小説『人間きょうふ症』17

 採点は終わったようだった。
 「佐藤さん。あなた、満点だったね。」
 「そうですよね...8割取るわけないですよね...」
 「取ってるよ」
 「え、あ!取ってるんですか?ち、ちなみに何点くらいですかね...?」
 「100点」
 「え!現代文苦手な私がですか?」
 「ほかに誰がいるのよ」
 「嘘...ではないですよね?」
 「私が嘘ついているように見えますか?」
  満点取ると冗談では言っていたものの、本当に取れるとは思わなかった。内心では狼狽えていた。
 「佐藤さん、次のステップに入りましょう。」
 「え、あ、もういいんですか?」
 「それは当たり前でしょう。このテストで満点取っているんだから。んじゃ、ちょっと待っててくれる?」
 先生はそう言って、教室から出て行った。数分後、ホチキスで止められている束のプリントをいくつか持ってきた。
 「今のあなたなら、なんでも解けると思います。なので、全教科のテストを一旦解いてもらいます。そこで出た点数は課題点として加点します。」
 「じゃないと成績が大変なことになりますもんね…」
 「そうね。ただ、今はまだやりません。これらのテストは来週の月曜日と火曜日に分けて実施しましょう。その時までにきちんと復習してください。」
 「ちなみに全部でどれくらいですか?」
 「10科目ですね。体育と保健が一緒のものらしいので実質11科目だけど。」
 「わかりました。頑張ってみます。」

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