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【R5建設部門:河川、砂防及び海岸・海洋】Ⅱ-1-2[添削論文]/技術士第二次試験

【1】 はじめに

 以前、私の下記noteで受講生さんの試験後の「再現論文」を投稿しました。

 この記事では、再現論文に対する添削事項、添削後の解答論文などを以下に掲載します。

※注意事項: 2024年4月16日(火)より、本記事の【5】以降は有料版とします。


【2】 問題文

 重力式コンクリートダムの構造設計において、予想される荷重に対し確保すべき3つの条件について説明せよ。また、ダムコンクリートの配合強度の算出までの流れについて、「圧縮応力」及び「設計基準強度」を用いて説明せよ。


【3】 復元論文(添削前:by 受講生)

(注)noteの表示上、項目名を下線で表示できないので、太字で表示させます。また、最後の1文も太字で表示させます。

1.予想される荷重に対し確保すべき条件
➀転倒に対する安全性
:ダムの堤体が転倒しないように、ダムの重心が堤体の中心線上に位置するように設計する。
②滑動に対する安全性:ダムの堤体が滑動しないように、ダムの基礎部分に十分な摩擦力を確保する。
③圧縮破壊に対する安全性:ダムの堤体が圧縮破壊しないように、ダムの堤体内の任意の点に生じる圧縮応力に4以上の安全率を乗じた値を設計基準強度として定める。
2.ダムコンクリートの配合強度算出までの流れ
➀「設計基準強度」の決定
:コンクリート部材の設計において基準とした圧縮強度を設定する。
②配合強度の決定:コンクリートの配合を定める場合に目標とする圧縮強度を設定する。
③強度の割増し:強度の変動を考慮して、配合強度を算出するために「設計基準強度」に割増し係数をかける。
④配合計算:配合強度を算出するために水セメント比を算出し、単位セメント量を定める。
 なお「圧縮応力」は配合強度を算出するために必要な情報ではなく、コンクリートが受ける圧縮力に対する応力である。

以上

【4】 評価事項(By 小泉)

 上記記事で私が評価した事項を、以下に再掲します。

 本復元論文の受講生さんは、問題Ⅱにおいて「C」評価とされました。
当論文について、私は文章表現や構成に問題はないと思います。

 しかし、最後の1文がひっかかりました。
この1文に対して、コンクリートダム設計専門家のご意見をいただきたいところです。

 本受講生さんは、最後の1文にこだわり過ぎたか、と後悔されていますが、実はこれはこれで問題ないかもしれませんし、問題Ⅱ-2の評価が悪影響を及ぼした可能性もあると思います。

 しかし、私なりに調べてみた結果、ダムコンクリートの配合強度の算出までの流れについて「圧縮応力」を用いて説明した資料がありました。したがって、本復元論文はC評価で妥当と判断します。

【5】 解答論文(添削過程:By 小泉)

 ➀追記・修正箇所を「太字」、②不要箇所を「取り消し線」、③部分的なアドバイスを「( )書き」で示しました。

1.予想される荷重に対し確保すべき条件
➀転倒に対する安全性
:ダムの堤体が転倒しないように、ダムの重心が堤体の中心線上に位置するように設計する。
②滑動に対する安全性:ダムの堤体が滑動しないように、ダムの基礎部分に十分な摩擦力を確保する。
③圧縮破壊に対する安全性:ダムの堤体が圧縮破壊しないように、ダムの堤体内の任意の点に生じる圧縮応力に4以上の安全率を乗じた値を設計基準強度として定める。 (・・・第1節は特に指摘事項なし)
2.ダムコンクリートの配合強度算出までの流れ
➀「設計基準強度」の決定:コンクリート部材の設計において基準とした圧縮強度を設定する。
②配合強度の決定:コンクリートの配合を定める場合に目標とする圧縮強度を設定する。
③強度の割増し:強度の変動を考慮して、配合強度を算出するために「設計基準強度」に割増し係数をかける。
④配合計算:配合強度を算出するために水セメント比を算出し、単位セメント量を定める。
 なお「圧縮応力」は配合強度を算出するために必要な情報ではなく、コンクリートが受ける圧縮力に対する応力である。

①圧縮応力の算出:
圧縮応力はコンクリートを圧縮する際に発生する応力である。圧縮応力はコンクリートの配合に使用される材料の種類や配合比によって異なり、試験体を圧縮して測定される。
②設計基準強度の算出:設計基準強度はコンクリート部材の設計で基準とした圧縮強度である。設計基準強度はコンクリートの品質、使用材料の種類、コンクリートの配合に使用される材料の配合比によって異なる。
③配合強度の算出:配合強度はコンクリートの配合を定める場合に目標とする圧縮強度である。配合強度は設計基準強度に現場におけるコンクリートの圧縮強度の試験値が、設計基準強度の80%を1/20以上の確率で下回ってはならないという条件を満たすように設定される。
(↑ 第2節は上記のように書き直しました)


 添削過程の解答論文だけでは、最終的にどんな論文になるのかわかりづらいと思いますので、下記【6】に添削後の解答論文を示します。
 なお、noteの表示の制約がありますので、実際の解答論文では太字で表示することはありません。鉛筆・シャープペン書きなので。
 下記【6】で太字で示した文字は、実際の解答論文では下線を引いて表示します。

【6】 解答論文(添削後:By 小泉)

1.予想される荷重に対し確保すべき条件
➀転倒に対する安全性
:ダムの堤体が転倒しないように、ダムの重心が堤体の中心線上に位置するように設計する。
②滑動に対する安全性:ダムの堤体が滑動しないように、ダムの基礎部分に十分な摩擦力を確保する。
③圧縮破壊に対する安全性:ダムの堤体が圧縮破壊しないように、ダムの堤体内の任意の点に生じる圧縮応力に4以上の安全率を乗じた値を設計基準強度として定める。
2.ダムコンクリートの配合強度算出までの流れ
①圧縮応力の算出:
圧縮応力はコンクリートを圧縮する際に発生する応力である。圧縮応力はコンクリートの配合に使用される材料の種類や配合比によって異なり、試験体を圧縮して測定される。
②設計基準強度の算出:設計基準強度はコンクリート部材の設計で基準とした圧縮強度である。設計基準強度はコンクリートの品質、使用材料の種類、コンクリートの配合に使用される材料の配合比によって異なる。
③配合強度の算出:配合強度はコンクリートの配合を定める場合に目標とする圧縮強度である。配合強度は設計基準強度に現場におけるコンクリートの圧縮強度の試験値が、設計基準強度の80%を1/20以上の確率で下回ってはならないという条件を満たすように設定される。          以上


【7】 おわりに

 疑問点、さらなる改善事項等ありましたら、コメントをいただけますとありがたいです。

 よろしくお願いいたします。



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