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メールに書かれた「返信不要」という言葉は、相手が気遣ってくれているようで、実は傲慢なんじゃないか、と思った朝。

今日も、朝から暑いです。
暑さで熱中症になったり、ホルモンバランスの崩れから婦人科系でいろいろと起きたりと、このところ体調がすぐれません。

そんな私を気遣って、この1週間くらいの間にお仕事関係でいただくメールに「返信不要です」と書かれていることがたびたび。
その言葉を前にして、
「これは本当に返信をしなくていいものなのだろうか?」
「そもそも、返信不要って……」
などと、いろいろと考えてしまったのです。

それでふと頭によぎったのが、場合によっては、この返信不要って、ものすごく傲慢に受け取られてしま可能性もあるのでは? ということ。

なぜかというと、「返信不要」と書かれていたときに

①ありがとう、じゃあお言葉に甘えて、返信しないよー
⇒相手の言葉が、気遣いとしてきちんと機能している

②クライアントだし、一応、メールのお礼くらいは書いておいた方がいいんじゃないかな、でも、もし返事をして「いらないって言ったのに」と面倒がられたらどうしよう……
⇒本当に返信不要なのに、受け取った側が判断に困ってしまった場合は、気持ちがちゃんと届いていないという意味では機能していない。
ましてや、形式上での文言で、本当はお礼くらいしろと思っているのに「返信不要」と言っているなら、ただの意地悪にしかなっていない

③相手の言い分に、自分だって言いたいことがあるのに、返信不要って書かれちゃってるから、言えないじゃないか!
⇒これは困ります。まったく気遣いになっていません。ただ相手の言葉を封じるために使っていることになるので、受け取った相手にとって「返信不要」という言葉は、相手の傲慢さの象徴にしかなりません。

といったことが起こりえます。

“ビジネスあるある”で、メールでのやり取りの切り上げるタイミングがわからなくなる、というシチュエーションもたしかにあります.
そういうシーンでは、この「返信不要」という言葉はとてもありがたいものです。
仮に「本当に返事しなくていいのかな」と迷ったとしても、そのあとでそれが形式的なもので相手が「本当は返信をして来い」と思っていたとしても、「だって、返信不要って書いてあったじゃん」と自分を正当化することもできます。いろいろと危険は孕みますが、まあこのケースもよしとしましょう。

でも、問題は③の場合です。自分の言いたいことだけ一方的に書いてきて、「返信不要ですって、言われても!」とんなこともありますよね。
「え、じゃあ、私は何も言うな、とおっしゃるんですか」とムッとしてしまうようなシチュエーションの「返信不要」。
言いたいことを言わせないって、すごく傲慢じゃありませんか?
ちょっと前に話題になった、言論弾圧のすごくレベルの低いバージョンみたいなものです。

もし私が③のような状態で「返信不要」とメールに書いてあったなら……。
そうですね、私だったら、こうします。
「返信不要と書いてくださっていましたが、お伝えしたいことがございまして、失礼ながらお返事をかかせていただきました」と一言、最初に付け加えたうえで、自分の言いたいことは相手に伝えると思います。
自分の言いたいことだけ一方的に送ってきて、お前の言うことは聞かないみたいな態度は、ものすっごく傲慢だよと暗に伝わるような、慇懃無礼な文体で、メールを送り付けると思います。
そういう、ちょっと面倒な性格をしているので。

いろいろな人の「返信不要」エピソードを集めたら、ちょっとおもしろいものができそうです。もし「返信不要」をめぐって、何か嫌な思いやおもしろい経験をしたという方がいたら、コメントいただけるとうれしいです。

ちなみに私は、今まで一度も「返信不要です」とメールで書いたことがありません。
なぜなら、返信をするか、しないかを決める権利は、私にはないからです。
相手のものです。
返信したければすればいいし、もうこの辺りでメールを切り上げていいかなと思うなら、返信しなければいい。
私も、自分で決めたいから、相手には強要しないようにしています。

意外と深い「返信不要」をめぐる、物語。

(この記事は2019年8月に榊原すずみの別名義で書いたものです)

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