見出し画像

PolkadotとKusamaのParachainオークションを解説する

こんにちは、Stake  Technologiesの渡辺創太です。今回は来たるべきKusamaのParachainオークションを解説してみたいと思います。というのも、このParachainオークションはPolkadot、Kusamaの一大イベントで、コミュニティも非常に盛り上がっているため日本語で情報を発信してほしいという要望をいくつかいただきました。この文章が参考になればと思います。

KusamaはPolkadotと同様の機能をもつ姉妹チェーンでPolkadotをハードフォークしてKusamaができています。ここではKusamaのオークションについて説明しますが、基本的にPolkadotに置き換えて読んでいただいても内容は変わらないです。

わからない部分がありましたらPlasm&Shidenの日本語Telegramグループで直接聴いてください。

そもそもオークションとは何か?

Kusamaは大本の心臓部分であるRelaychain(リレーチェーン)とRelaychainに接続することでインターオペラビリティを実現するParachain(パラチェーン)があります。このRelaychainが意図的にスマートコントラクトをサポートしていないため、この上で誰も分散アプリケーションを開発できません。そのため、Parachainでサポートする必要がありスマートコントラクトに特化したプラットフォームとして日本発の「Shiden Network (紫電 )」を我々は開発しています。つまりShiden NetworkはParachainです。

スクリーンショット 2020-06-07 23.00.56

この心臓部分のRelaychainに誰でも繋げるかといいとそういうわけではありません。このRelaychainに接続するParachainとなるためにはParachain Autcionと呼ばれるオークションに勝利する必要があります。ちなみになぜオークションに勝利しParachainにあることを目指すかというと、Parachainになることで、① Kusama Relaychainのセキュリティに依存できる。(自分で独自チェーン作ると自前のセキュリティを準備する必要があるけど、Kusamaに繋げば数千億円分のセキュリティを享受できます。)②他に繋がっているチェーンとRelaychainを通してやり取りができる。(例えば今後Bitcoinとかが繋がってきたときにWrapped BTCがParachai上で使用できます。)なので、基本的にPolkadotのプロジェクトはみんなParachainになろう!という意気込みがあります。

オークションのルールは?

オークションのルールはやや複雑です。オークションは以下のように「クラウドローン」と「オークション」の2つのパートによって成り立っています。

画像2

最も重要なことですが、「最もKSMトークンを集め最も多くのKSMトークンを入札した1チームがParachainになる」というのが最も基本的なルールです。つまり1オークションに対しParachainになれるのは1プロジェクトのみです。なので2週間ごとにオークションが開催されると言われています。最もKSMトークンを集めるためには、プロジェクトが持っているKSMトークンを使用するという選択肢と、プロジェクトのネイティブトークンを報酬にしてコミュニティメンバーからKSMを借りるという方法があります。例えば、Shiden Networkの場合は我々のためにKSMトークンをロックしてもらえると、SDNトークンを入手することができます。またこれも重要な情報ですがロックしたKSMは11ヶ月後に同額が自動的に返却されます。(厳密にはロック額-ネットワーク手数料)なのでこれは投資ではありません。Stakingやロックドロップと同じです。

先ほどオークションは2つのパートで成り立っていて「クラウドローン」と「オークション」があるという話しをしましたが、このクラウドローンでプロジェクトが集めたKSMは1回目のオークションだけではなく、複数回のオークションで使用することができます。参加者はクラウドローンに参加するというのとオークションに参加するという2種類の参加方法がありますがどちらに参加したほうが良いのかはプロジェクトのインセンティブ設計によります。例えばShiden Networkの場合はクラウドローン参加者により大きなインセンティブを用意しており早くクラウドローンに入れば入るほどより多くのSDNが入手できます。

もう1つこのParachain Auctionで重要なルールがあります。それは上記のStep2のオークションで勝者を決めるルールです。一般的なオークションはオークション終了時に最も高値の入札をすることですが、Kusamaの場合は違います。オークションの終了時にオークション期間中の1時点がランダムに抽出され、その時点において最もKSMトークンを集めていた参加者がSlotを獲得することができます。なのでプロジェクト側の最適戦略は必然的にクラウドローンでできるだけKSMを集め、オークションのしょっぱなから最高額のKSMを入札するということになります。

さて、最後に重要なことを書いておきたいと思います。KusamaとPolkadotのオークションはEthereumにおけるICOと同じくらいインパクトがあると言われていますが、ICOではありません。ユーザーはKSMトークンを応援するプロジェクトのためにロックをしますが、実際にはKSMトークンをプロジェクトに送信しません。(ここ重要です!)そのため、KSMトークンを送れといってくるプロジェクトがあればスキャムですのでお気をつけください。実際にはKusamaの特殊なトランザクションを送ることによりKSM自体はユーザーのアカウントに存在しますがトークンはロックされ、ロックされたことの証明書がプロジェクトによって使われます。つまり、プロジェクト側はユーザーのアセットに一切タッチしません。ここがICOとの重大な違いです。

参加方法は?

現在、Kusama AuctionはOKEx, Houbi, Krakenが参加を表明しています。また、このような取引所を使わなくてもPolkadotが提供しているUIを用いることで参加をすることができます。長くなってしまったのでこちらは改めて書こうと思います。

日本発のパブリックブロックチェーンであるShiden Networkはこのオークションに参加します。ぜひKSMを保有している方は応援いただけると嬉しいです!

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?