ショートショート『ズレの調整(閏年)』 #シロクマ文芸部

ー地球ー

「閏年って、なんで四年に一度あるの？」
「月の運行のズレを調整をしているらしいよ」
「ふーん、そうなんだ」

ー偉い人たちー

「困ったぞ、どうやら計算を間違っていたようだ」
「どうかしたのか？」
「月の運行を再調査したところ、実はズレなどなかったらしい」
「なんだと、今さら閏年を廃止するわけにもいかん」
「彼らにお願いするしかありませんね……」

ー地球から遠く離れた場所ー

「なにしてるんだ？」
「人間から頼まれたのさ『引っ張ってくれ』って」
「面倒なことを注文してくるもんだ」
「なんでも『混乱を防ぐため』らしいぞ」
「よし、俺も手伝ってやろう」
「助かるよ」
『オーエス、オーエス』
「やあ、疲れた。すこし休憩しよう」

ー地球ー

「綺麗な満月だね」
「そうだね、あれ？」
「どうしたの？」
「月のうさぎ、今夜はやけに多く見えないかしら？」

---

こちらの企画に参加させていただきました。

閏年は月のズレの調整が目的です(これは本当)
「どうやったらズレを調整できるかな」と考えて
「月にいる者に頼めば良いんだ」と思いつきました。

前回・前々回の作品はこちらです。

ここまでお読みいただきありがとうございました。