ化することへの狙いもあってか、随所に色々な試行錯誤があったのだろうかと感じられます。


結果として、敵怪獣・バルゴンの能力設定が難攻不落を極める。
「冷凍能力を持っているが、高熱の光線も出す」という時点でキャラが固まっていない感。
その上、南海の孤島に住んでいた怪獣なのに『水に弱い』って、一体どういう設定なのでしょうか。故郷で台風とかスコールに遭遇した時、どうやって過ごしていたのでしょう。
おまけに人を白骨化させる虹まで発射できるのです。
なんだか、要素を盛り込みすぎてやしませんか。



昭和ガメラの怪獣の出来については、ゴジラなどの東宝の怪獣に比べて生物感がない、突飛な怪獣が多いとはよく言われますが、眼球に電飾が仕込んである独特の目がそれを体現してると思います。
バルゴンも例にもれず、映画用の着ぐるみらしい硬質さや質感の高さを持ちながらも、狂暴というよりはなんとなくとぼけた印象があります。
バルゴンの着ぐるみ造形を担当したのは、かの高山良策だそうですが、ウルトラマンというよりは氏の別作品『怪獣王子』っぽいゆるさを感じます。
死んだ魚のような感情のない目が印象的です。


死んだ目のまま、背中から虹を放射するバルゴン氏


大阪城や神戸タワー
のミニチュアセットも、力が入っていて見応えがあります。

ガメラシリーズは後になるにつれ、チープ化してフレンドリーな路線を極めていきましたから、シリーズ1作目である『大怪獣ガメラ』を別格とすれば、本作はシリーズ中の異色作と言えるかも。


そういえば、『大怪獣ガメラ』のラストが本作へと直接つながっていることが示されるのも、非常にマジメといえるかもしれません。

いつもどこからか飛んできて、戦いが終わるとどこかへ飛んでいくのが当たり前のガメラにしては、前作とのつながりを丁寧に説明するなど珍しいことです。

昭和ガメラのシリーズ化の礎として、真摯に作られた一作だと思います。

ただ一つ言えるとすれば、笑えるシーンが非常に少ないのがガメラらしからぬとも言えますね。ちょっとマジメすぎたのかな?という気も。

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