【文章練習】文体の舵をとれの練習問題をやってみた#03
最近木下龍也先生にハマって、私自身も短歌を二週間で六〇首ほど作った。自分の中ではエモいと思っているけれど、基本私は怨霊系ポエマー気質エロ小説書きなので、他の人が詠んだらエモくないかもしれない。そのうちここでも短歌のこと書きたいな。べ、別にこっちのお勉強サボってたわけじゃないんだからっ...…!
そんなことは置いとて、本題。
「文体の舵をとれ」第二章 練習問題②をやってみようと思う。
お前急に丁寧語やめたな? って思ったとしても、そこはそっとしておいてほしい。だって、小説のために勉強しているわけだし、小説で「です」「ます」なんて書かないでしょう。
文舵本書でもグループワークを推奨していることもあり、詩人のゼンメツ氏と勉強(というより、ほぼこちらが教えていただいている)を始めたのだけれど、文章を書く上での技法だとか、そういったところも砕いて解説してくれているので、急に小説書き始めた私のような者にはとても得るものが多いで……あっ、ですって言いそうになっちゃった。
第2章 句読点と文法
本書の第2章は句読点と文法ですってよ、奥さん。
《本書より抜粋》
詩人キャロリン・カイザーが以前わたしに言ったことだが、「詩人は死と当店ばかり関心がある」。たぶん物語の話し手は生と読点にばかり関心がある。
うわぁ、わかる。わかりすぎる。詩人から読点奪ったら死ぬだろう。いや、物語の書き手も読点ないと死ぬし、三点リーダーとダーシを奪われても死ぬけれど。
それでは例題をやってみよう。
〈練習問題②〉ジョゼ・マサラーゴのつもりで
一段落〜一ページ(三〇〇から七〇〇文字)で、句読点のない語りを執筆すること。
句読点を使わないで七〇〇文字。へー。ヤンデレかストーカーか殺人鬼しか思いつかないぞ。
※例題は太字で表記。
皿の数を数えたけれど私は別にそういう幽霊ではないし井戸に落とされたわけでもないのだけれどただ私がずっと気にしていることは何度もバイト先で皿を割ってしまうことだから元気な皿のことを数えているわけではなくて割れた皿の枚数を数えているだけだしコップも時には数えたな総数は三十二だったかなこうして見ると大したことないように見えるよねでもね普通の人はたぶん短期間にこんなに割らないのきっと何ヶ月かに一度とかそんなもんだし一枚も割らない人もきっといるからとりあえず謝っておこうかなごめんね先輩ごめんね店長私は皿を割るしオーダーは間違えるしニコニコしているだけではてんでだめだよ致命的に使えないやつだから就職先も決まらないしずっとここでバイトしてる私はポンコツだけれど先輩も店長も優しいからここで甘えているもしセックスを断ったりしたらこの人たちも私を見捨てるに違いないそうなったらどうしようかなどうしよう行くところないしお金もないし死のうかなそうだ死のう地獄も来世もどうだっていいよだって今が無理なんだから早く何もないところへ行きたい何もないところは何もないのだからお金を稼がなくて良いし誰かに媚を売る必要もないよねと病院の先生に話をしたけど先生は表情ひとつ変えないのおかしいくないですか先生あなたはこんな奴は今まで何人も診てきたから私なんかは特別な患者ではないし特別な感情もないのですよねわかっていますよわかっているのにそれでも私は先生に私を見てほしくてそれはその患者として診てじゃなくて私のことを仕事中以外も考えてほしくて私のことだけを目で追ってほしくていやそうじゃないかも本当は拾われて面倒を見てほしいのかもダメだ先生は私の話をパソコンに何か入力しながら頷くだけだからきっと私のこの気持ちにも皿をすぐに割ってしまうことにももうすぐ病名が付きます
七六九文字だった!ヤンデレか囚人か殺人鬼しか思い浮かばない自分の閃きのなさが悔しい。いきなり自分以外の誰かが読んで伝わるのか、これ...…。それでここにもし後から句読点をつけたらどうなるんだろうね。盛大に書き直しが必要になるうえ、ただのメンヘラポエム(今でもただのメンヘラポエム)になること間違いなし。
続いて、
ゼンメツ先生の句読点なしの文も読んでみよう。
ほら教室の中を見渡してごらんみんな話をしているよでもそれはきっと君のことじゃないね聞こえるかな今週のジャンププラスのこと部活に入ってきた新入生がカッコいいってこと隣のクラスの誰かが告白失敗しちゃったこと誰かと誰かが次の休みに何処かへ出掛けようとしていてそこに別の誰かが混ざろうとしているってことそんなやりとりのなかで君じゃない誰かが笑ってる他の誰かも笑ってるだいたいみんな笑ってる大きな笑い声がもっともっと大きな笑い声にかき消されているこの中で君だけは誰でもない存在なんだそもそも誰かが何かを話しているだとかなんてもう君の耳までは言葉として届いていないのかもしれないねじゃあ目で追うことはできるかなほら顔をあげて見てみなよ向こうで四着のスカートが揺れている二着のブレザーがドアを開けて勢いよく飛び出していく誰かの放った紙ヒコーキが机のうえに座る三人組のすぐとなりを横切って窓のそとへと行ってしまった何人かがそれを目で追っていたけどきっとすぐに忘れちゃうねあれそういえば君の席はどこだったっけほらほら左上に彫刻刀で彫られた落書きがあるあの机だよ君の椅子は休み時間になるとだいたい何処かへいってしまうね気にしてるのは君だけだよそうなんだこの教室で君だけが溺れているんだ蛍光灯ぎりぎりのところで顔を出して必死になって酸素を取り込もうとしているんだでもそれももうそろそろ限界でじきに君は終わる君のせかいは終わるんだそれは夢のはなしなんかじゃあないだって君はもうなにも見えない大声で叫びたくても空気がかすかにゆれるだけでなにも伝えられない君だけが君の肺だけが重い液体に浸されていてあたりまえにただ一人みんなと同じ空気を吸えていない
この二人称の語り手は、君とやらに何かしら特別な感情を持っており、君のことをよく見ている。それでもってこう、「君のことをこんなにわかっているのは僕だけ」感を一方的に押し付けている感じがとっても怖い!いい感じに怖い!正直に言おう。私が今回書いたヤンデレちゃんは、ゼンメツ氏の記事を見た後で書いたからもうそっち方向にしか考えられなくなって書いた、要するにパクリだ!この漫画家はこの漫画家のアシ出身だとなんとなく誰でもわかるみたいに、これからも堂々とパクるだろう。ごめんね先生、私のこのパクリ行為にももうすぐ病名がつきます。
#04に続く予定 。
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