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33億円規模のAstar Ecosystem Growth Fund Ⅰ を作りました。

アメリカを見てみましょう。Coinbaseがユニコーン、そして時価総額11兆円を超える上場を果たし、初期の社員がUniswapやCompound、MakerDAOといったDeFiのメインプレーヤーに投資をしました。これらのプロジェクトは歴史を作り、彼らやそこで関わった人たちがDharmaやdydxといったプロジェクトに資金を提供しています。そしてこの第2サイクルも完成しつつあり、第3サイクルに入っているのがアメリカ西海岸だと思います。

日本を見ていましょう。残念ながらブロックチェーンの業界で継続的に新しいプロジェクトが生まれ、人材が育ち、エコシステムの層が厚くなっている様子はかれこれ4-5年ほど日本でブロックチェーンをやっていましたが、十分な成果があると言えず、今が1週目かなと思います。

アメリカ西海岸と比べるなという話かもしれませんが、僕自身、結構ナショナリズムが強い人間なのでやはり悔しい。日本発のパブリックブロックチェーンを創る人間として自分の置かれた立場でできることをやろう。そう考え約33億円規模のAstar Ecosystem Growth Fund Ⅰを作りました。来年第2号ファンドを作る予定でこちらも動き始めています。これからのまだ見ぬ日本のパブリックブロックチェーンエコシステム醸成に向けてAstarとShiden上にアプリケーションやインフラストラクチャーを作る日本のプロジェクト、特に世界を目指す日本のプロジェクトに資金提供します。また、弊社で培った数々の経験やネットワークを無償提供します。この資金は、直接的なインベストメント、ハッカソンの開催や助成金に使われる予定です。

こちらから応募できるので、絶賛応募お待ちしています👇

https://astar.network/builders-program/

具体的には、DeFi、NFT、Game及びインフラ系(Oracle、Wallet、Developer Toolなど)に資金提供します。 

このような意思決定に至った理由は大きく以下の3つの理由があります。

このままだと業界全体としてまずい。

ブロックチェーンだからこそ新しく可能になったのは取引と「信頼」の関係性の再定義です。過去、これまで政府や企業が全ての経済活動において担保してきた信頼をプロトコルが置き換えます。我々が会社や政府が存在しないBitcoinにおいてbitcoinをP2Pで送金しているのは(みんな意識はしていませんが)本質的にはBitcoinプロトコルを暗号学的に信頼しているからです。(Bitcoinを信頼している人を信頼している人もいる)。

誤解を招かないように言うと、全てのサービスがパブリックブロックチェーン上で成り立つことはないでしょう。世の中には信頼をプロトコルが置き換えなくてもよいサービスが山程あります。むしろそういうケースの方が多いでしょう。こういうケースはDXの文脈でコンソーシアムチェーンなどを使えば良いと思います。しかし、僕はプロトコルが既存の信頼のあり方を置き換えるというのはパブリックブロックチェーンだからこそできることだとあえて言い切りたいと思います。

ブロックチェーンをやっていて一番大きいパラダイムはやっぱりこのパブリックブロックチェーンだからこそできる取引と信頼の新しい形だと思うのです。この領域で勝負している日本人起業家の数は片手で数えられるくらい圧倒的に少ないと思います。これには自分なりに分析をしていて、まず1つは法律と税制が圧倒的に起業家不利。2つ目がパブリックブロックチェーンでの戦い方は既存のエクイティーの戦い方と逆行するので起業家もVCもお互い経験もなければベンチマークも少なく知識や経験が次の世代に還元されていないのが理由だと思います。色々その他にも理由はあると思いますが、ブロックチェーンの醍醐味はパブリックにあります。そこで勝負する日本人が増えないとブロックチェーンでも日本は世界に大きな遅れを取ります。このままではいけないと思い、日本のエコシステムにもガンガン資金提供をしていきます。

株式会社から自立分散組織へ。独占から分散化へ。

今回の約33億円のファンドは必ずしもエクイティーやトークンへの投資を目的にしていません。むしろ助成金という形で有望なプロジェクトに配る形の方が多いと思います。そうすると、よく、「御社はどうやってお金を儲けるんですか?リターンを出すんですか?」と既存の株式マーケットの人たちに聞かれます。この資産を100%会社や僕個人の為に使えばそれなりのことはできると思うのですが、現在、我々は株主価値の最大化といった既存株式マーケットで戦っていません。株式会社において富の源泉は「独占」ですが、我々の富の源泉は「分散化」です。つまり、今ある100をどう0に近づけ、自分たちが存在しなくても動き続ける自立分散的な組織(DAO)を作れるかという実験をしています。日本からは誰もやったことがない技術的な挑戦であり、思想的な挑戦であり、新しい社会モデルを築く挑戦だと思います。だからこそ、やる価値があると思っています。

エコシステムを回す。

これは本文章の序文と同じですが、エコシステムを回すことが重要です。この領域で起業して3年ほど経ちましたが、資金調達の仕方、ケアしなければいけない税制や法律、ブロックチェーンのトークンエコシステム、全体戦略等、ほんとに大変なことばかりでした。誰かが過去にやっていて事例があれば本を読んだり、話を聞いたりすれば済む話ですが、日本の会社として先行事例がほぼない中、手探りで進めてきました。実際ここにかかる時間的・金銭的コストもスタートアップとしては馬鹿になりません。日本から世界を目指すブロックチェーンスタートアップに対して金銭的・知識的なフェードバックを行いより早く、より低いコストでグローバルでやっていく状態が作れればと思っています。

ShidenとAstarのエコシステムはグローバルなものであり、エコシステムのメンバーによって意思決定がされるので日本プロジェクトを優遇することはできませんが、気持ちの面ではそんなふうに思っています。

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