久しぶりに転生ものを読んでみたら面白かった話②

舞台は異世界。貴族の家の娘の体に、主人公が転生させられるところからが始まりである。

この世界には反魂術という、死者の魂を生者の体に移す技がある。主人公はその技によって、病弱で死にかけていた娘に魂を移された。詳細は省くが、主人公は1、2日経つと死んでしまう体を術で復活させ、周囲にはそれを隠したままニア・リストンとして生きることになる。

元のニアは病弱で生きているのが精一杯の4歳の幼女だった。激しく衰弱し、生きるためのエネルギーもほんの少ししか残せず、髪まで真っ白に染めてこの世を去ってしまった。

では転生した後のニア・リストンがどんな性格なのか。それは本人自身が物語の中で語っている。

『私はニア・リストン。
 趣味はお薬を飲んで安静にしていることで、現在全力で闘病中の女の子。
 好きな調味料は塩で、好きな味付けは『素材の味を生かした』とかいう戯言ではないちゃんと味付けされたもの。
 将来の夢は大きな革靴くらい大きなステーキを、塩以外の調味料で食べること』

ツッコミまちかな?と言いたいくらい色々粗い。ちなみに本人曰く、『溌剌とも元気ともハキハキとも言えないが、一握りの利発さとそれなりに育ちの良さそうな雰囲気が出せている自己紹介』らしい。
『蛮地で生まれた戦闘民族の子かな?』としか思わんわ。

ちなみにこの荒々しさはだいぶオブラートに包まれた物である。この物語を全部読んでニア・リストンに対して抱いた感情を言葉にすると、以下のようになる。

・人の形をした暴力

・歩くし考える暴力

・思考の9割が暴力に満ちたマシン

・会う人全てがサンドバッグに見えてるやべー奴

・コンの皮被ったヘラクレスメガロス

・ホラー映画の絶対に死なないし離れないお化け

以上。

ここまで言えばわかってもらえると思うが、ニアはまず人間界で真っ当に生きているような存在ではない。
 どっちかというと神とか巨人とか吸血鬼とか、人外側に立っている存在だ。この子の前世が人の英雄だったとか、読み終わった後だと嘘でしょという感じである。

そんな彼女が主人公の物語だ。内容もさぞ凄惨なものに違いないと思ったことだろう。

だが、実はそんなことはない。むしろその逆、この物語は前半から後半まで終始とてもほのぼのとしたノリで進んでいくのだ。

今日はここまで。続きはまた明日書きます。

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