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「ここ」で暮らし、「そと」の愉しみをつくるひとたち(後編)

そとここを運営するみなさん。左から、小山田麻衣さん(まいちゃん/本インタビューの聞き手)、ぽたり珈琲・黒岩健介さん(健ちゃん)、亀岡理恵さん(スギちゃん)と一彦さん(かずくん)


前編では、「そとで、ここで(そとここ)」が生まれるきっかけや、その魅力について語りました。後編では、そとの愉しみを深堀りしていきます。 

前編はこちら

お気に入りの道具と一緒に、そとを楽しもう!


――そとで出店をしているみなさんならば、そとあそびの達人に違いない。オススメのそとを愉しむアイテムを教えてください。

健ちゃん:夏場の蚊が多い時は、ちょっと自粛してたんですけど、僕は羽釜 。古民家に越してきて、薪でご飯を炊くのにすごいはまっていた。ご飯を炊く道具も好きで、圧力鍋とか無水鍋とか土鍋とか、いろいろ試したけど、やっぱ薪で羽釜で炊いた米が1番うまいなと思って。

あとおすすめの道具は、亀岡夫婦とも一緒に石畳でキャンプしたりするけど、ダッチオーブンがすごい!

スギちゃん:最高だよね!美味しいものができる!

健ちゃん:バーベキューだと網でみんなこうせわしくつついて、下手したら焦げちゃったみたいな。飲み出したら、誰か舵を取る人がやらないとダメだからね。それがダッチオーブンはなくて。最初に仕掛けたら、もう友達とかと飲んだり喋ったりしてる間に料理ができている。置いてるだけで。

スギちゃん:開けたら「わー」みたいなね!

健ちゃん:あとは、車でドライブした時とかもそとで珈琲を楽しめる、珈琲道具のアウトドアセットみたいなのを箱に入れてるのが、まあ自分の好きなアイテム。


ミルやドリッパー、ポット、カップ、バーナーなど、珈琲を味わう一連の道具がアルミの持ち手付きのBOXにちょうど収まる、旅する珈琲セット


スギちゃん:
さすがですねー。道具持ち。すごくいいじゃん。めっちゃ、そとを楽しむアイテム!

まいちゃん:真似したくなる。なんかあれ欲しいってみんな言うんですよ。販売したらいいと思う。

スギちゃん:うちはあのバンの車と携帯と充電器があれば。それがあればもう生きていける。車中泊とかできるし、いっぱい荷物も入るし。本当にあれしか思いつかなかった。

まいちゃん:いやもう、本当にあの車!間違いない!

健ちゃん:そとを楽しむアイテムだ。



かずくん:
僕は釣竿 。海に行って夕日を見ながら魚を釣る。その場で捌いて、海沿いで食べてもいいけど。それで帰ってきて…

スギちゃん:そうそう、それで帰ってきて食べる。

まいちゃん:いいよね本当に贅沢!


かずくん愛用の釣り道具。里山暮らしも、海も楽しむ


――そとで食べるごはんは、なぜだか美味しい。どうしてなのかを、みんなで語ってみました。



健ちゃん:
まあ、やっぱり開放感があるし、特にそとここをやってる場所は空気が綺麗なところだし。もちろん食材もあるし、やっぱりこう誰かと食べるのがね、美味しいんじゃないかな?

かずくん:いつもと違う環境。いつもと違う人たちと食べるから。

健ちゃん:そとここに関してはね。特にね。

スギちゃん:なんでだろうね?本当。

まいちゃん:なんかそとでつくるカレーとか、私、すごい好きなんですよ。

スギちゃん:分かる!なんてことないもんもそとで食べると美味しいんだよね。

健ちゃん:そうだよね。小学校の時とかね。飯盒炊飯

かずくん:自分たちでつくって、みんなでワイワイ食べる から美味しいんだよ。

スギちゃん:そうだよ、なんかこう決められてない中で、あるもので何かつくるみたいなところでやっぱクリエイティブが発揮されてなんか出てるんだと思う。アドレナリンみたいなやつが。なんかつくろうみたいな。で、つくったら美味しい!


料理上手なみなさん。アマゴをナスで挟んで揚げるなど、この日もあれよあれよと創作料理が生まれていく


健ちゃん:
確かに!やっぱ一番は開放感だな。部屋でねえ、テーブル座ったりとかじゃなくて。

スギちゃん:そうだね。自由ってのがいいんじゃない?どこに座っても、どこにいても食べていいし

かずくん:家の中で食べるより見晴らしのいいとこで食べたら美味しいね。

健ちゃん:ああ、そうだね。景色!


小田深山の大自然に囲まれたロッジ「獅子越荘」の前で、そとごはん。ちょうど紅葉がはじまりかけていた


田舎の「そと」からはじまり、各地の「そと」とつながり広がる


――みなさんが住む愛媛県内子町は人口1.5万人強のいわゆる田舎と言われるまち。ここがみなさんにとっては魅力的に映るようです。

健ちゃん:1番は、自然豊かな場所で、美味しい食材とかもあることかな。まあ、僕なんか特に、古道具を結構収集して売っているので、広い家じゃないと在庫を抱えにくい。東京とかだとワンルームで何万もするところを、自分の場合、周りの草の管理とかをすれば、タダで貸してくれるっていう古民家を借りられたんですけど、田舎だとそうやって安く住めるっていうのは大きなメリット。

そして、やっぱり、都会では味わえない自然が身近にあったりとか。まあ、今は田舎に住んでても、インターネットがあれば、情報発信とか宣伝もできるし、都会に住むより田舎に住む方がメリットが多いと思いますね。 なんかのびのびと生活ができる



まいちゃん:
メリットが多い!超同感です。人によるんだろうけどね。なんかその感じ方というか、メリットと思うかどうかみたいな。

健ちゃん:珈琲と古道具をやり出すと、だいぶ時間の流れは忙しくなって、どっちも結構バタバタしちゃう。けれど、まあ自分に関しては基本的には時間がゆっくりというか。お店と自分の家が徒歩2分ぐらいなんで、一応通勤ってことでメリハリはつくし。すごいやりやすい環境でやらせてもらえたのがよかったというのがありますね。

かずくん:田舎暮らしでいいことは、近所の人みんな知ってるし、人に会うことが少ないから、マスクをしなくても、うろちょろできるってことかな。山に行く時、マスクせずに移動するやん。

まいちゃん:それは本当にありがたいと思う。

スギちゃん:私は、料理のあしらいに、葉っぱを使えたりとか、家の庭に生えてる松葉を使えたりとかすることがメリットかな。

健ちゃん:都会だと買うもんね。

スギちゃん:南天とかもね。都会だとなかなか見かけないけど、そういうあしらいが手に入る。あとは自然の素材で器をつくったりとか、すごいクリエイティブになれるよね。東京にいると、そういう発想はなかったけど、ハランをちょっとお皿にしちゃうとか、なんかアイデアがどんどん出てくる。だから、そういうのが気軽に使えたりするっていうのがまず一つだよね。

で、やっぱ、そんなに悩まなくても場所があるっていうことも。ちょっとそとに出れば自然の広場で、ピクニックしようが何しようが、お食事会したっていいんだし。そういうのはすごくメリットだとは思うなあ。自然だね。やっぱ自然が多いってことかな。


栗の園地に向かう途中の道。石蕗の花が咲いていたり、美しい村並みの風景が見渡せたり、クリエイティブのヒントに満ち溢れている


――田舎の魅力を再確認したみなさん。旧二宮邸の縁側からも庭が広がっていて、眺めていると、むくむくとアイデアが生まれてきます。



健ちゃん:
ああ、ここ(旧二宮邸)で何かやりたい!

スギちゃん:ここ、ここ!ここがいい!

まいちゃん:そうだね。ここでやろう!

健ちゃん:マルシェやろう!マルシェ!

スギちゃん:ここにねテントとか出してね。

健ちゃん:本当、時期がいい時にね。移動しながらとか面白いかもね。

スギちゃん:それ、いいね!ここでこれやってます、あっちの小学校でこれやってますとか。どっかでライブやってますとか。まちを見ながら、FUJI ROCKだ!

健ちゃん:ああ、ライブもいいよね。小田のまちなかなら、それ何拠点か面白いかもね。

まいちゃん:まあそしたら他のイベントとコラボとかですよね。ほかのとこがやってるイベントとコラボして。

スギちゃん:石畳地区も活性化してほしいから、石畳でも是非やりたいです。


石畳清流園の水車小屋の前で。二人の目標を聞くと「かめおか夫婦の名前を売ること」。地域の過疎化に歯止めをかけるために、石畳を知って、足を運んでもらうきっかけに自分たちがなりたいという想いがある


まいちゃん:やりましょう!
ちなみにみんなは、そとここの5年後、10年後ってどうなっていると思いますか。私、これ考えるのが苦手なのでお願いします。

健ちゃん:5周年でなんか遠征とかしたいよね。

スギちゃん:最初は内子町内とか言っていたけど、どんどん移動範囲を広げて、どこかと交流して。

健ちゃん:そうだね。どこかがこっちに来るとかね。

スギちゃん:受け入れたり行ったりとかね、そういうのがこう盛んになって、その範囲が、5年後10年後、広がっていくみたいなね。私たちがやってることは、どこでもできる。だからそれを持ってね。

健ちゃん:10年後って、うちらもう結構おじさんになって……(笑)。新しい波があったらいいね。


10年後はますます味わいが増しそうな健ちゃん。店内は、趣味で集めて家に溢れかえっていたという古道具でいっぱいだが、家具など入りきらなかったものもあり、ゆくゆくはそれらの展示販売も考えている


スギちゃん:そう、だからね、新しい人がね、もしかしたら第2世代がやっているかもしれないね。もう、私たちはお客さんで、っていうくらいの感じでね。いつまでも自分がやろうとしちゃ駄目。循環! 手放して、どんどん次のステップアップになってるかもしれません。


Coordinator Mai Oyamada
Writer Mami Niida
Photo Ko-ki Karasudani


移住者目線でここ(里山)の魅力を掘り起こしたり、沼にはまるほどの珈琲や古道具の世界をここで生業としたり、栗とクリエイティブを武器にここ(暮らす地域)の魅力を伝えたり。 そこにないならば、あるものを活かしながらつくる。 そんな「ここ」に地に足をつけている人たちの愉しむ形が「そとここ」だから、心地良い場なのかもしれません。 心のままに出かけてみる、そとで珈琲を淹れて味わってみる––。それならば、すぐにでもできそうです。あなたにもそんな「ここ」があれば、ざわつく日もリセットできるかも。 「そとここ」に足を運ぶのも良し、みなさんに会いに行くのも良し。あなたの「ここ」を見つけに「そと」に出かけてみませんか。


【情報】ここに会いに行こう!


そとで、ここで

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ぽたり珈琲


住所:愛媛県喜多郡内子町只海甲456 コミュニティースペースみそぎの里2F
営業日や営業時間、イベント出店情報はインスタグラムを。


亀岡家


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