ショートショート『ブルーレーン』

仕事で自転車走行中だった。
車道と歩道の間のレーンを走る。
場所によってではあるけど、青色のペンキが塗られていた。

先日、信号無視でお巡りさんに迷惑をかけたばかり。
慎重に、慎重に自転車を運転していく。

青色のレーンはなんだか気持ちがいい。
頭をクールにもしてくれるし、気分も爽快だ。
俺はスイスイと進んでいく。

そこに何かがスーッと追い抜かしていった。
あまりにもギリギリだったので、すこしムッとする。
前を見ると全身青色の男が、走っている。
「おさき!」
自転車にも乗っていない、本当に走っているのだった。
ここ自転車レーンですよ、と注意する。
すると青い男はこう言った。
「ちがうぞ、ここはブルーレーンだ」
なんだそれ、と思いつつ。
よくよく見てみると「自転車専用」とも書かれていない。
自転車のマークすらない。
「だからここはブルー専用のレーンなのだよ」
青い男はそう言って、走り去っていった。

続いてやってきたのは蝶だった。
これは知ってるブルーモルフォだ。
規則正しく青色のレーンに沿って飛んでいる。

その次に来たのは、不安と恐れでいっぱいの男
いや、服装が青いわけじゃないんだけど、
もしかして「顔が青くなる」状態ってこと?

その次にやってきたのは鯖。
飛んで跳ねてを繰り返して、前に進んでいる。
魚へんに青、だもんね。青魚とも言うし。
いやいや魚って、ここは道路だけど?

でもよく見てみると、このブルーレーンだけ
少しずつ水が増えてきている。
鯖だけじゃなくて、ブルーギルも泳いでいる。

なんで、こんなに水が?
そう疑問に思っていると、後ろから大きな音がしている。
振り返って見てみれば、こちらに波が迫ってきていた。
細くて高くて、青い波が。ブルーレーンの幅のままで。








今日の仕事中に自転車に乗っているとき
「青いのだけ特別なレーンだったら?」
と想像したことからアイデアを膨らませました。

その日のうちに物語に昇華できてよかったです。


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