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【K-1大阪】 江川優生vs椿原龍矢でおもったこと【ネタバレ注意】

※①敬称略
※②格闘技ファン歴23年ってだけの素人の記事

個人的につけているランキングでは江川が王者、椿原が2位(1位はジャオスアヤイ)なので筆者的には6:4か7:3で江川有利。と予想していた(脳内)。江川の相手に椿原? 椿原って誰やとか辛辣な言葉もあった(気がする。


1.江川優生

武居由樹もいるパワーオブドリーム所属。足立区の怪物の異名を持つ。K-1フェザー(57.5kg)級王者&元Krushフェザー級王者。前フェザー級王者決定トーナメントにおいてはリザーブマッチでKO勝利。その後Krushフェザー級タイトルを奪取。Krush王座防衛戦からフェザー級トーナメントに至るまで4戦4勝4KO(1RKO)と凄まじいレコードを残した。2019年6月から2020年8月の1年2ヶ月間1Rでしか試合をしていないことになる

ただそこに至るまで完璧だったのかというとそうでもなく、デビュー戦はドロー。ただその後は連勝街道を突き進み、兄貴分である武居のスーパーバンタム級トーナメント優勝もあってパワーオブドリームをピックアップしつつあるなかMoney in the KHAOSという4人制のトーナメントに出場。

このトーナメントのメンバーなのだが当時でみると
・大岩翔大 Krushで1R秒殺KO負け(対戦相手は西京)
・小倉尚也 K-1グループ初参戦
・森坂陸 K-1グループ1戦1敗
江川優生 6戦5勝(3KO)1分

江川に箔をつけるためのトーナメントと言われるようなメンバーだったのだが、初戦は森坂が延長判定で江川に勝利

さらに優勝は森坂ではなく、大岩という状態になってしまった。この森坂戦が江川のプロキャリアにおける初黒星となっている。

その後、武居がスーパーバンタムを主戦場にするのもあってフェザー級に転向。転向二戦目で桝本“ゴリ”翔也相手に黒星を喫する

しかし、武尊が返上したフェザー級王座をめぐるトーナメントが開催。江川はリザーバーに選出されKO勝利をおさめる。続いて、スーパーフェザー(60kg)級からフェザー級に階級を落としてきた覇家斗と勝負し延長判定で勝利。4戦3勝(2KO)1敗という状態でKrushフェザー級タイトルマッチが組まれ、見事に王座を奪取する。

この戦績でタイトル?江川に勝ったゴリは?というと 当時の王者が西京春馬(クレスト所属)で、ゴリもクレスト所属で上背が小さいのもあって階級を落としている(後にフェザー級に戻ってくる)。
ほかにタイトルマッチに近いであろう人物が西京に軒並み負けている人物(小澤、村越など)、そして同門の伊澤(中国で王座獲得&同階級の選手を軒並み撃破)という状態であったためその中では消去法に近い感じはあった(そもそもタイトルマッチはスポンサーがつけば組まれるので、よっぽど弱い選手でもない限りはスポンサー次第っぽいのだが)。

しかしKrush王座を見事奪取。その後のK-1フェザー級トーナメントも知っての通り圧勝。ただ上述してるように結果を出したのはここ1年ちょっとくらいということである。

ファイトスタイルはパワーオブドリーム所属選手らしい攻撃の多彩さ スタミナ。特にボディブローが強烈で、そのほかに左右のフックに蹴りも使える。



2.椿原龍矢

K-1甲子園2015優勝(優勝は西京) K-1甲子園2016優勝(優勝は軍司) K-1甲子園2017優勝

上記の通りアマチュア時代からK-1グループを代表する選手やその手前の選手と凌ぎ合いつつ、プロのリングで西京と軍司にリベンジを果たした。スーパーウェルター(70kg)級で活躍する和島と共に月心会チーム侍って凄いんだというのを印象づけた選手である。

ただ甲子園では準優勝が続いたほか、スーパーバンタムのプロ初戦では後のKrush王者となる玖村将史にダウンを奪われ初黒星。
さらにKrushスーパーバンタム級トーナメントにおいては賛否両論のわかれる内容であったものの結果として軍司に再度リベンジを許してしまい、スーパーバンタム級マッチではあったが階級が下(バンタム級)の蒼士にも負ける。

その後本人が、ちょうど王座が空位なんでKrush王者になりにきましたとフェザー級に転向。転向初戦で桝本(ゴリ)を3RでハイキックでKOしインパクトを残す。しかしKrushフェザー級王座決定トーナメントに椿原の名前はなかった。

用意されたのはK-1フェザー級王者江川とのノンタイトル戦であった。

Krush王者とりにきたと公言する選手にもっと上でのノンタイトル戦とはなかなかすごいことるなぁと



3.江川の2つの黒星と椿原との関係性

煽りVTRで本人達が言っていたり、上述したように 江川はゴリに負けていて(2018年2月)、椿原はKOで勝っている(2020年7月)。

そして初黒星を喫したのが上述したように森坂相手(2017年7月)なのだが、実は椿原は森坂にも勝っている。時期で言えばKrushスーパーバンタム級トーナメントの1つ前(2018年5月)。

2020年9月の江川 2019年11月の江川が 2017年や2018年の江川より強くなっていることは間違いないが、それはそれとしてもこの関係性はちょっと引っかかっていた。

1つなら偶然 2つなら・・・?

そして魔娑斗が江川勝利を予想しつつも懸念事項を述べていた

・ボディが入る距離なら江川
・前蹴り ジャブで距離をとられると苦戦する
・パンチが強打でスピードがない



4.江川vs椿原

お?江川アンチか?ってくらい江川がそんなに盤石な王者でないことを延々と書いてきたが、そう盤石な王者ではない。

試合内容としてはまず椿原攻撃を当てる。そして江川の攻撃を避けるなりブロックするなりしてやりすごして自分の攻撃を当てて離れる。一般的なアウトボクシングのように当てて離れるのではなく 当ててからさらに当てて離れる。
もしくは江川が前に出て攻撃をしようとするタイミングでジャブや前蹴りで手放をくじく。

そして江川のガードが空いた隙間に椿原が膝・ハイキック・アッパーなどの強打を出す。

また、ローキックをもらわないように常に動き続けたり、時々スイッチをしたりとかなり工夫をしている。

椿原の作戦勝ちとか、アウトボクシングとか、判定狙いとか書かれているが椿原は前回の試合で自分の戦い方勝ち方を掴んでいる。

ジャブ 前蹴り 三日月蹴り 膝で削りに削って スイッチしてハイキック。

ぶっちゃけ江川だから耐えれた・ガード出来たのであって、おそらく適当なフェザー級の選手だと3RでKOされてしまうのではないだろうか。

江川は椿原に勝つというよりかは先を見据えてKO勝利するというのにちょっと囚われていたようにも見える。

何回9月22日をやっても同じ結果になっただろう。



5.江川が椿原に勝つには

椿原が負けたパターンはいくつかある
・単純に負け(K-1甲子園2015,2016)
・スピード・リーチで負けてカウンターでダウンを喫した(vs玖村)
・相手の土俵でまともに戦って負けた(vs軍司3試合目)
・カーフキックで脚を殺された(vs蒼士)

まず実力は江川が上か互角くらいだと思う。江川は言うほどK-1フェザーで圧倒的ではない。ただ王座に疑問がつくような偽物でもない。

スピード・リーチに関しては 上背がほぼ同じ かつ椿原はそこまで速いタイプでもない。ただ江川もスピードで戦うタイプでもない。

椿原は江川の土俵・・・ボディブローが届く距離ではそう戦ってくれない。ましてや江川とまともに打ち合ってくれるのはそれこそ外国人選手やゴリのようなパワーファイターくらいだろう。

カーフキックによる脚殺し。これは蒼士が椿原よりも本来の階級が下でスピードで上回っていたこととパワーが負けていたことで椿原があまりステップを使わなかったことによる限定条件。しかし、ここが一番のヒントか


近い階級では那須川天心がいるが、那須川は相手が見えない場所や予想してない攻撃によってKOを量産する。相手が前に出るタイプでなければ見た目のインパクトやステップワークで動きの量でジャッジ印象を良くする。実力差があれば特別なことはせずにそのまま飲み込む。

先輩の武居の場合は、自分がステップして相手にステップをさせない。ジャブや三日月蹴りで自分優位にする。フェイントで相手をとめたり強打を誘ったりする。

そしておそらく一番参考になるのは武尊。特にこの試合

・ステップには慌てずプレッシャーを掛け続ける
・前蹴りを使って先手をとる
・相手の前蹴りを膝でブロックして削る
・相手が前に出たらあえて下がる

特に前蹴りを全部もらっていたので、前蹴りを膝でブロックしたり、グローブで上から触ってチェックするだけでだいぶ展開がかわっていくような感じがした。



6.雑感 まとめ

というか、江川は椿原vsゴリを会場で見ていたのにこの展開になるのは正直予想していなかった。慢心せずして何が王かと言っていた人もいたが、基本的に上の立場の人間がどっか慢心するというか、良く言えば余裕があるのは絶対にある。

世界トーナメントを3試合連続1RKO勝利したという自信が王者としての悪く言えば慢心 良く言えば余裕が生まれる。

ただ江川vs椿原という組み合わせにおいては江川本人が新スタイルとなった椿原を生で見て、ゲスト解説までしていた。

余裕があっても、慢心は少ないだろうし、どう戦ってくるのかわからないわけでもなかっただろう。少なくても椿原vsゴリを見ていたファンなら、椿原がああやって戦うのって誰しもが思うよ。

いや江川が対策した上で椿原がその上を行っただけの可能性ももちろんある。素人目には無策で試合してそのまま飲み込まれただけに見えた。

むしろよくKOされなかったな江川偉いよ くらいな感じで一方的だったように見えた。

とはいえ、褒めるべきはフェザー転向2試合目で王者を一方的に負かした椿原。負けた方をあれこれ情けないというのはナンセンスだ。


おめでとう椿原!

面接時に「遊ぶ金欲しさに」と言いたい人生だった。