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世界の化学産業の一助になれるプレイヤーに<delight ventures坂田氏インタビュー>

化学バーティカルSaaS企業Sotasは、2023年7月、シードラウンドとして、デライト・ベンチャーズなどから1.1億円の資金調達を発表しました。新たな挑戦に向けて代表の吉元裕樹とデライト・ベンチャーズのPartner坂田卓也氏が、Sotasの将来について語り合いました。

流れを作る「名手」そして、何でも拾ってくれる「いいキャッチャー」

吉元:坂田さん、今回は多くの出資候補企業の中からSotasを選んでくださり、ありがとうございます。坂田さんとはじめてお会いしてから3年くらいになりますね。僕は初めてお会いする前から坂田さんのことを存じていました。起業家やスタートアップ界隈ではとても有名な方でしたので、この人があの坂田さんかと、ご挨拶させて頂いたのを覚えています。

坂田氏:吉元さんは初めてお会いしたときから印象はずっと変わらず、二面性がある方だと思っています。ひとつは、経営者としての強くエネルギッシュな一面、もうひとつは持って生まれた素質、たとえば強い共感性や懐の深さがある一面。二面性というと誤解を与えそうですが、当然そういう人のほうが、奥行きがあって人間として魅力的です。

吉元:僕から見た坂田さんは、信頼できる「名手」です。投資家さんはコンサルや外資金融出身の方が多い中で、坂田さんのご経験はとても希有でありがたい存在です。製造業とITって、やはりまだ一定の感覚の乖離があると思っていて、何か意思決定をするときに、そんな距離を多少感じることがあります。そんな時、凸版印刷出身で製造業のバックボーンを持つ、デライト・ベンチャーズの坂田さんが間をつないで流れを作り、落としどころを見出してくださる。まさに名手、ゲームを構成する二番バッターという印象です。

坂田氏:野球の話が続きますが、僕は起業家に対して「いいキャッチャーでいたい」を信条としています。起業家がどんどん投げてくれたら、しっかり受け止める。『今日の球どうだった?』と聞かれたら、カーブがどうとか、もう少しこうしたらとアドバイスはしたい。でも吉元さんのことはそこまで心配してないかな。

吉元:僕の方は、投資家さんを「エモーショナル」「ファンクショナル」の2つの観点で注目しています。まずエモーショナルな観点で言うと、率直に坂田さんのアプローチがまっすぐにうれしかったということ。「吉元さんの気持ちが僕はわかるから、一緒にやろう」という坂田さんの言葉が、調達先を決定する中でも印象的でした。同じ船ってよく例えられますけど、従業員も投資家も同じで、一緒に船に乗っていて心地よい人とご一緒したい、というのが心からの本音です。

次にファンクショナルな観点。今のSotasにはさまざまな経歴を積んだメンバーはいますが、製造業×ITの要素が欠けているため、僕の主観だけで意思決定が進んでしまう危険性があります。そんな時に坂田さんにご意見を頂くことで、TeamSotasとしての意思決定に奥行が出ると考えています。

さらに、坂田さんはグロービスで講師をされている通り、セールスとマーケティングどちらの領域においても造詣の深い方。投資家としての戦略性にプラスして、現場のセールスやマーケティングもご理解いただき、ご相談できることは心強いです。

そして最後に、ちょっと偉そうで恐縮ですが、ファンドサイズと目線ですね。デライト・ベンチャーズさんは今後Sotasのフェーズが進んでいく中でも、継続してご支援いただけるファンドサイズであることに加えて、グローバルな視座をお持ちであることが大きな魅力です。デライトさんは米国駐在のGP(ジェネラルパートナー)がおられるので、常に感度の高い情報をフィードバック頂けることが非常にありがたいです。投資家の中でも特にグローバルな視点を持っている御社には、特にその部分に期待しています。

坂田氏:米国では兆円で上場するスタートアップもままあるのですが、日本ではいまだなく(※VC-backedファイナンスによる時価総額1兆円以上で上場)、弊社は日本でもそういうスタートアップを作っていくことに挑戦していきたいと考えています。日本のスタートアップのプロダクトは、言語依存もあり国内の課題解決に留まってしまいがちですが、Sotasの挑んでいく課題は当然ながらグローバルイシュー、だからこそ我々がご一緒させていただく意義があると思っています。

ロマンとソロバンを胸に、大きな川の“整流化”に挑む

坂田氏: 次は投資を決めた理由ですね。Sotasが挑んでいく課題、つまり市場規模については、化学産業の生産性はデジタル化によって間違いなく劇的に変わるでしょう。そしてデジタル化が進めば供給が整流化され、需要が生まれます。整流化をするためには、川全体を見ながらも、ポイントポイントで流れの強さや癖をつかんでいく、つまり業界全体のことを深く理解している必要があります。そこをできるのは吉元さんだと確信しています。

そしてSotasの市場機会は当然このカーボンニュートラル、脱炭素社会という世界全体の流れですね。これらは不可逆に解決していかなければいけない課題であることは明白です。そのために化学産業全体をアップデート、デジタル化をした先に、本質的には新しいマーケットを創出し、業界から必要とされるプロダクトになる可能性は十分あります。よって、10年20年後の市場の規模、そして機会が拡大していくだろうと考えました。
よく「ロマン」と「ソロバン」なんて言いますが、ソロバンは当然あるとして、ロマン、つまりナラティブ(ストーリー性)ですね。それが大義につながるのか、世の中のために解決すべき課題なのか、将来的なマストハブの可能性を感じたことも大きな決め手になりました。

吉元:はい。ロマンとソロバンをしっかり両立させていきます。


リスペクトを忘れず、タックルする時は思い切っていこう

吉元:当社には6つのバリューがありますが、坂田さんはどれがSotasらしいと思いますか?

坂田氏:6つのバランスがいいと思います。スタートアップって、ちょっと間違えると、今まで業界がやってきたことをディスラプトしようとしているように見えてしまうこともありますが、既存産業へのリスペクトを忘れずに、一緒にアップデートしていきましょうという感覚が感じられます。

吉元:ありがとうございます。スタートアップらしくガツガツやりすぎると、業界の反感を買う可能性もあります。どのようなオプションをとるべきか非常に気を使っています。

坂田氏:僕も同感です。お客さまにリスペクトをもって提案していきつつも、スタートアップらしく、タックルするところは思い切って行こうという気概を感じるバリューですね。


世界の化学産業の一助になれるプレイヤーに

吉元:化学というドメインを選択した理由のひとつに、化学産業はノンバーバルであり、グローバルを狙いやすいという観点がありました。素材という意味ではドイツや米国が強いですが、ITといえばやはり米国。米国駐在のGP(ジェネラルパートナー)がおられ、投資家の中でも特にグローバルな視点を持っているデライト・ベンチャーズには、とりわけその部分にも期待しています。

坂田氏:化学産業は骨太な業界、短期的なトラクションは必要条件であって十分条件ではない。個々のお客様に向き合い、足下を固めることは重要ですが、将来的に化学産業全体をどうやってアップデートしていくか、日本だけじゃなくて世界規模で、化学産業の一助になれるようなプロダクト、いやプレイヤーになってほしい。そのために、僕の頭も手も足も汗も存分に使ってほしいと思います。

delight ventures
Partner
坂田 卓也 様

2005年に凸版印刷へ入社し、出版、広告、玩具、ゲーム、駐車場・カーシェアリング、コミュニケーションプラットフォームなどの業界のマーケティング・新規事業支援に携わる。2014年4月より、経営企画に異動し、経営戦略部に所属。2016年より、CVCを立ち上げ、新事業創出を目的としたベンチャー投資およびM&A業務に従事。スタートアップ25社とともに事業開発に従事し、ユニファ社、コンボ社の社外取締役を務める。 2022年11月より、ベンチャーキャピタルのデライト・ベンチャーズに入社し、日本発のグローバルトップ企業の投資育成事業に尽力。2016年グロービスMBAを卒業し、現在は、グロービス講師(戦略・マーケティング)を務める。



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