月刊そうすけVol.9
2002年8月8日に開店して今年でちょうど20周年。月刊そうすけと名を打ったメルマガがスタートいたしました。様々な角度から「古家具古道具そうすけ」をご紹介していきます。
ー物の心を助けるー
を社訓とする「古家具古道具そうすけ」その名の通り店内には、愛情を持って丁寧に補修された古家具や古道具たちが並びます。一見気づかないほどのさりげなさで、隅々まで美意識が行き届いた店内の様子は来店したものの心を静かに満たしてくれます。
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桜も舞い散り、新生活が始まる4月。今回のスタッフインタビューは女性スタッフのサホさん。担当は家具の塗装、修繕、そして接客。華奢で可憐な雰囲気と、芯の強さのギャップが素敵です。
ー手を動かすことと古いものが好きー
幼稚園の頃は泥団子をひたすらピカピカ磨き上げたり、黙々と絵を描くことが好きな子供だったそうです。
「祖母と母が着物が好きで、七五三などの行事にはきちんと着物を着させてもらいました。雛人形も代々引き継がれたものが飾られていました。」
思い返せば古いものとのファーストコンタクトはその辺りだとか。
「両方の祖母がおしゃれが大好きで、ことあるごとに一緒に買い物に連れて行ってもらったり、昔着ていた洋服をこれ可愛いんじゃないってくれたり」
ずっと背が高いことがコンプレックスで(171cm)何処へ行っても目立つ・・・。そんな中、ファッションで自分を表現することで自信を持つことができたそう。そんなファッションに携わりたいと、服飾を学ぶ大学に進学しました。
ーファッションの世界・百貨店時代ー
女子大学の家政学科で服飾の作り方・洗濯実験・歴史など幅広い分野で学びました。同時に美術館や博物館などの学芸員の資格を取得したり、知識を蓄えた学生時代。
卒業制作は、服ではなくてカバンを制作しました。
最新の技術で作られた丈夫な和紙を使い、得意だった折り紙の技術を取り入れました。灯りを中に入れると照明っぽくもなり折り目が綺麗に映えます。振りかえればその頃からインテリア寄りだったのでしょうか?
卒業後はそのままファッションのお仕事をしようと百貨店に勤務しました。
服の販売、そしてイベントスペースを担当しました。
「百貨店ではシーズンがあるので、自分がとても気に入ってる服も次の年には自信を持って店頭で着ることができない、何年経っても好きなものが周りからすると古いものという自分の好きと周りの意識のギャップに戸惑うようになってきました。」
同時にイベントスペースで企画を担当、作家やデザイナーが作ったものを販売するという経験の中でもっと物作りに寄り添って、自信を持って発信する人になりたいという気持ちが膨らんできました。
1個のものを長く使ったり、本質、やりたいことを見極めたいと、百貨店を辞めることになります。
ーそうすけに飛び込むー
「移り変わりの早いファッション業界にいた中、
家具は生活に密着していて付き合いが長くてすごくいいなと感じていました。家具は未経験だけど・・・。
そういえば近くにすてきなお店があったなとそうすけを思い出し、調べたらちょうど求人広告が出ていました。勢いで電話して、徹さん(米倉社長)に採用していただき今に至ります。」
思い立ったら吉日の行動派の一面があるサホさん。
百貨店で働いてたということもあり、初めは接客人員として迎え入れられたそうですがサホさん本人は手を動かすことが好きということで、今は修繕を中心に作業をしています。
初めは塗装を覚え、今はガラスを切ったり嵌めたり、照明を作ったり。家具の細かい修理も任されています。例えば、戸棚の中、これだと棚板つけた方が使いやすいのではないか?とか今は電子レンジを上に置くこともあるから、この家具の天板を補強しようなど、サホさんの案で修繕の方向が決まることも多くなっています。
また、お客さんと話す中でも、この引き戸はガラスに変えた方が中の食器が見えて良いなとか逆にこの木目が綺麗だからこれはこのまま残そうと、アイデアが生まれる瞬間があります。
「だいぶ長い道のりでしたが色々とやらせてもらえるようになりました。」
そうすけは他の会社より即戦力を求められます。
また、お客様へご提供させていただく商品への厳しいチェックも入ります。
その代わり未経験でもなんでもやらせてもらえる。今年で3年目のサホさんですが、今まで過ごしてきたどの3年間よりも実力がついた実感があり、働き方もしっくりき始めたといいます。色々なことが見えてきたそうです。
古家具古道具を扱うなかなかハードな職場で女性が働くのは大変だろうなと想像します。学生時代に取り組んでいた運動部での経験が生かされてますねと笑うサホさん。頼もしい。
ー学びが活きているー
「全然関係ないと思っていてもやってきた経験は活きるんだな、と最近思います。 服飾の勉強も、家具の色出しなどでとても役に立っています。
元々の塗装具合や色合いから自分で判断して色を入れていくのですが、人でもパーソナルカラーとかあるじゃないですか、棚板はこれにしよう、天板は、このパーツはどの金具を使おうなどトータルコーディネートで色や形を入れてくことは服に繋がります。
そうすけに入りたての頃、今まで学んできた方法で接客すると米倉社長からけっこう厳しく指導されました。
自分が無理して接客しているとお客さんも苦しいんだよと。
そういえば百貨店の時も売れている販売員はすごくラフだったなと思い出し実感しています。
百貨店時代に戸惑いながらも仕事する中でも、かけてくれた多くの言葉が今になって思い出したり、やっと理解できたり、感謝が尽きないそうです。
大企業で色々と学んだ後、個人の会社ではどのようにして仕事を行なっているのか、今はまさに働きながらそうすけで学んでいることが沢山あるのだとか。怒られることも貴重な経験ですよね。見込みがあるから怒られるんです。怒ってくれるというのはものすごくありがたいことなんです。しみじみ。。。
学生時代から思い立ったらふっと旅立ってしまう旅好きのサホさん。
NYに友人に会いに、クリスマスマーケット目当てにドイツに行ったり、オーロラが見たいとアラスカに飛んで行ったり。最近は長野の明神館という旅館に行ってきたとか。「ご飯も素晴らしくて、民藝の家具も使ってて、温泉も3種類あったり」嬉しそうに話すサホさん。
「いい宿だと、サービスとかおもてなしとか経験だからと米倉社長も話します。旅も大好きだし、できるだけ体験していきたいなと思います。」
ー近い将来のことー
「いずれは独立を考えています。ここまで大きな家具は扱えないけど
日常が楽しくなるような、スパイスをもたらすような小物から始めたい。
仕入れて、自分で手を動かしながら直して、もうちょっと田舎でもいいなと思っています。」
サホさんが手がけるお店、どこかの山の中の古い一軒家、丁寧に修復された小さい古道具が並び、周りに畑があって、もしかして猫がいて。。。想像するだけで行ってみたくなります。
ーメッセージー
ずっとネットで見ていて、初めてうちに古道具を迎え入れます、
こんな風に置けたよと報告していただくこともありとても嬉しいです。
古い物をそんなに買ったことない、初めて買う、そういう方でも使いやすいように塗装したり修理したりすぐ使える状態にしてスタンバイしています。ぜひお気軽に来てほしいです。
ーまとめー
インタビューが終わり、店頭を案内していただいているとき、サホさんに一推しを聞いたら、うーん。どれも。。。だけどこの間すごく気に入ってた茶箪笥は木目が綺麗な美人な感じで。。。お嫁に行っちゃったんです。と答えが返ってきました。
古家具古道具を擬人化する愛情。
高校生の時にがんばって買った革靴も修理しながら育てて今も大切に履いているそうです。熱しにくく冷めにくいんです。好きなものがずっと変わらないと語ります。そうすけがキラキラしてる所以の一つをはっきりと知ったインタビューでした。
https://www.instagram.com/sosuke312/
記事:合同会社ノスリ舎
デザインと企画の会社です。ローカルや人にスポットと当てたお仕事をさせていただいております。
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