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【R5上下水道部門:必須問題】Ⅰ-2「再現論文」/技術士第二次試験

【問題文】
 東日本大震災では津波により多くの水道施設が被害にあったほか、下水道施設における被害は地震動によるものよりも大きかった。また、平成30年7月豪雨では多くの水道施設が被害を受け、全国18道府県で断水が発生したほか、令和元年東日本台風では下水道施設が浸水しその機能を停止した。
 しかし、人々の生活さらには生命の維持のために重要なライフライン施設である上下水道施設は、災害時においてもその機能の確保が求められている。
 そのため洪水・内水・津波・高潮等の水害発生時においても上下水道施設の機能を維持又は、万が一機能停止を余儀なくされた場合でも迅速に機能回復を可能とするための、ハード及びソフト面での対策が必要となる。
 このような状況を踏まえ、以下の問いに答えよ。
(1)技術者としての立場で、水害に対し上下水道施設に共通する重要な課題を多面的な観点から3つ抽出し、それぞれの観点を明記したうえで、その課題の内容を示せ。
(2)前問(1)で抽出した課題のうち最も重要と考える課題を1つ挙げ、その課題に対する複数の解決策を示せ。
(3)前問(2)で示したすべての解決策を実行しても新たに生じうる課題とそれへの対策について、 専門技術を踏まえた考えを示せ。
(4)前問(1)~(3)の業務遂行において必要な要件を、技術者としての倫理、社会の持続可能性の観点から題意に即して述べよ。

(受講生さんの了解を得て、ここに掲載します。)

この再現論文の受講生さんの試験結果A評価ではなかったそうです。(BかCは仰られません)。
私の評価もBと考えます。
私がB評価とした根拠を以下に示します。

・設問(1)では課題の抽出がすっきりと読みやすいことを評価できるが、観点が何か理解しにくい。
・設問(2)は設問に沿った解答であり、高く評価できる。
・設問(3)は設問に沿った解答であることを評価できるが、2)新たに生じる課題への対策については、漠然とした解答であることがマイナスポイントである。
・設問(4)は、何が技術者倫理で、何が社会の持続可能性の観点なのか理解しにくい。ただし、試験官によっては、高い評価を得るかもしれない。

A評価にしてもいいかなぁ・・・と悩みましたが、今後の成長と改善を込めてB評価としました。


標題の再現論文を以下に示しますので、みなさんもご一読いただき、改善点があればご指摘いただけませんか?
(noteの表示上、項目名を下線で表示できないので、太字で表示させます)

【再現論文】
(1)水害に対する重要な課題
・課題1:運用管理

 上下水道施設は、日々の運用管理が重要である。水害時には、施設の運用管理が適切でないと、施設の機能が低下し、被害が拡大することがある。そのため、施設の運用管理には、施設内の設備の定期点検・保守、施設の運用状況のモニタリング、施設の運用計画の策定が必要である。
・課題2:災害対応
 水害時には、迅速な災害対応が求められる。上下水道施設においても、災害対応が重要である。具体的には、施設内の設備の保有状況の確認、災害時の緊急対応体制の策定、災害時の情報共有体制の整備を行う。
・課題3:浸水対策
 水害時には、上下水道施設が浸水することがある。施設内の機器や設備が浸水すると、施設の機能が低下し、復旧に時間がかかることがある。そのため、施設の浸水対策が必要である。具体的には、施設の建設場所の選定、施設内の機器や設備の防水対策、浸水時の排水対策を行う。
(2)最も重要な課題及びその解決策
 前述した3つの課題のうち、最も重要と考える課題は、「課題3:浸水対策」である。浸水対策の解決策を以下に述べる。
・解決策1:耐水化施設の整備
 下水道施設の耐水化により、施設浸水による社会的影響を最小限に抑制することができる。
・解決策2:都市計画における浸水対策の取り込み
 都市計画において、浸水リスクを踏まえた土地利用計画や、浸水時の避難場所の確保を行う。
・解決策3:防災教育の普及
 浸水時の適切な行動や、浸水リスクの認知を広めることで、被害を最小限に抑えることができる。
(3)新たに生じうる課題及びその対策
1)新たに生じうる課題

 前述した解決策を実施しても新たに生じうる課題を以下に述べる。
①耐水化施設の整備により、施設の維持管理にかかる費用が増加する可能性がある。
②都市計画における浸水対策の取り込みにより、土地の利用に制限がかかることがある。
③防災教育の普及により、住民の意識が高まることで、過剰な避難行動が起こることがある。
2)新たな課題に対する対策
 前述した新たな課題への対策を以下に述べる。
①耐水化施設の整備においては、施設の維持管理にかかる費用を抑えるために、施設の設計に工夫を凝らす必要がある。
②都市計画における浸水対策の取り込みにおいては、土地の利用に制限がかからないように、浸水対策を施した土地の利用に優遇措置を設ける必要がある。
③防災教育においては、過剰な避難行動を防ぐために、適切な情報提供を行う必要がある。
(4)業務遂行において必要な要件
1)公正性

 技術者は公正であることが求められるため、耐水化施設の整備や都市計画における浸水対策の取り込みにあたっては、公正な立場で課題を抽出し、解決策を考案することが必要である。
2)継続性
 技術者は社会の持続可能性を考慮することが求められため、耐水化施設の整備や都市計画における浸水対策の取り込みにあたっては、長期的な視野を持ち、将来的な変化に対応できるような施策を考えることが必要である。
3)安全性
 技術者は安全性を確保することが求められるため、耐水化施設の整備や都市計画における浸水対策の取り込みにあたっては、安全性を確保するための対策を講じることが必要である。
4)情報公開
 技術者は情報公開を行うことが求められるため、耐水化施設の整備や都市計画における浸水対策の取り込みにあたっては、関係者に対して適切な情報提供を行うことが必要である。
                               以上

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